それ

手が届かない
手をそこへ届かせないものがある
それは邪魔なのか
それとも無くてはならないものなのか

口を突いて出るのは
無謀ばっかだ
無くしてしまいたい
その方がきっと楽だからだ
しかし大切にもしておきたい
それは大事な血管を握っているからだ

それは何かは分からない
ただ、確かにこのままおいてはならないものだ
時間は溶かしてはくれない
掻き立てるのは不安だけではない
ただ、なにか、忘れてはいけないもののような気がする

このまま言葉にしない方がいいのかもしれない
このまま無形のままで放っておいたほうが
無視されず、しかし注意も向けられず
目の前にした途端姿をくらまし
背後に感じた直後煙になり掴めない

それとともに生きていくには
黙ったまま、いや
文字の陽に照らさないままで
底無しの色をした足枷を着けたままで
全身でもがきながら、しか
生きていけないのかもしれない

なくてはならないもので

あってはほしくない

それは

きらめきながら

いまだそこにありつづける

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