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エクシア合同会社の研究 その4

 エクシア合同会社がCFD取引によって利益を得るスキームは、エクシア合同会社の主張からすると、次のような変遷を経ている。まず、①イギリス法人であるEXIA LIMITED(2013年設立)にエクシア合同会社(2015年設立)が貸し付けを行い、その資金をイギリス法人で運用を行いその利息をエクシア合同会社が営業利益として受け取り、出資者に分配する、②シンガポール法人であるEXIA PRIVATE LIMITEDが設立された2017年1月末以降は、同法人がエクシア合同会社に貸し付けを行い、シンガポール法人が運用を行いその利息をエクシア合同会社が営業利益として出資者に分配する、③関戸直生人が弊職に話した内容では、2021年2月からは、自社で運用を行っている。

 ① 、②においては、エクシア合同会社が出資者から集めた資金を、第三者に貸し付けていることになる。この点、親子会社関係にない会社への貸付であれば、金銭の貸し付けを業としているので、貸金業法の規制を受ける。

 エクシア合同会社は、シンガポール法人との関係においては、シンガポール法人はエクシア合同会社の親会社であり、このため、貸金業法上必要とされる登録は必要がないという姿勢を取っていた。しかし、後に、2020年6月30日になって、登録を行っている。

 そこで、EXIA LIMITEDやEXIA PIVATE LIMITEDがエクシア合同会社の親会社であったのかが問題となるが、この点、エクシア合同会社が出資者に交付していた資料である定款を確認すると、EXIA PRIVATE LIMITEDが60万円、菊地翔が39万円、鹿野伊織が1万円を出資したことになっている。

 ここでそもそも論を考えていこう。

 エクシア合同会社によるEXIA LIMITEDへの貸付を合法であったと言いうるためには、EXIA LIMITEDがエクシア合同会社の親会社であったという建付けが必要である。

 そして、そのEXIA LIMITEDが保有していたエクシア合同会社の持分を、EXIA PRIVATE LIMITEDに譲渡したという建付けが必要となる。

そのような事実があったのか。

 既に『エクシア合同会社の研究1』でみてきたように、EXIA LIMITEDは、資本金100万ポンドの払い込みなく、休眠状態のまま2018年で解散している。

 出資する原資もなく、どうやって、エクシア合同会社に出資したのか。

 また、EXIA PRIVATE LIMITEDがEXIA LIMITEDからエクシア合同会社の持分を取得したと仮にしよう、譲り受けたその持分は資産になるはずものである。

 しかし、すでに『エクシア合同会社の研究2』で見てきたように、EXIA PRIVATE LIMITEDの会計情報をみると、資産は2017年の段階ではなく、2018年には、わずか4236シンガポールドル、為替レートを1シンガポールドル80円と措定して計算すると、日本円で33万8880円しか存在しない。


 EXIA PRIVATE LIMITEDの資産状況からすれば、エクシア合同会社の持分という資産が2017年の段階には計上されていないし、2018年の段階においても、60万円を出資している前提だと、金額的に齟齬が出てくる。

 以上を踏まえると、エクシア合同会社の親会社として、EXIA LIMITEDやEXIA PRIVATE LIMITEDが存在していたのかについては、公開情報からは疑問を持たれるものであり、その点についてエクシア合同会社からの説明が待たれる。

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