うみねこEP1時点での初見さんによる考察

前置き

 まず大前提として、今回貴重な考察をしてくださった初見さんは、
「うみステEP1のみアーカイブ視聴」、「Switch版うみねこのなく頃に咲はEP1の薔薇庭園に到着したあたりまでプレイ」という状況でした。

 この状況で、「まあ難しいとは思うけど、いったんこじつけでもなんでもいいから推理してみましょう」と提案し、いろいろ考えてもらいました。

 また、ベアトリーチェは魔女犯人説を提唱しているので、六軒島の事件に本当に魔法が関わっていたら考察のしようがない、という旨の発言を受け、今回は「人間犯人説を提唱する右代宮戦人の立場に立って推理してみよう」とスタンスを決めて、10月4日から5日までに起こったすべての謎は人間による犯行であると仮定して話を進めています。

 こちらからはEP1で起こった出来事の描写確認のため「うみねこのなく頃に咲」のEP1で確認できる該当シーンの文章、また、あくまで参考資料である、と前置きした上で、漫画版EP1の描写や舞台版の小道具の画像などを提供しました。どの媒体においても、EP1時点で明かされている情報のみで考察してもらっています。

今回の考察の軸

「これはメタ読みなんですが、使用人の若い子二人(紗音と嘉音)怪しくないですか? なんか立ち絵的にも役割ある気がする」

 ということで、紗音と嘉音はもちろん、「使用人(特に片翼の鷲持ち)が怪しいのではないか」というあたりからスタートしました。

 そして「絵羽・秀吉夫妻も怪しいが、そのあとに殺害されていることからすべての糸を引いていた黒幕がいる」と推察し、最終的な意見として、

「紗音と嘉音はn重人格者で、お互いに『魔女・ベアトリーチェ』という、設定を共有した別人格を持っているのではないか」
「紗音と嘉音は『魔女・ベアトリーチェ』の人格が見聞きしたことはすべて記憶できない」

 という仮定のもと、これならばすべての事件に説明がつくのでは? と推理を進めていきました。

 未解決の謎も少しあるのですが、この説を維持することで解決できる謎について、時系列順に書いていこうと思います。

薔薇庭園の真里亞のバラがなくなったのは?&真里亞に傘と手紙を渡したのは?

 真里亞のバラは、使用人の誰かが見栄えが悪いので抜いて捨てただけ。

 傘と手紙を渡したのは、ベアトリーチェに扮装した紗音、もしくは嘉音。紗音であると仮定したほうがより自然か。
 この時、紗音は別人格である『魔女・ベアトリーチェ』として、真里亞に傘と手紙を渡した。真里亞はベアトリーチェの扮装をした紗音をベアトリーチェであると信じた。

第一の晩の殺人について

犯行に及んだ人物について

 主犯となって行動していたのは、『魔女・ベアトリーチェ』人格となっていた紗音。『魔女・ベアトリーチェ』の人格設定を共有する嘉音、それから源次、ついで絵羽・秀吉夫妻も共犯である。
 源次は、金蔵に忠実であるため、その金蔵が心酔しているベアトリーチェにも忠実なのではないか。絵羽・秀吉夫妻に関しては、右代宮の家督はもちろん、親族を殺害することで遺産を独占できる、などと唆して抱き込んだ。

犯行の流れ

 当初の予定では、留弗夫、霧江、楼座、蔵臼、夏妃、紗音の6人を第一の晩の生贄とする予定だったが、夏妃の部屋の扉を開けた際、ドアノブにお守りがかかっていたことがわかる。魔女を自認する『魔女・ベアトリーチェ』人格の紗音は夏妃を殺すことを断念し、代わりに片翼の鷲を持たず、外様の使用人である郷田を殺害した。
 顔面を損壊したのは、残忍な魔女の犯行であると印象付けるため。
 紗音も死んでいるのは、彼女が主犯であると思わせないための自殺である。紗音と嘉音は『魔女・ベアトリーチェ』という人格の設定を共有しているため、以降は嘉音が、『魔女・ベアトリーチェ』人格となって儀式殺人を遂行していく。

倉庫のシャッターに魔法陣を描いたのはなぜか?

