参院選勝利へキックオフ!      市民と野党のつどい@18区 のお知らせ

#神奈川18区市民の会 は4月29日(祝・金)14時から、参院選勝利利へのキックオフ集会『市民と野党のつどい@18区』を開催します。
youtubeでライブ配信予定です。⇒

一橋大学名誉教授の渡辺治さんの講演、市民と野党のリレートークなど。
渡辺治さんの講演のレジュメと資料は以下のとおりです。
改憲をめぐる新局面と9条を生かした平和への戦略

市民と野党のつどい@18区「参院選勝利へキックオフ!」講演  渡辺 治

はじめに

・ロシアのウクライナ侵略で、世界平和が危機にさらされている、

・ロシア侵略に対する抗議の声と同時に、それに便乗して改憲、9条破壊の策動の活発化

・岸田政権はなぜ改憲、9条破壊策動を強めているのか?

・日米軍事同盟強化、改憲で日本とアジアの平和は確保されるのか?

・日本とアジアの平和のためには?

 

1 安倍・菅の改憲政治は9条をどこまで破壊したのか?

ウクライナ侵略に便乗した岸田政権の改憲、9条破壊策動は、安倍・菅政権の政治の継承

では、安倍・菅の改憲政治は憲法9条をどこまで壊し、また、壊せなかったか?

(1)安倍政権は歴代政権でできなかった「戦争する国」づくりを推進した

(a)14年政府解釈改変と15年安保法制制定強行による9条破壊の新段階へ

  憲法9条は、自衛隊の活動に大きな制約を

―集団的自衛権行使禁止、自衛隊の海外派兵禁止の解釈

90年代以降、アメリカの圧力のもと自民党政権は、自衛隊の海外派兵を狙った、

小泉政権は、自衛隊のインド洋海域への派遣、イラク派兵で、9条に大穴を開けたが・・・

安倍首相はその制約の打破を狙った−2014年政府解釈改変、15年安保法制

   集団的自衛権行使容認、アメリカの戦争に加担して世界どこの戦場でも派兵できる体制

    特に重大な「存立危機事態」における集団的自衛権行使による自衛隊の武力行使

 (b)「戦争する国」完成のため安倍首相は明文改憲に踏み切った

17年5月3日、改憲提言、切り札としての自衛隊明記論など改憲4項目(資料1)

しかし、市民と野党の共闘のがんばりが安倍の明文改憲の野望を挫折させた

安倍政権、退陣に追い込まれた

(2)菅政権は、安倍政権を継承しただけでなく、さらに危険な段階へ

 菅は安倍に比べ、改憲・9条破壊の熱意薄かったのになぜ?

 (a)トランプ政権下でアメリカの世界戦略の転換=対テロ戦争から米中軍事対決路線へ

  ①冷戦後アメリカの世界戦略―自由な市場の維持・拡大、対「ならず者国家」対テロ戦争戦略

世界の警察官として、戦争続けている間に、中国の台頭・覇権主義大国化

  ②大企業のためのアメリカの覇権主義と政治的狙いに基づく中国の覇権主義

中国にアメリカの覇権を容認しない国が結集―中国・ロシア・イランの独裁国同盟

③「ならず者国家」、テロリストに対する戦争戦略から中国覇権主義との競争・軍事対決戦略へ

   転換点、トランプ政権―17年国家安全保障戦略、18年国防戦略、

  ④日米軍事同盟、日本の役割の変化-対中軍事包囲網の前線、一翼へ

 (b)バイデン・菅政権下で日米軍事同盟の新段階へ

  バイデン政権の新段階―トランプ政権の一国主義打破、対中軍事対決を軍事同盟網の強化で

21年4月16日、日米共同声明(資料2)

①軍事同盟範囲の「インド太平洋地域」への拡大、②中国脅威論の表明

③新「台湾条項」―台湾への米軍介入の場合、自衛隊の武力行使含む加担、安保法制の変貌

「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調し」

アメリカはこれを入れたかった

④共同作戦体制強化、「自らの防衛力の強化」、辺野古、馬毛島基地建設促進を約束

(c)菅政権は対中軍事対決に照準合わせた9条実質破壊の加速化

特に注目されるのは安倍政権の「置き土産」―「敵基地攻撃能力」保有論の実行

なぜ、安倍は突然、「敵基地攻撃能力保有」論か?

