人生最後の一滴
最近の子どもたちの様子がどこかおかしい。
集中力が無く、落ち着かない。
稲葉さんは、学校の教員をしていて感じた違和感の正体を自分自身で調べ上げ、その根本の原因は農産物を生産する際に使用している農薬が原因だと確信。
それから教員を50代半ばで早期退職。
農薬を使わずに、主食である米を栽培する方法を研究し始めました。
現在、日本の有機稲作技術のベースとして普及しているものの多くが民間稲作研究所で編み出されたものでもあり、僕の有機農業の師匠の師匠が稲葉さんでもあります。
こんにちは。
ここ2.3年は暖冬だったせいか、気温が最低マイナス5℃を下回る日が多い最近の寒さが厳しいです。
そんな中、先日栃木県の民間稲作研究所に行ってきました。
民間稲作研究所とは、故 稲葉光國さんが約30年前に立ち上げた組織です。
今日は少しだけ稲葉光國という人間の話。
↑約1分の動画です。ポチッと再生してみてください。
研究所に着くと、稲葉さんの奥さんが案内をしてくれました。
僕は稲葉さんにお会いしたことはなく、また研究所に行くのも初。
一通りの話と用事を終えると、奥さんが僕に小さな箱をくれました。
中にはクラフトビールが2本。
生前の稲葉光國が人生最後に収穫した大麦からできているビールとのこと。
もちろん有機無農薬の大麦から作られている。
オーガニックビールはスーパーでたまに見かけるが、国産有機大麦が原料のビールなんて物は希少も希少。ほとんど存在なんてしていません。
そして「稲葉さんが収穫した大麦」は今後二度と生産されることはない。
つまりこのビールの一滴一滴が唯一無二のプレミアムビールなのだ。
こんな貴重な物を僕がいただいてしまっていいのだろうか…?
そしていつ飲んでいいかわからない…苦笑
稲葉光國とはいったいどんな人物だったんだろう?
帰りの車の中で、師匠に聞いてることにした。
以上が僕から見た稲葉光國さんの半生。
亡くなる1ヶ月前まで、元気にコンバインで大豆を収穫していたそうです。
まだ70代半ば、夢はこれから大きな大きな実を結んでいこうとしていた頃でした。
まだまだ稲葉先生のご指導を受けたい。僕の師匠を始め、たくさんの方が稲葉さんにはまだまだ活躍して欲しいと願ってたそうです。
その年の春には「私たちの有機稲作の技術は完成した。」と宣言し、マニュアル本とDVDを世に送り出していました。
なるほど、知れば知るほど、ものすごい男だ。
分厚い追悼文集には、稲葉さんとの出会いをきっかけに人生ガラッと良い方向に変わったという声が多数あった。
僕はその人の話を、人づてに聞いているだけで圧倒された。
「一人の人間を起点に、30年でこんなにもたくさんの変革をもたらすことができるのか…!?」と。
農業の問題、環境問題、貧困問題
自分一人や小さなコミュニティーで取り組んでも、どうにも解決できないし、解決に一歩でも向かっている実感すら感じられなかったりすることが僕にはある。
けれども稲葉さんの生き様を知ると不思議と希望が見えてくる。
たった一人から始めて、社会を変えていった人間が、ついこの間まで身近なところに居たんだという希望が。
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今回も読んでいただいてありがとうございました。
稲葉さんはYoutube上にも講演会の動画などが残っています。
興味が湧いてきたという方は検索してみるとよいでしょう。
また、研究所は質の高い有機農産物の販売もしています。
ぜひとも買って応援をお願いしたい!日本の未来のために!
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