 まず、わざわざ殺害現場から死体を移動させた理由は、後述の事情により一時的に事件の発覚を遅らせるためである。そのために人目につかない薔薇庭園の倉庫に運び入れた。
 そして、誰が見ても明白な「異常」として、倉庫のシャッターに魔法陣を描いておくことで、のちに嘉音が「倉庫の様子が変だ」と報告できる流れを作った。

右代宮金蔵の失踪について

 前提として「右代宮金蔵は親族会議以前に死亡している」と仮定。
 蔵臼・夏妃夫妻、屋敷の使用人はそのことを知りながら隠している。よって、失踪するも何も、「最初から部屋に右代宮金蔵は存在していない」。
 また、絵羽は使用人たちと共犯なので、その使用人から「金蔵がすでに死亡している」ことを知らされている。
 それなのにレシートの話をして、金蔵を生きているとした上でその失踪を糾弾したのは、第一の晩で殺害できなかった夏妃を陥れるためである。前述の「一時的に事件の発覚を遅らせる」必要があったのは、蔵臼たちが単にそのあたりをほっつき歩いているだけだと思わせている間に、夏妃を書斎に出入りさせるよう絵羽が仕向ける時間を稼ぐためだった。

第二の晩の殺人について

 源次か『魔女・ベアトリーチェ』人格状態の嘉音、もしくはその二人ともで犯行に及んだ。
 第一の晩の共犯である絵羽・秀吉夫妻の口封じも兼ねている。
 現場に争ったような痕跡はなかったし、部屋を訪れても強い違和感を抱くような相手ではなかったのではないか。
 部屋を出て、押しピンなどでチェーンを留めておいて、本来かかっていないチェーンが一見してかかっているように見せかけていた。最初に扉を開けたのは源次であり、その時源次は弱い力加減で扉を開けることで、不安定に固定されているだけのチェーンがあたかもちゃんとかかっているという風に誤認させた。
 突然現れた魔法陣については『魔女・ベアトリーチェ』人格の嘉音が描いたもので、番線カッターを取って戻ってきた時には嘉音に人格が戻っていたので、突然魔法陣が出現したように錯覚した(『魔女・ベアトリーチェ』の人格の記憶は嘉音に継承されないため)。
 死体がベッドルーム、寝室と別々だったのは部屋の奥へと視線を誘導するためか? 嘉音がチェーンを切断し、夏妃一行が部屋に入って死体に気を取られている間に、源次がチェーンの工作を回収して証拠を隠滅した。
 絵羽の額に杭が刺さっていたのは、銃痕を誤魔化すためではないか? 銃で殺害したものの、魔法殺人としての説得力を持たせるために、傷口に杭をねじ込んだ。

嘉音殺しについて

 ボイラー室から聞こえた「扉の閉まる音」について、焼却炉で金蔵が燃やされていることから、ボイラー室の温度は上がっていたのでは? そういう温度差などを利用した、なんらかの仕掛けによって「扉の閉まる音」を発生させたのではないか。
 嘉音が見た黄金の蝶や、会話を交わしていた描写などはすべて嘉音の幻覚および幻聴。己の別人格である『魔女・ベアトリーチェ』と対話していた?
 嘉音は死んでいない。『魔女・ベアトリーチェ』の人格が自傷して出血はしたものの、死に至るほどの怪我ではなかった。
 南條の死亡宣告は嘘で、南條先生もグル。
 嘉音のことを看取ったような描写のあった朱志香については、適当な言い分で部屋から追い出しており、のちに南條が口頭で嘉音の死を伝えた。朱志香には、医者の南條の宣言を疑う積極的な理由は特にない筈なので、嘉音の死体をわざわざ確認するようなこともしていないはず。
 よって、嘉音は死亡したと一同に誤解させた結果、このあと完全にフリーとなった『魔女・ベアトリーチェ』人格の嘉音が屋敷内を自由に闊歩できるようになった。

金蔵の死体について

 まず、この考察を始めた時点では、前述の「右代宮金蔵は親族会議以前に死亡している」という仮説には至っておらず、「金蔵の死体を焼く匂いでボイラー室に一同を誘導するため」や「碑文の見立てのために『杭で抉られて死んだ』ことにしなければならないため、それとは異なる死因を隠蔽するため」、「死亡時刻を誤魔化すため」など、様々な理由が考えられた。
 しかし「死体を焼く匂い」については、強くない火勢で焼かれていたという源次の証言から(源次は共犯者であるが、そうではない夏妃も状況を確認している前で事実と食い違う証言をするとは考えづらい)、人体を焼くとどの程度の時間で異臭が発生し、更にそれが充満してボイラー室の外まで漏れてくるのがいつなのかを推し量ることは非常に難しいのではないか、そのような特殊な知識を持っている(と推測できる)人物にも心当たりがない、ということで、少なくとも匂いの発生を主目的としたわけではなく、副次的効果でしかないのではないかと判断した。
 また、「『杭で抉られた』以外の死因を誤魔化すため」というのも、わざわざ全身丸焦げにする理由としてはやや説得力に欠けるという結論に。
 3つ目の「死亡時刻を誤魔化すため」というのも、死亡時刻を誤魔化す=アリバイの捏造に繋げたところで一体誰が得をするのか? という話になったのだが、ここで「死因を誤魔化す」「死亡時刻を誤魔化す」という2点を考えて、「もしかして夏妃とかしか金蔵に会ってなくない?」「金蔵って実はもう死んでるんじゃない!?」という発言が飛び出す。そうして「死体を焼いたのは右代宮金蔵が死亡してからかなり時間が経っていることを誤魔化すため」という仮説に辿り着き、それに合わせて前述の「死体が薔薇庭園の倉庫に運ばれた理由」や「金蔵の失踪について」の推理も妥当な形に修正することとなった。
 ここは実際に考察が白熱したところで、最後の仮説に辿り着くまでの流れが非常に盛り上がったので、詳細に記述した。