もともと敵基地攻撃論、1956年鳩山政権下での答弁

「敵基地攻撃能力」は政府解釈で歯止め、ところが、安倍首相、その解釈の改変狙う

―相手は中国、トランプ政権の戦略転換を受けて

しかし、菅首相、支持率上がらず、不十分、12月閣議決定、21年度予算に挿入しただけ

(d)菅政権は明文改憲にも乗り出す-5月3日改憲派集会へのビデオメッセージ

   安倍もできなかった改憲手続法改正強行-衆院選乗り切れば、憲法審査会での改憲案審議入り

   しかし、菅政権もコロナ蔓延で、退陣余儀なくされ、改憲、憲法破壊は中途で頓挫

(3)岸田は、政権獲得のため、改憲・9条破壊政治継承の箍をはめられた

安倍は岸田を警戒、総裁選で安倍・菅政治継承の仕掛け、岸田にタガをはめた

 異例の総裁選、高市立候補、岸田―任期中の改憲、「敵基地攻撃能力」保有実行を約束

(4)立憲野党は、自公政権を倒し安倍・菅の改憲政治の転換目指す共闘へ

  今回の総選挙は特別の意義あった-自公政権に立憲野党の共闘が政権目指して対抗

  安倍政権の安保法制に反対し「市民と野党の共闘」

  安保法制廃止、安倍改憲反対での一致点で、政治を変えるため「市民連合」

  6年9ヶ月の経験を経て、21年9月8日20項目の共通政策(資料3)、政権合意


2 総選挙後、新たな局面に入った岸田政権の改憲策動

*総選挙後の岸田政権の改憲策動を活発化させた2つの要因

(1)第1の要因―総選挙後、憲法をめぐる新たな政治配置

 (a)総選挙の結果

岸田自民党は議席減らしたが絶対安定多数261獲得、公明32と相まって自公政権は維持

総選挙で維新41議席の伸長により改憲勢力は334議席、3分の2を維持し改憲の新たな局面へ

立憲野党は善戦健闘したが自公政権を倒す目標の実現はできず

なぜ野党共闘は自公政権を倒せなかった?

 (b)改憲をめぐる政党の変化

維新の伸長41議席と改憲積極発言―松井代表の11月2日発言、安倍発言に呼応して核共有論

   国民民主党の共闘離脱と改憲積極論―玉木代表の毎週開催発言、与党幹事懇に出席、改憲案

(2)第2の要因―バイデン政権の軍事同盟強化の圧力と日米軍事同盟強化の約束

  日米軍事同盟の実行へ-1月7日、日米安全保障協議委員会(2+2)共同発表(資料4)

   ①中国の脅威に対し、共同での「抑止」「対処」に踏み込んだ

   ②日本の防衛力の「抜本的強化」

「ミサイルの脅威に対抗するための能力」(=敵基地攻撃能力)も含め

「国家の防衛に必要なあらゆる選択肢の検討」を約束

辺野古、馬毛島推進の明記

   ③日米同盟の役割分担の見直し=「専守防衛」の見直し、約束

日米「共同計画」すなわち日米共同作戦計画策定を明記

 

(3)岸田政権の9条破壊政策の展開―「敵基地攻撃能力」保有へ

 (a)日米2+2の約束に基づく、敵基地攻撃能力保有の実行

   軍事同盟の新段階に合わせた「国家安全保障戦略」ほか3文書改定

   2月16日、岸防衛相「相手国領域内での空爆」「排除しない」

 (b)ウクライナ侵略に便乗した、日米共同軍事行動の緊密化、役割分担の見直し

   2月26日、林・ブリンケン会談「力による現状変更、欧州に止まらない」

    「日米共同の抑止力、対処力強化」

   2月27日、安倍による「核共有」論、高市ら自民党、維新の会の追随、非核3原則見直し論

   「敵基地攻撃能力保有」論の活発化

  3月13日、自民党大会「我が事として」、党是である改憲、参院選で勝利、

自民党安全保障調査会、「提言」

-中、ロ脅威、敵基地攻撃能力保有を「反撃力」と置き換えて保有、防衛費対GDP比2%

(4)明文改憲の実現へ-地域・草の根と国会をクルマの両輪で

 (a)国会での政治配置の変化に乗って明文改憲へ

   岸田自民党、2つの課題をクルマの両輪で―地域、草の根での活動、憲法審査会での改憲論議

   3月13日、自民党大会「今回の暴挙を我が事と捉え」「防衛体制の見直し強化」

    「憲法改正という党是を実現しよう」

 (b)地域・草の根の活動強化

   自民党、11月19日「憲法改正推進本部」を「憲法改正実現本部」に-全都道府県に実現本部

   連休までに全都道府県で、研修集会、参院選までに2回(資料1)

