徳川家康

徳川家康の遺訓に以下のようなものがあります。

人の一生は重荷を背負うて遠き道を行くが如し。急ぐべからず。
不自由を常と思えば不足なし。心に望みおこらば困窮したる時を思い出すべし。
堪忍は無事長久の基、怒りは敵と思え。
勝つことばかり知りて、負くることを知らざば害その身に至る。
己を責めて人をせむるな。
及ばざるは過ぎたるより勝れり。

様々な困難に立ち向かう人、忍耐の時を過ごす人を江戸時代から支えてきた言葉です。私もいま育児において改めてこの言葉を想起しています。

子を育てることは単純に重荷だけではありません。しかし、生活習慣が変わる、睡眠が不定期になる、仕事ができなくなる、時間がなくなる…。これらの変化は子を大切に思うが故に重く自分たちの生活にのしかかってきます。子が泣くのを、心を冷静にしてあるいは微笑みながら対処できるようになるにはまだ少し時間がかかりそうです。この子と過ごしていくこれからの人生はまだまだ先がある遠き道であり、今は心に不自由が多き時かもしれませんがそれが常なのかもしれません。もしかしたら、数週間後には今の困窮が将来振り返るべきレパートリーの一つになっているかもしれません。

葛藤することは、たいがい苦労する面ばかりを注目してしまいがちなように思います。しかし、それと同じだけの望みがあるからその苦労から逃げ出さずに悶えているのです。人が一生背負う重荷は、人に無尽蔵に湧き上がってくる望みのことなのかもしれません。私はひとまずこの子の首が据わって、その頃には暑さも去って、秋の公園を一緒に散歩に行ける時まで堪忍かなと思っています。

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