昔むかし話し33

幻の様な眠りから覚めると微笑みながら小百合が何か歌っていました。

"この歌はね、私が小さな頃、おばあちゃんが私をおんぶしながらよく唄ってくれた子守唄なの"

"代々我が家に伝わる子守唄らしいの。
きっとかぐや姫もこの子守唄を聴いて育ったに違いないわ"

小百合は何か嬉しそうに義郎に語りかけました。

そもそも子守唄は、母親が歌う子守唄と
子守奉公に来た人が歌う唄があるらしい。

母親が子供に呟く唄と違って子守奉公に来た子守娘の歌う子守歌は悲しい曲が多い。奉公に来ている辛さなどが含まれるからだろう。

"私たちに代々伝わる子守唄は、とっても明るくて前向きな内容だから、あまり眠くならないの"

小百合は笑いながらと言うより面白がってる感じで話してきました。

かぐや姫を先祖にもつ小百合の一族は、完全に整った形で生まれてくる為、子守唄など必要なかったのかもしれない。

しかし、過去に先祖が地球にやって来た時、地球での
愛や、哀しみ、寂しさなど味わるため子守唄を経験したり、みずから、創ったのかもしれない。

小百合も義郎が愛おしいのも、いまいちハッキリしない、不完全なところがいいのかもしれない。

完全なものは不完全を求めて、不完全なものは完全なるものを求める。ないものねだりってことかもしれない。

すっかり目覚めた義郎は小百合にあることをたずねてみました。

      つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?