ライブ

 インターネットが壊れたので、良い機会と借りっぱなしのライブのBDを鑑賞した。曲目も知らずに再生したが、昔好きだったボーカロイド楽曲を歌っていたり歌唱力のゴリ押しで会場を黙らせていたりと、予想以上に自分好みのライブだった。
 ここではその時にふと思い出したことを書き留めておく。興行上のライブの良さ自体について考察するつもりはない。もっとミクロな、自分の実利的な話である。

 私にとってライブは最も音楽を楽しんで聴くことができる場である(人によってはクラブであったりするであろうから適宜置き換えてもらいたい)。言い換えると音楽に最も心理状態(つまり感情)が影響されるのがライブである。
 音楽による影響が普通よりも増幅されている状態では、音楽の各要素の効果を分析することがより容易になる。この箇所によってこのようなイメージが与えられたのだなとか、この構成によってこのような感情の変化が引き起こされたのだなというような因果がより簡単に感じ取れるのである。音楽的背景や元の心理状態等の要因も絡むために必ずしも自分への効果=他の人々への効果ではないが、この分析は様々な用途に役立つだろう(あまり思い付かなかったのでこういう表現にしてある)。
 更に、これは音楽以外、つまりアイドルのダンスや仕草、ボーカルのアドリブ、照明演出、イベント構成等にも同じことが言える。

 真面目に書いたが、実際にライブを観に行く際には余計な事を考えずそのリアルタイム性を楽しむ方が良いと私は考える。上のようなことはライブ円盤で可能だ(初見下での効果が失われるという欠点はある)。多くの同志と感動体験を共有する快感はリアルタイムで、現場でこそ味わえるものだろう。
 現在、そして数ヶ月先までそのような体験は世界から失われている。推しの初舞台はコロナ禍で消えた。一日でも早く大規模イベントが開催できる状況に戻ることを祈ってこの文章を締める。

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