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ばばあの骨

 最近、noteで古く静かなお寺や神社の
参道の写真を見せて頂いています。
そしてこの季節、ふと思い浮かぶ詩が
「ばばあの骨を捨てばやと」です。
詩の由来も、題名もずっとわからなかったのですが、昔の映画監督の、小津安二郎さんの作でした。ちなみに、「ばばあ」というのはお母様とのこと。小津さんは、このお母様をとても大切になさっていたそうです。少し長いですが、良かったらお読み下さいね。

高野行

ばばあの骨を捨てばやと
高野の山に来てみれば
折からちらちら風花が
杉の並木のてっぺんの
青い空から降ってくる
太政大臣関白の
苔のむしたる墓石に
斜にさしこむ夕日影
貧女の一燈またたいて
去年に焼けたる奥の院

梢にのこるもみじ葉に
たゆとう香華の煙にも
石童丸じゃないけれど
あわれはかない世の常の
うたかたに似た人の身を 
うわのうつつに感じつつ
今夜の宿の京四条
顔見世月の鯛かぶら
早く食いたや呑みたやと
高野の山を下りけり

ちらほら灯る僧院の
夕闇迫る須弥壇に
置いてけぼりの小さな壺
ばばあの骨も寒かろう

※高野山の写真を持っていないので、フリー素材をお借りしました。

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