ミュージカル『るろうに剣心 京都編』

2022年6月11日(土)12:30開演の昼公演を観劇。

まさか「IHIステージアラウンド東京」で観劇することになるとは思ってもいませんでした。

東京には観劇には行かない(交通費がかさばるから)というマイルールを作ってから10年くらいたっていると思う。
最後に東京で観劇したのは2018年10月なんだけど、そのときは交通費宿泊費支給の用事があって、会議で拘束されている時間以外は自由にしていいという幸運に恵まれた時だった。
それ以来。
もともと、東京で観劇するのは好きなのだ。
他の地方で観劇するのと違うテンションになる。

2020年の秋に公演予定だったこの作品、当時、うっすらまりおファンで、めちゃくちゃアニメファンの友人に「行こう」と誘われたが、「私は東京へは行かないので」とあっさり断った。
今回も行く気はなかった。
ところが2022年版にはキャストに加藤和樹がいた。
ずっと加藤和樹ファンになりたいと思ていたけどなぜかファンと言い切るまでにはなれなかった。
その加藤和樹が推しと一緒の舞台に立っている姿が見たいと思ってしまった(実際は共演場面はなかった。原作未読のため知らなかった)。それと、田中圭をきっかけで知り合ったまだ見ぬ友人に一目会いたかった。2021年に初めて生でまりおの芝居を見たというのは当然大きかった(朗読劇は2018年に見た)。単純にまりおの芝居を見たいという思いが2020年時点より比べ物にならなかったところに、加藤和樹という存在と、友人に会いたいという気持ちがスイッチを入れたのだ。

るろミュは5月18日から6月28日までというなかなかの長丁場で、私が観劇する6月11日にはすでに情報過多だった。
どうしても私のタイムラインはまりおの情報が多めなので、大体絶賛している。
検索してもそう。
最近の俳優ファンは賢いので表では褒めることに徹している。
それに乗せられると、あれ?ということも多々ある。
なのでちょっと用心はしてた。

お芝居全体の感想は、なるほど、噂通りエンタメに徹していた。
ちょっともったいない使い方の俳優が何人もいて、原作のかなり長い部分をギュッとまとめたことがよくわかる。
そのせいか、原作を知らない私にとってキャラクターに感情移入しにくい面があった。
俳優陣の熱演は伝わってきたので、それは少し残念だった。

全体の良し悪しは分からないので、印象だけで感想を語る。
まず、主役の小池徹平。
生で見たのは初めて。
きっと多くの出演作品があると思うが、私が今思い出すのは『1789』のロナン役と、『キンキーブーツ』の主役?主役の相手役?だ。
『1789』はWキャストの加藤和樹で見たのでどんな作品かわかる。『キンキーブーツ』は私は詳しくないが言わずと知れた名作だ。
小池氏、なんか芝居が職人技というか、見た目の印象と違っていぶし銀というか。
重い過去を背負った剣心を表現するためにはぴったりの配役だった。
ただ、好みとか好みじゃないとかいう視点で言うと、歌があまり好みじゃなかった。
『四月は君の嘘』で生田さんのことも書いたけど、たぶんきれいな歌声が私の耳に引っかかってこない。
上手いか上手くないかじゃなくて、何か引っかかりを求めてるんだろうなと思う。
杉山清貴が苦手だったのと通じる。私の中で。
だが、小池徹平の芝居を生で見ることができたのは貴重な体験だった。

山口馬木也さんは兼ね役の逆刃刀を作った刀工役を絶賛したい。
2020年版では加藤氏が演じた剣心の師匠の役だったんだよね。
馬木也さんのスーパーヒーロータイムも見たかったなぁ。
章平さんがおそらくスケジュールの都合がつかなかったんだろうけど、加藤を章平さんの役で入れるのではなく馬木也さんを斎藤一役に入れて、加藤を師匠にした理由はなんだろ。
原作ファンにとっては納得なのかな。

加藤和樹氏は、実に楽しそうでした。
彼のファンになりたくてずっと情報は追いかけていたんだけど、結局生で芝居を見たのは『1789』の初演が最初。
ライブは地元に来ることがよくあったので何回か行ったけど、加藤氏のファンになるにはやはり俳優加藤和樹を見なくてはと思っていたので。
結局そこで落ちることはできなくてがっかりして帰った記憶。
その後『僕らの未来』は見に行ったんだけど、所詮私は古のテニモンなのだなと再認識したのだった。
そんな加藤氏、楽しそうでした(2回目)。
彼の舞台作品は配信や映像を入れてもそんなに見ていないので、こんなに出番が少ない役が配役されることは珍しいことなのかどうなのかもわからない。
ワンポイントで何かをかっさらうキャラクターが欲しかったのかな。

加藤清史郎くんはただただ絶賛したい。
レベルが違う。
でも悪目立ちしない。すごい。ただただすごい。
清史郎くんに慕われる役どころのまりおすごい。何かがバグってる。
彼の役者としてのポテンシャルはこの先いろんな作品で見ることができるだろうけど、この作品ならではのすごいところは、志々雄さまの声真似の完璧さだ。
ちょっとろれつの回ってないところまでまりおの志々雄を完全にコピーしてて笑っちゃいました。
これは前情報として清史郎くんがやっていることを知らなかったら気づかなかったかもしれない。

