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勘頼みから脱却!データ活用にオススメのツール「RESAS」のご紹介

「データドリブン」という言葉が世に出て久しいですが、特別な知識やスキルがなくても私たちが簡単にアクセスできるデータがあり(しかも無料)、さまざまな世の中の実態を知ることができるようになりました。どのような事業を営んでいても、自分たちが事業をしている地域に関する正しい認識をすることは不可欠です。今回は、国が提供する「地域経済分析システム(RESAS:リーサス)」をご紹介します。

北関東3県+埼玉県:地域のお金の流れ

RESASには指定した地域のお金の流れ(地域企業の経済活動で生み出されたものが所得となり、消費や支出となってどの程度地域経済に還流されるのか)を一目瞭然で把握できる機能が備わっています。それが「地域経済循環図」です。

地域経済循環図栃木県

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-地域経済循環図-」(https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/9/09203/2/2015) (2021年9月28日に利用)

地域経済循環率は地域経済の自立度を表している指標で、値が100%以下で低いほど、他地域からの流入に地域経済が依存している度合が高いことを示しています。栃木県では101.9%と出ており、地域経済でプラスの循環がまわっていることが分かります。比較として、群馬県・茨城県・埼玉県を見てみます。

地域経済循環図群馬県

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-地域経済循環図-」(https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/10/10201/1/2015) (2021年9月28日に利用)

地域経済循環図茨城県

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-地域経済循環図-」(https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/8/08201/1/2015) (2021年9月28日に利用)

地域経済循環図埼玉県

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-地域経済循環図-」(https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/11/11100/1/2015) (2021年9月28日に利用)

栃木県・群馬県・茨城県を見ると、この3県はほぼ同水準で所得の地域還流が成されていることが分かります。一方、埼玉県は大きく傾向が異なっていて77.0%であり、100%を大きく割っています。これは地域外から流入する所得への依存度が高いことを示しています。図の掲載は割愛しますが、神奈川県は86.1%、千葉県は80.1%、東京都が156.7%であることを踏まえると、東京都に隣接した県は東京都からの流入による影響が非常に大きいことが窺え、埼玉県は特にその影響が大きいことが分かります。

人流の動向を見るとどうか?

では、実際に人流の動向を見てみるとどうなるでしょうか。地域経済分析システムRESASの派生システムとして、「新型コロナウイルス感染症が地域経済に与える影響の可視化」をしたのがV-RESASというシステムです。県を跨いだ人流の動向や消費動向、飲食や宿泊の動向などを調べることができます。ここでは人流の動向を取り上げ、その他の機能についてはまた別の機会にご紹介いたします。調査年度は異なりますが、大まかな傾向を掴むことを目的として、地域経済循環図と併せてご覧ください。

V-RESASの「都道府県を跨いだ移動の最新上位10都道府県」では、当該県への移動のうち、どの県からの流入比率が多いのかが可視化されています。それぞれ県別に流入の多い他県を見ると、
栃木県←茨城県・埼玉県
群馬県←埼玉県・栃木県
茨城県←千葉県・東京都
埼玉県←東京都・千葉県 
という流入の構造になっていることが分かります。

■栃木県への移動

人流栃木県

■群馬県への移動

人流群馬県

■茨城県への移動

人流茨城県

■埼玉県への移動

人流埼玉県

出典:「V-RESAS、株式会社Agoop『都道府県を跨いだ移動の最新上位10都道府県』」(2021年9月29日に利用)

地域経済循環図と、この人流の動向で、人とお金の動きがなんとなく見えてきませんか?

消費者に近い産業の特徴は?

参考までに、消費者に近い産業として卸売業・小売業について見てみます。RESASで用意されている指標に産業別特化係数いうものがあります。この特化係数のうち「付加価値額」というものが地域の稼ぐ力を指標にしたもので1.0を超えていれば、当該産業が全国に比べて特化していることを表しています。

県別に見ていくと、栃木県で特徴的なのは「飲食料品卸売業」が突出している点です。群馬県、茨城県、埼玉県と比べても圧倒的であることが分かります。

産業別特化係数栃木県(卸売・小売業)

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-産業別特化係数-」(https://resas.go.jp/industry-power/#/graph/7.811642280460703/35.998703685/139.883857/9/09201/1/0.0/2016/1/I/-/-/-) (2021年9月28日に利用)

一方、群馬県、茨城県で特徴的なのは「機械器具小売業」です。「機械器具小売業」には自動車販売店や家電量販店などが含まれる産業分類なので、群馬県はヤマダ電機、茨城県はケーズデンキがこの産業を牽引しているのだと思います。

産業別特化係数群馬県(卸売・小売業)

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-産業別特化係数-」(https://resas.go.jp/industry-power/#/graph/7.811642280460703/35.998703685/139.883857/10/10201/1/.0/2016/1/I/-/-/-) (2021年9月28日に利用)

産業別特化係数茨城県(卸売・小売業)

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-産業別特化係数-」(https://resas.go.jp/industry-power/#/graph/7.811642280460703/35.998703685/139.883857/8/08201/1/0.0/2016/1/I/-/-/-) (2021年9月28日に利用)

埼玉県は、特化係数の付加価値額が"1"を超えるものが他県に比べて多く、中でも特徴的なのは「無店舗小売業」です。「無店舗小売業」はネットショップなどが該当します。東京都、神奈川県、千葉県も"1"を超える水準にはなく、埼玉県の卸売業・小売業の性向がネットショップ中心であることが把握できます。

産業別特化係数埼玉県(卸売・小売業)

出典:「RESAS(地域経済分析システム)-産業別特化係数-」(https://resas.go.jp/industry-power/#/graph/7.811642280460703/35.998703685/139.883857/11/11100/1/0.0/2016/1/I/-/-/-) (2021年9月28日に利用)

いかがでしたでしょうか。今回は県単位で見ましたが、RESASのデータは市町村単位での分析も可能です。ユーザー登録も不要で無料で使えるツールなので、ぜひ皆さまの事業に関わる地域について活用してみてください。
DMを送るならどの地域が適切か?
Web広告を打つときにどこをターゲットにするか?
など、皆さまの事業でマーケティング施策を考える際などに役立ちます。

RESAS活用に関するご相談があれば遠慮なくご連絡ください!

(宇都宮フューチャーセンター長 池田)

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