一次産業の持続可能な発展(2):西之表市産品を広く届ける新たな直売所構想

1.はじめに

農家のために直売所の設立を望む声は多く聞かれます。
私が考える直売所は、「新たな流通システムを採用した直売所」です。

2.直売所運営の課題

これまでの直売所運営では、「販売数が少なく、小遣い稼ぎ程度の収入しか上がらない」という課題がありました。農家の皆さんが十分な売上を確保しつつ、直売所を運営するにはどうすればよいのでしょうか。

3.解決策:「野田モデル」の導入

私は、東京大学大学院教授の鈴木宣弘氏の著書『このままでは飢える!』で紹介されている、和歌山発の「野田モデル」と呼ばれる直売所運営に注目しました。

  野田モデルとは

一言で表すと、「多店舗展開する直売所」です。生産者が作った農産物を多くの店舗で販売できるようにします。しかし、生産者自らが多くの店舗に農産物を持ち込むわけではありません。生産者は「母店」として自身が決めた店舗に全店舗分の農産物を持ち込みます。持ち込まれた農産物を全店舗に配送するのは運営側です。
この方法により、全生産者の農産物が全店舗に効率よく配送されます。まずは、中種子町や南種子町と連携し、種子島全域の農産物が種子島全域に行き渡るようにします。そして、鹿児島本土にも直売所を設ける(もしくは、既存の道の駅などと連携する)ことで、種子島産の農産物が鹿児島本土でも販売できるようにします。

4.新たな流通システムのメリット

この流通システムを構築することで、取扱量が増加し、輸送費のディスカウントが適用されやすくなります。(各個人それぞれが輸送を行うよりも、直売所が一括して輸送を行った方が安価になる可能性が高い)
また、馬毛島関連補助金の支援を受けやすいというメリットもあります。再編交付金等の各種交付金は、直接個人の財産となるような使い方はできず、市民全体の利益につながる公的な使い方が主となります。例えば、各農家に直接輸送費を現金で支援する場合、交付金事業として認められるのは難しいでしょう。しかし、多くの農家の利益に資する流通システムへの支援という形であれば、各種交付金の支援を受けられる可能性が高まります。

  島外販売の実現と農家の収入向上

これまで、輸送費が原因で島外に販売することが非常に困難でした。しかし、この新たな直売所運営を通じて、農家の皆さんがより安価に島外で売上を上げる仕組みを創っていきます。これにより、農家の収入向上だけでなく、種子島産品の知名度向上やブランド化にもつながります。

5.おわりに

新たな流通システムを持つ直売所の設立は、西之表市の農業と地域経済の発展に大きく寄与するものと考えます。多くの農家と連携し、西之表市産品を広く届けるための仕組みを創り上げていきたいですね。


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