 (c)憲法審査会での改憲案審議を加速

   憲法審査会において自・公・維新・国民の連携作り目指す、立憲、共産の孤立化

   憲法審査会の毎週開催、緊急事態改憲論

   参院選に向け、改憲論議の進行策す、参院選で改憲勢力3分の2の復活

 

3 改憲策動にいかにたち向かうか?

  ―日米軍事同盟強化では日本とアジアの平和を作ることはできない-

(1)日米軍事同盟で日本の平和は実現できるのか? 

(a)軍事同盟強化、改憲では日本とアジアの平和は実現できない

   *ロシアのウクライナ侵略は軍事同盟と軍事対決では世界の平和は実現できないこと示した

 ①日米軍事同盟強化では、米中軍事対決のエスカレート、中国・ロシアの軍拡の格好の口実

②パレスチナ、アフガン、ミャンマー、香港、北朝鮮への国際的共同行動できず

 ウクライナ侵攻危機にも国際的共同行動、とれず

    プーチンはなぜ侵略に踏み切ったか?侵略しても国際的制裁を受けないという見込み、

③米軍の介入の場合、日本は対中軍事作戦の最前線に

 (b)ではどうやって、日本とアジアの平和を実現するのか?−9条に基づく平和の実現

   1)9条は無力か?

    戦後日本77年にわたる平和はなぜ維持された?アジアで戦争も虐殺もないのは日本だけ

    安保条約+自衛隊か、憲法か?

    憲法の制約で、集団的自衛権が発動されなかったから

   2)9条はウクライナをつくらせない、「台湾有事」をつくらせない

    戦争や侵略はある日突然起こるものではない、“今にも中国が攻めてくる”ことはない

    日本が戦争に巻き込まれる危険―台湾有事への集団的自衛権、尖閣武力衝突

    いずれも、今までも防いできたし、防げる

    9条は武力によらない平和を実現するアジアと世界を作ることを政府に義務付けている

    そのために緊急に必要なこと

     1)軍事対決の亢進にストップを―

日本は改憲やめる、安保法制止める、核禁条約批准、核軍縮、通常軍備軍縮締結

2)紛争解決に武力を使わない約束、ルール―尖閣、台湾、

     3)国連の機能回復と強化、国連改革−141カ国の声を力にしていく

    イニシアティブをとれる国は日本だけ

     日本の条件―9条を持つ、戦後外国に武力で侵攻したことない、経済的に縛られていない

     日本の問題点―安保条約、とりわけ安保法制、戦争責任を謝罪していない

  武力によらない解決を望む国は少なくないーA S E A N、韓国、EUの一部

3)こうした憲法に基づく政治は自公政権では無理、9条とは逆の方向、政権交代の必要

4)当面は、改憲を阻止する、敵基地攻撃能力保有を絶対認めない、安保法制発動を阻止

(2)憲法を守るには市民は何をしたら良いのか?

(a)国会の情勢変化で強まる市民の運動の大きな役割

憲法審査会を監視し、立憲野党を励ます運動を

「憲法改悪を許さない全国署名」を手に改憲の危険性を訴えよう

(b)改憲阻止の闘いを参院選での改憲勢力3分の2の阻止目指す闘いに

 

むすびにかえて―いまこそ、9条!