方治役猪塚健太くん。
猪塚くんは出来る人なので、るろミュの感想を見ていると誰もが絶賛していることに納得。
作品的にはそんなに見ていないんだけど、猪塚くんなら間違いないという安心感がなぜかある。
間違いなかった。
舞台上でも、舞台以外(ツイッター)でもこの作品を盛り上げてくれるすっごい人でした。
おかげで役名もちゃんと覚えることができた。

そして、我が推しである黒羽麻璃央。
ロミジュリの時も思ったんだけど、生で見ると彼の歌唱はうまく聞こえるのよ。
なので、映像で見た方たちと印象が違うかもしれないけど、歌がものすごくうまくなってました。
志々雄の歌は役柄的に低音の部分が多かった。
ロミジュリでは高音は地声ですんなり伸びていくんだけど低音は響かないしうっかりすると声も出ないことがあった。
それを克服してたよ。びっくり。
ルキーニ役はとても心配していたんだけど、そりゃリュウジの方がうまいだろうけど、まりおの伸びしろに期待。
包帯にぐるぐる巻かれていて顔は目と口しか見えないけど、ドスの利いた声でセリフも歌も良かった。
冒頭は焼かれる前の志々雄が出てくるんだけど、もうね、表情が悪い。
イケメンなのに悪い人にしか見えない。
北村匠海くんのドラマでも、悪い人上手いなぁと思ってたけど、悪い人いいかも。
もしかして月9も悪い人だったりして。
駒形由美との雰囲気も良かった。
もうちょっと密着しても良かったかなぁと思うけど、ハラハラするのでちょうどよかったかも。

テニモンなので外せないのが郷本直也。
この人は本当に安定していてどんな役やっても大丈夫な感じがする。
今回は剣心から見て敵だったし、敵のボスである志々雄は自分の目的を達成するためには他人をどんどん犠牲にしていくタイプの、いわゆる救えない悪だったかなと思うんだけど、直也が演じた悠久山安慈はずっといい人だった。
なんで志々雄についていくことになったんだろうね。
そこら辺ははしょられていたけど。

どうしてもテニミュ出身者びいきなのですが、2.5次元作品独特の見せ方ってあるような気がする。
印象に残るんだよね。
私のタイムラインはどうしても黒羽麻璃央への絶賛が並ぶんだけど、京本大我くんが共演経験がない黒羽麻璃央に対してコメントしていたのは、印象に残ったからだと思う。
それと猪塚くんの方治はいろんな人が大絶賛してた。
原作を読んでいないので読んだ方の受け売りなんだけど、嫌われ役なのに猪塚くんによって憎めない役になったと言っていた人がいて、これは2.5あるあるだなぁと思った。
2.5を演じる俳優は自分が演じるキャラクターに対してリスペクトする気持ちが強いから、そこに悪なら悪としての正義を見つけている。
見ている人はそれを受けとるから、勧善懲悪にはならない、人間と人間の物語になる。
加藤氏が葵屋を助けるシーンはヒーロータイムと呼ばれていたけど、先日まだ跡部役を演じることができることを証明した加藤氏にとって、2.5のスイッチみたいのがあるんじゃないかな。
るろうに、きっと読んでる世代だと思うし。
小池徹平くんや加藤清史郎くんはいろいろとんでもなく上手いんだけど、その上手さとは違う何かカチッとはまるような上手さを感じる。
そこが見ている人に刺さっている気がする。

特撮から岐洲匠くんと奥野壮くんが出ていたんだけど、奥野くんは初舞台だったんだね。
ジオウの頃から雰囲気が好きだったし、この作品でば得意のバレエを生かしたダンスもあってそれはよかったんだけど、初舞台だったか。
何か物足りなくて、期待してたからもっと見たいと思ったのよね。
もっとガンガン舞台作品に出てほしい。奥野くんは映像作品もすごくいいのでそれはそれで出てほしいけど。
岐洲匠くんもちょっと物足りなかったんだよなぁ。
なんだろうな。
フランケンシュタインのビクター役で七海さんと共演するそうなので、次はガッツンガッツン行ってほしいです。
この二人に関してはもしかしてメイク慣れしていないのが物足りなかった原因の一つかもしれない。
今回は自分でメイクする舞台だったらしいので、奥野くんはかわいいメイクがとても上手だったけど、舞台向きじゃなかったかもしれないなぁ。
岐洲くんはツイッターとかで写真見てて、え?素顔?って思ったから単純にメイクが薄かったように思う。
最近よく目にする2.5はゲーム原作が多くて、メイクはプロがやってるからなぁ。
そのギャップもあったかも。

そして、すごい人がいました。
阿部裕さん。
ツイッター上ではあまり話題になっていなくて残念だったけど、うますぎたよね。普通に。
葵屋の歌なんか手拍子あっても良かったのに、私が見た時点ではまだ手拍子が出てなかった。
大久保利通役も良かったよーーーー。
いきなり映像で石川県加賀藩士の文字が出てきてびっくりしたけど。

この京都編は、志々雄たちのラストが「あの世」まで描かれていて、その中での志々雄・由美・方治の描かれ方に作者の愛を感じたので、なんだこれ、志々雄たちのハッピーエンドの話じゃん、てなりました。
思わず、めでたしめでたし。って言いそうになったよ。
悪の組織が滅んだからめでたしめでたしで間違いはないんだけども。



https://www.ruroken-musical.com/



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