不和の手紙と南條・熊沢・源次殺しについて

 金蔵の書斎で手紙を置いたのはもちろん源次。それによって追い出されることも当然織り込み済み。
 死んだことになっている嘉音が現れて3人を殺害。真里亞を殺さなかったのは、真里亞が戦人からお守りを受け取っていたから。魔女の設定に忠実に振る舞っているため、お守りで守られているという真里亞を殺さなかった。
内線電話をかけたのは書斎の全員をおびき寄せるため。

夏妃の死~24時の時間切れについて

 夏妃は自殺ではなく、『魔女・ベアトリーチェ』人格の嘉音による他殺。手紙で誘い出して射殺した。銃声が一発しかしなかったのは、二人が同時に発砲したため。
 事件後の、凄惨な現場、真里亞の顎の一部のみが見つかる、といった状況から、「時間切れ」とは屋敷に仕掛けられた爆弾が爆発することを指すのでは? 24時になったら爆発するようにセットされていた。

事件の動機について

「紗音・嘉音が設定を共有している『魔女・ベアトリーチェ』人格が、己を魔女と信じたため、自身の復活のために碑文の儀式殺人を実行した」

 紗音と嘉音の二人が設定を共有した人格を持つようになったのは、本編開始前の時間軸で金蔵が二人に執拗にベアトリーチェの存在を吹き込んだのが原因……とかかもしれない。このあたりは考察の材料が足りない。
 なお、『魔女・ベアトリーチェ』人格が親族会議に手紙を送りつけたのは、「お前ら親族に碑文の謎が解けるものか」という驕り、要するにマウント行為ではないか。
 ボトルメールも、署名のある「右代宮真里亞」ではなく、紗音・嘉音のどちらかの『魔女・ベアトリーチェ』人格が書き、海に流したものではないか。見つかろうが見つかるまいがどちらでも構わず、ボトルメールという神秘的な演出によって六軒島連続殺人事件を「魔女の仕業である」と印象付けたかった。

残りの謎について

金蔵の掲示した「碑文」の謎は?

「川って『貫く』って表現するか~?」「そもそも川ってほんとに川なの? 比喩なの? どっち?」「鮎……淡水魚か……淡水ってなんだっけ」「調べたけど、塩分濃度の低い水とかしか出てこないな」「あと淡水ってグーグルで調べたらトップに台湾の観光情報が出てくる」「珍説として『黄金郷は台湾にある』って言っとくわ」
 とのことで、一応挑戦したものの「これEP1で推理できるようにできてないでしょ!」ということで現時点ではリザイン。

金蔵が出会ったという「ベアトリーチェ」は何者なのか? そもそも実在するのか?

 人間として実在はすると思う。今の時点では、莫大な黄金を何らかの理由で融資してくれた支援者としか想像できない。情報が足りない。

「ベアトリーチェの隠し黄金」は本当に存在するのか?

 存在する。しかし、現在は碑文を解いてもそこにはたどり着けない(別の場所に移動されている)。
 碑文は金蔵が自己顕示欲のため(記念品的な)に掲示したもの。「ベアトリーチェの隠し黄金」は、元々あった碑文を解いたベアトリーチェが見つけてベアトリーチェのものとなったという流れで、最初からベアトリーチェのものというわけではなかったのでは? 黄金が先で碑文が後、ではなく、碑文が先で黄金が後なのではないか?
 黄金の出どころ自体は恐らくこの話ではさして重要ではないのでは。

留弗夫の「俺は今晩殺されるだろうな」という発言はなんだったのか?

 特段根拠があったわけではなく、親族会議の空気が不穏だったため、己の身を危惧しての発言であり、このあと起こることを予期していたわけではなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?