(1)戦後77年に確信を-戦後75年、憲法を守り他国に武力で侵攻せず、侵攻されなかった

  この方向を強化するのか、改憲と軍事同盟の道に踏み込むのかの岐路に

(2)改憲と軍事同盟の道から離脱するには、自公政権を変え、共闘による政権交代しかない、

  共闘をめぐるジグザグは不可避、しかし、この道しかない

  共闘の再建・強化は市民の草の根の闘いから

4月6日市民連合「2022参院選に向けた主要な政策課題についての市民連合の考え方」(資料4)

(3)改憲反対の新署名を手に 署名の取り組みと並んで学習運動を、この力を参院選に

  今度の参院選、平和と憲法を大きな争点に、改憲勢力3分の2を許さない

資料

         市民と野党のつどい@18区講演・資料           
                      22.4.29.渡辺 治

 
(資料1)2018年3月25日自民党大会に向けまとめられた改憲4項目案
[9条]
 (第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。)
 9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
(2)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
[緊急事態条項]
 64条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又(また)は参議院議員通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の三分の二以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
 73条の2 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
 (2)内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
[合区解消]
 47条 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも一人を選挙すべきものとすることができる。
 (2)前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。
 92条 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。
[教育]
 26条(3) 国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓(ひら)く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。
 89条 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
 
(資料2)日米首脳共同声明「新たな時代における日米グローバル・パートナーシップ」2021年4月16日
日米同盟は揺るぎないものであり、日米両国は、地域の課題に対処する備えがかつてなくできている。①日米同盟は、普遍的価値及び共通の原則に対するコミットメントに基づく自由で開かれたインド太平洋そして包摂的な経済的繁栄の推進という共通のビジョンを推進する。
日米両国は、主権及び領土一体性を尊重するとともに、平和的な紛争解決及び威圧への反対にコミットしている。日米両国は、国連海洋法条約に記されている航行及び上空飛行の自由を含む、海洋における共通の規範を推進する。(以下略)
④日本は同盟及び地域の安全保障を一層強化するために自らの防衛力を強化することを決意した。米国は、核を含むあらゆる種類の米国の能力を用いた日米安全保障条約の下での日本の防衛に対する揺るぎない支持を改めて表明した。
米国はまた、日米安全保障条約第5条が尖閣諸島に適用されることを再確認した。日米両国は共に、尖閣諸島に対する日本の施政を損おうとするいかなる一方的な行動にも反対する。
日米両国は、困難を増す安全保障環境に即して、抑止力及び対処力を強化すること、サイバー及び宇宙を含む全ての領域を横断する防衛協力を深化させること、そして、拡大抑止を強化することにコミットした。
日米両国はまた、より緊密な防衛協力の基礎的な要素である、両国間のサイバーセキュリティ及び情報保全強化並びに両国の技術的優位を守ることの重要性を強調した。
⑤日米両国は、普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策である、辺野古における普天間飛行場代替施設の建設、馬毛島における空母艦載機着陸訓練施設、米海兵隊部隊の沖縄からグアムへの移転を含む、在日米軍再編に関する現行の取決めを実施することに引き続きコミットしている。
日米両国は、在日米軍の安定的及び持続可能な駐留を確保するため、時宜を得た形で、在日米軍駐留経費負担に関する有意義な多年度の合意を妥結することを決意した。
②菅総理とバイデン大統領は、インド太平洋地域及び世界の平和と繁栄に対する中国の行動の影響について意見交換するとともに、経済的なもの及び他の方法による威圧の行使を含む、ルールに基づく国際秩序に合致しない中国の行動について懸念を共有した。
日米両国は、普遍的価値及び共通の原則に基づき、引き続き連携していく。
日米両国はまた、地域の平和及び安定を維持するための抑止の重要性も認識する。
日米両国は、東シナ海におけるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対する。
日米両国は、南シナ海における、中国の不法な海洋権益に関する主張及び活動への反対を改めて表明するとともに、国際法により律せられ、国連海洋法条約に合致した形で航行及び上空飛行の自由が保証される、自由で開かれた南シナ海における強固な共通の利益を再確認した。
③日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す。
日米両国は、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する。
(以下略)
 
 
 
 
 
 
 
(資料3)「衆議院総選挙における立憲野党共通政策の提言 」
  新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。
 市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。
1 憲法に基づく政治の回復
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。
・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。
・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。
・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。
2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。
・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。
・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。 
3 格差と貧困を是正する
・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。
・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。
・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。
4 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。
・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。
・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。
・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。 
5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。
・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。
・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。
6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。
・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。
・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。
2021年9月8日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合
上記政策を共有し、その実現に全力を尽くします。
立憲民主党代表、日本共産党委員長、社会民主党党首、れいわ新選組代表 署名
 
