ABELの秘密調査
ライター:近畿大学3年 高宗夕純
取材対象者:アベル株式会社 代表取締役:居相様
経営企画部:宮西様
2回目の企業訪問です!今回は早く到着しすぎたがため、近くの松屋の親子丼で腹を満たし企業訪問に臨みました。
「アベル」??
私がアベルと初めて聞いたとき、人気の某スマホのひっぱりハンティングゲームに登場するキャラクターが思いつきました。昨年獣神化していた気がします….。
ステンレスや黒色とは直接的に関係あるようには思えない「アベル」というネーミング。そこには深い意味がありました。
社長にお話を伺うと大きく2つの意味がこめられた熟考されたうえで生まれた会社名でした!
1,A+BELL
1つ目の由来は、最高の存在を表す「A」と、フランス語で美しいという意味の「BELLE」の略のBELを合わせて、一番美しいもの=最高の美を追求する会社としたものです。長い年月で培ってきた、一流の技術をもって常に最高の美を追求したいという思いが伝わってきます….。「技術力が強み」である会社であるからこそ生まれた名前のようです!分かりやすくまとめると図のような感じです。(下図)
2,聖書よりアベルとカインの物語
2つ目の由来は、聖書に登場するアベルとカインの物語のアベルに基づくそうです。こんな言い伝えがあります。
(ここで取り上げるのは弟のアベルの話です。)
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”最初の人間であるアダムとイブには二人の子供がいた。兄のカインと弟のアベルであり、アベルは羊を飼う仕事に携わった。聖書上では、神の創造した動物の中でもヒツジは特に無力と思われており、人間に導かれて守られる必要のあるものとして作られたかのような生き物であった。
アベルは、神エホバに対する愛と純粋な信仰があったが、その信仰が強くなるにつれて、「どうすれば信仰を行動で示されるだろうか」と考えていた。ある時、アベルとカインは神に何か捧げものをすることになったが、宇宙の創造者でもある神には、人間からの贈り物や助けは必要としていない。そこでアベルは考え、自分の持っているモノのうち「最良のモノ」を正しい動機でささげようと最良の子羊である初子をささげ大変神に喜ばれた。”
【参照】(閲覧日:2023/10/3)
https://www.jw.org/ja/ライブラリー/雑誌/wp20130101/アベルの信仰/ 「聖書に出てくるアベルは神に対する信仰を抱いていた」
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という話があります。
このストーリーのアベルの精神も社名に込められているようです。アベルは、試行錯誤した上で「最良のモノ」を捧げたことで神から認めらました。現在のアベル株式会社は、まちがいない強みである技術力で、お客様に認められるステンレス加工を行っています。このような共通点があることも「アベル」という会社名にこめられているのだと感じました。
アベルブラック
次に、ここからアベル株式会社の技術の塊でもある「アベルブラック」について私なりに感じたことを基にお伝えしていきたいと思います!
簡単に言うと、アベルブラック=ステンレス自体を黒くする技術です。私たちは普通、色を付けるといえば、絵具で紙に色を塗るときや、スプレーでモノに色を吹きかけるように「上から色を付ける」と想像しますが、アベルは、ただ塗って黒くしているというわけではありません。
一般的にステンレスを着色するには、ステンレスの上に塗装を施すことが普通ですが、アベルはステンレスの”酸化被膜を厚く”し、光の干渉を利用して、黒く認識させています。
ステンレスに色を塗るということではなく….
素材の元々持っている酸化被膜を成長させ、ステンレスをそのまま黒くする!
と考えたら分かりやすくイメージできました。下地金属と一体になっているため、はがれる心配がなく、耐久性などの金属本来の性能以上にすることができるそうです!
通常は、厚い被膜をつけると素地が隠蔽され、素材感がなくなってしまうが金属感を残したまま、色を付ける事ができるのはアベルブラックにおける発色法のみとのことです!
とても難しい技術が使われており、可視光性反射、物理的粗化、不動態被膜、酸化被膜など…..完全文系の私には若干難しい部分が多かったのですが、その間違いない技術力にはとても興味が湧きました!
もし詳細気になった方は下をご覧ください!!
【参考文献】(閲覧日:2023/10/3)https://www.abel-s.co.jp/abelblack/
アベルブラックの使用例としては、
有名なモノであると、スカイツリーのエレベータ―やスマホの部品、レクサス、東京オリンピックの選手村のサインボードなどです。ここで私が感じたのが「目につくモノ、高級感を出したいモノが多い!」ということです。本物の美しい黒であるからこそ、人の目につく商品に採用される事が多く、アベルからしか買えないというメリットを生かして、材料販売と受託加工の二方面から経営を行っているそうです。
ここで、少し誕生秘話について伺いました
現在では、アベルブラックという「最高の黒」を提供する会社ですが、もともとは、色は付けずにステンレスの電解研磨を行う会社であり、「近畿薬品工業」という社名であったそうなのです。しかし、1993年に創業50周年をきっかけに、社名の中の薬品という言葉が、企業実態にふさわしくなく、イメージと合わないという理由などから、社名を変えることになったそうです。
ここで、素朴ながらもどうしても気になっていた質問を、、
Q.「なぜ黒にしたのですか?」
A.「そのころは今のようにスマホではなく、ガラケーが主流であったんですけど、3か月に一回新しいものがでるような感じでした。町を歩いても、いろんな店に並んでいる商品には必ず”黒”が使われていました。他にも見た目の良さとか、反射防止に使われていたりと需要が高い、、、つまり皆から”選ばれる色”であると感じたから黒にしたのです。」
黒以外にも様々な色が表現できるようですが、あえて黒を選んだ社長さんかっこいいです…。確かに黒は、高級感や落ち着いた感じのイメージを持ちます。私たちの生活には大切な色であることは間違いないです。会社内にそろえられている完成した黒いステンレスは、とてもきれいで光沢さには圧倒されました。
今回は、アベルブラックの秘密や、誕生秘話など知ることができました。前回訪問では「”社長様”とお話しをする、、、、。」と意識しすぎて終始緊張の自分でしたが、居相社長、宮西さん、そして従業員さんの暖かい歓迎で少しずつ緊張もほぐれてきました。そして、アベル株会社の事業や技術力、魅力も見つけることができてきました!
次回は、アベルが拠点を置く中小企業が盛んな八尾市の一大イベントであり、10月に行われるFactorlSMでのオープンファクトリーの予告をお伝えします!!