この世界はすべて、自分の意識の投影である
誰かと深い話をし、深い部分でコミュニケーションをとりたいと願うなら「投影」というこの概念を疑うことなく、いや前提としてお互いが話をすすめていかなければならなくなるだろう。さもなければ、相手に自分の心(意識)のうちの「なにか」を投影してしまって、そこから深く入っていくことが不可能になるからだ。
「投影」=心理学的レベルでは
心理学における投影(とうえい、英: Psychological projection)とは、自己のとある衝動や資質を認めたくないとき(否認)、自分自身を守るために、他の人間にその悪い面を押し付けてしまう(帰属させる)ような心の働きを言う
私が「投影」という概念を知ったのは、ナース時代のコミュニケーションの研修での心理学的用語だった。そして、それは心理的、危機的状況にある患者さんの心の働きとしてのもので、普通な状態や、健全な場合におこるものではない、として認識していた。
40代に入って、A Course In Miracles(奇跡講座、奇跡のコース)のWork bookにとりかかった時、まずはじめにわたしが認識しなければならなかったことは
「誰も、本当は何も見ていない。人は自分の想念が外に投影されたものを見ているだけである。」(workbook Lesson8より)
と、いうことを受け入れることであった・
「自分の想念」というものは、過去の経験の積み重からできており、その過去の遺物を通して世界を見ている限り、わたしは罪悪感にとらわれ、苦しみの檻の中から抜け出すことは不可能となる
したがって、そもそも過去について考えること自体が、幻想について考えることである。(workbook Lesson8より)
40代にはいって、私はどのように生きたらよいのか、全くわからない状態だった。どれが正しいのか、どうしたら間違わないのか、自分が被害や損害にあわないようにするにはどうしたらいいのか、正しい子育てとはなになのか、人生の成功、正解とはなになのか、をつかめないままだった。そしてそれらを自力で構築しようとすればするほど苦しみもがいた。
閉塞感、息苦しさ、拘束感、わたしはそこからどのようにしたら脱出できるのかも探していたが、それはまるで自分で自分の牢屋の檻を強固にしながらそこからの脱出をも考えるという非常に矛盾したことをしていたと、今ならわかる。
あなたが自分が動揺しているのは、恐ろしい世界、悲しい世界、暴力的な世界、狂った世界などのせいだと考えている。しかし、こうした属性はすべてあなた自身がこの世界に与えたものである。世界そのものには意味はない。
(workbook Lesson12より)
あなたが見ているすべてはあなたの考えがもたらす結果である。この事実に例外はない(workbook Lesson16より)
あなたは、自分が欲するものを見るようになる。これが、この世界の原因と結果の法則である。(workbook Lesson19より)
この自分の心がつくってしまっている監獄から抜け出す鍵は「投影」という概念を受け入れ、この世界はすべて自分の意識が作りだしてしまっている幻想である。ということを見極めることのできる新しい目を持つことが大切なのだ。
今、友人からの薦めで、映画監督、アレハンドロ・ホドロフスキーの「タロットの宇宙」を読んでいる。カモワンタロットの復刻版の制作者でもあるホドロフスキーの本の中に「本来タロットは投影的な道具であり、決定的、唯一、完全といった形を持たない」と書かれてある。そしてタロットカードリーデングとは、予言、占いといったものに使う道具ではなく、カードに何を投影させているかをじっくり読み、その投影されているが故にはめてしまっている足枷を外し、その次の段階へとすすむために、エネルギーの円滑な流れを回復するための道具であるのだと。
タロットカードも、人間関係も、この世界にみえるいろいろなことも、自分が投影しているものとして見ることができるようになるなら、私が目の前の人やモノに違和感を抱く時、それは自分の意識が過去の遺物を投影してしまっていて、相手は鏡としてそれを見せてくれているだけだと認識することができるようになるだろう。
すると、簡単ではないかもしれないが、そこから抜ける道も開けてくる。
さあ、この文を読んで
この世界はすべて、自分の意識の投影である
ということを受け入れてもいいと思うことができたでしょうか
ぜひ、わたしと深いコニュニケーションをいたしましょう
2018/7/12