 
(資料4)日米安全保障協議委員会(2+2)共同発表 22.01.07
(資料5)2022 年参議院選挙に向けた 主要な政策課題についての市民連合の考え方    2022 年 4 月 6 日/拡大運営委員会                            国連憲章、国際法を踏みにじるロシアによるウクライナ侵略は、世界を「専制と隷従、圧 迫と偏狭」(日本国憲法前文)の時代に引き戻す暴挙であり、立憲民主主義のコントロール を受けない国家権力がいかに自国と他国の人びとにとって危険なものであるかを世界に示してしまいました。私たちはあらためて日本国憲法の理念を確認し、この参議院選挙を平和 と立憲民主主義を守るための努力の起点としなければならないと考えます。                     そのために、市民の皆さんと立憲野党に以下の政策課題に対する考え方を共有し、1 人区 において最大限の候補者調整を進め、著しく損なわれてしまっている国会のチェック機能を 回復させることを強く要望します。                           投票率が低迷するまま立憲野党が惨敗し、生活者や労働者の声が国会に届かなくなるよう な恐ろしい事態は絶対に避けなくてはいけません。2016 年からの野党協力の実績と成果を 踏まえ、中央と地方の双方のレベルで、政策合意と候補者一本化へ向けた話し合いをいっそう加速させることを呼びかけます。
1. 日本国憲法に基づく平和国家路線の堅持と発展
核兵器の使用さえ取り沙汰されるなか、戦争の拡大は絶対に避けなければならず、東アジ アにおける平和の醸成の必要もいよいよ切実さを増しています。今こそ、日本は憲法の理念 に基づき、平和国家としての生き方を堅持し発展させるべきです。ロシアのウクライナ侵略 の機に乗じた憲法 9 条改正、敵基地攻撃能力の保有、核兵器共有、集団的自衛権の行使など の動きを許さず、安保法制の違憲部分を廃止し、あくまでも憲法の理念に基づく平和外交に 徹して日本の安全を確保することが、世界の平和創出にも資すると考えます。権力者たちが 武力で武力を抑え込めると思い違いを起こした時、犠牲になるのは一般市民です。
2. 暮らしと命を守るための政策の拡充
コロナ禍のなか自粛、自助、自己責任を強いられてきた暮らしと経済が、戦争と経済制裁 の影響でいっそう厳しい状況に直面しています。新型コロナウイルスやインフレから国民生 活を防衛するために積極的な財政支出をするとともに、格差・貧困を解消するために中期的 な観点から社会保障、福祉、雇用、教育などの分野の政策を拡充することが不可欠です。分 配・再分配の強化から成長へとつなげることをしっかり求める立憲野党の存在がなければ、 政権与党が選挙の前だけ「新しい資本主義」のスローガンや見えすいたバラマキ政策でごまかそうとすることは明らかです。
3. 気候正義の実現とエネルギー転換
豪雨や猛暑、大寒波などの極端気象の頻発は、世界各地の人びとの暮らしを脅かすだけで なく、グローバル経済や安全保障上のリスクにもなっています。これに加えて、ロシアのウ クライナ侵攻の暴挙が明らかにしたのは、化石燃料への依存が侵略戦争を引き起こしたいび つな寡頭支配(オリガルヒ)を下支えしてきたことであり、これに対する経済制裁がまた世 界経済とエネルギー危機に直結しかねないことです。戦争が始まるや原子力発電所が標的と なることも明らかになりました。経済や安全保障上のリスク軽減の観点からも、原発に頼ら ないエネルギー転換を進め、脱炭素社会を早期に実現することが喫緊の課題です。
4. ジェンダー平等の実現と人権保障の徹底
コロナ禍に加えてロシアの引き起こした戦禍もまた、ジェンダー視点がいかに政治にとっ て不可欠かを指し示しています。暮らしや命が危険にさらされた時、ジェンダー差別の構造 がそれぞれにいっそう先鋭化して人びとを追い詰めるのです。逆に言えば、政治をはじめと したさまざまな意思決定の場でジェンダー平等を実現し、人権保障を徹底することから、暮 らしや命を顧みないマッチョな権力構造を変え、本当の安全保障も持続可能な経済も始まる はずです。パリテ(政治代表の男女均等原則)や選択的夫婦別姓制度などを実現し、さらに は LGBTQ、外国人、障がい者などに対するあらゆる差別を廃絶し、すべての人の尊厳が守 られ、すべての人が自らの意志によって学び、働き、家庭生活を営めるようにすることこそ が、未来をひらく鍵だと考えます。     

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