昔むかし話し36
「僕は考えたんだ!」健二はとても得意そうな顔で語り出しました。
どう考えても、そんな長いお箸で自分の口に食べ物を運ぶ事は出来ない。
短いお箸なら自分でたべれる。それならちょっと遠くにいる家族の誰かに食べさせてあげる。
代わりにその人に自分は食べさせてもらう。
「こんな感じかな」
先程の自信顔に少し陰を落とした小さな声で答えてきました。
「大正解!」小百合は大きな声でにこやかに叫びました。
我々一族は先ず人に与える事をして、そしてその人から与えてもらう。こう言う"しきたり"と
言うか風習を代々受け継いで来ました
遠い昔かぐや姫も地球にやってきたとき
地球の埃にまみれたと言うか"我が先"と言う風な事柄にたびたび遭遇して驚いたと聞いています。
我々一族と違い地球には競争とか戦いと言う物があります。
地球の上では生きていく為には仕方ない事
かもしれません。
宇宙の中で完璧な形で生まれてきたかぐや姫や私たちには理解し難い事だったんです。
ただし地球にはとてつもなく魅力があります。
それを目指して先祖達はこぞってやって来たのです。
小百合は家族のひとり一人の目に訴えるかのように語りました。
「小百合先生、地球の魅力って何ですか?
教えてください!」
ちょっとふざけた顔で義郎が問いかけました。
つづく
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