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代替財源の標的は交際費か

 2020年度税制改正で、企業の交際費のうち損金に算入できる枠を縮小する案が検討されています。交際費の制限によって税収を確保し、ベンチャー投資を促す減税措置に代わる財源に充てます。企業による接待交際は企業活動に不可欠との見方がある一方で、その効果が確認しづらいことから損金算入ルールは不要との声もあり、代替財源としてのターゲットに浮上した格好です。

 政府が検討しているのは、企業交際費の一部を会社の損金として認める特例措置のうち、大企業を対象とした部分です。現行制度では、大企業は飲食費のうち50%、中小企業は800万円または飲食費のうち50%までを損金に算入できます。このうち大企業に求められる飲食費の50%上限について、廃止も含めて検討するとのことです。

 国税庁がまとめた最新の会社標本調査によると、資本金等1億円以上の黒字大企業が1年間に使う交際費は1社当たり約3750万円。そのうち600万円ほどが損金に算入されています。

 接待交際費への課税強化は、会社づきあいや情報収集を難しくするとの声のほか、接待需要を減らして景気に悪影響との意見もあり、年末に向けた議論は難航しそうです。なお今回の検討では、中小企業の交際費は対象になっていません。

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