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関係詞牽引(relative attraction)とは何か&その実例&ちょっと洋書紹介

まずは次の問題に挑戦してみてください。

He came with a girl (who / whom) he said was his cousin.「彼の話ではいとこだという女の子といっしょに来ました」(『英文法解説』p.74)

伝統的な文法に則れば、答えは主格の関係代名詞 whoです。この手の問題は大学入試などにも出題されます。

簡単に解説すると、上記の文は本来 He came with a girl. と He said SHE was his cousin. という2つの文で成り立っており、本来は主語であるsheが関係代名詞に代わって2つの文を接続しているので、主格の関係代名詞whoが適格とされるのです(このような関係詞を「連鎖関係代名詞」と呼びます)。

ここまでが大学入試のレベル。でも、実際には目的格の関係代名詞 whomも使われます。理由は簡単。関係代名詞がsaidの目的語のように感じられるから(それが理由で、英語学習者も whomを選んでしまうことが多い)。

つまり、He came with a girl whom he said was his cousin. という形も用いられるんです。この現象を、「関係詞牽引(relative attraction)」と言います。

先日 'Tuesdays with Morrie' という本を読んでいたら、まさにこの関係詞牽引(relative attraction)が起こってました(「起こっている」っていう言い方で良いのかな?笑)。

It's not the same as having someone whom you know has an eye on you, is watching you the whole time. 「(単に)目をかけてくれていて、いつも見てくれていると分かっている人がいるのとは同じじゃないんだ」(92)

ちなみに、'Tuesdays with Morrie' はこの後も同様に whoを使うべきところでwhomを使いまくってます。 

書籍なので、編集者の目も(そして手も)入っていると思いますが、意図的にそのままにしたのでしょうか、それとも違和感を感じずにスルーしたのでしょうか。いずれにせよ、それだけネイティヴ・スピーカーにとっても違和感がなくなっているということでしょう。

ちなみにちなみに、'Tuesdays with Morrie' は語彙もそんなに難しくなく、邦訳版も出ているので英語の勉強(多読)に最適です(私にとっても最適でした)。内容もとても面白いので本当におすすめです。

さて、ここで問題になるのは、わざわざ「連鎖関係代名詞」なんていう「グレーゾーン」を、難問として大学入試に出題する意味がどれほどあるのか、ということでしょう。

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