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チームという生き物の飼育員さん


「サイボウズ式」の編集長、藤村能光さんのお話を聞いてきました。

飄々としていて、飾っていない自然な構え。冒頭の参加者からの
「どうやって熱量を高めますか?」の質問に、
「みんなが熱量高い状態って正常ですか?グラデーションでもいいんじゃないかなぁ。だってみんなが熱量高いままだと疲れません?」と。
ちょっと拍子抜け。ですが、そっと隣に来てくれそうな感じがします。

テーマは「チーム作りとコミュニティ」。

私自身コミュニティの運営をする中で、「契約とかミッションとか、そういう強制力のない中でのリーダーシップって難しいよなぁ」と感じていたところ。何かヒントが得られないかと思って参加しました。

もともとはマイクロマネジメントだった

マイクロマネジメントとは、細かくタスク指示をして、きっちり進捗を管理すること。その手法のとき、業績は良かったがチームの雰囲気がよくなかったそうです。

「マネージャーが、仕事だけを見ていて、仕事をしている”人”自体を見ていない状態。業績はよいかもしれないけど、チームの雰囲気がよくならない。楽しく仕事ができないんですね」

「ビジョナリーなリーダーシップを目指そうとしたこともありました。でも、借りてきた言葉では人に響かない。自分自身の言葉で語らないと。自分なりのリーダーシップを考えました」

チームが良い状態とは

チームを良くするために藤村さんがしたことは、メンバーそれぞれとの一対一のコミュニケーションを増やすこと。そしてチーム全体でのコミュニケーションの量も増やすこと。

KPT」という手法を使い、話し合いをしたそうです。最初はなかなか課題が出てこなかったこともあったそうです。
「課題が出てこない、というチームの状態を認識することも一つの価値です」と藤村さんは言います。

チームの状態がよくなるとどうなるか。
みんなの状況が見えてくるので「自分のために」がなくなっていきます。忙しくなるとこぼれ球が出てきますが、気付いた人が拾ってチーム全体が前に進めるようにしていく。それは、チームメンバーお互いが「お互いの状況や仕事が見えて」いて、かつ「チームのために役立ちたいと思う」からこそできる状態。コミュニティ運営も同じだなぁと思います。

「10年後、同じチームではなくなっても一緒にお酒が飲めるというか、そういう関係性ができると嬉しいですね」と。
藤村さんは、夢を見るような柔和な表情で話しました。

チームを良くするために

チームを良くするために具体的なヒントもいただきました。

①情報格差を作らない
②属人化しそうなノウハウやスキルをチームに開放
③一度ルールを作ってしまうと思考が停止する。だから細かなルールではなくNGラインを作る

①や②はよくいろいろなところで言われていることで、実感もあります。が、③の「一度ルールを作ってしまうと思考停止」にはハッとしました。確かに何かの意思決定をするときに前例やルールに照らし合わせて根拠を説明していることが多く思います。誰かが決めた枠組みの中ではなく、「そのルールは何のために存在しているのか?」という視点は必要だと思いました。

評価の方法

評価のお話も目からウロコというか、本当に実践している企業があったんだ!という驚きがありました。
評価軸は「その人の社外の市場価値」+「社内信頼度(一緒に仕事をしたいと思えるか」。
よくあるのは「目標達成度」や「職務習熟度」だと思うのですが、そうではない。評価軸に納得感はありますが、手法がすごく気になります。
その人の「市場価値」を具体的にどう測っているのか。今回の「チームとコミュニティ」のテーマからはずれるのですが、もっと聞いてみたいポイントではありました。

自分らしくリーダーシップを発揮する

「マネージャーとしてすることを一つだけあげるとするならば、
”その人に興味を持つ”ということですね。」という藤村さん。
管理でもなく、育成でもなく、興味を持つこと。
自分のありのままのリーダーシップを「オーセンティックリーダーシップ」と呼ぶそうですが、まさにそれを体現されていると思いました。

「give&give&give、の世界。ときどきtakeがあればいいかな、という感じ」
「そもそも何故チームでやるかというと、個人でできることには限界があるから」

藤村さんらしさが伝わる言葉の数々。
お話を聞いて一番印象に残ったのは、「コアな自分に嘘をつかない」という一言でした。
それを実現するためには「コアな自分が何か」を知らないといけない。自分と向き合い、等身大の自分を見出すのは勇気と根気がいることです。
藤村さんが自然体にふるまえるのは、その過程を経てきたからではと感じました。

自然な自分を見せられるように。まだまだ私自身には修行が必要そうです。

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