昔むかし話し32

そうか!小百合が家を出ていったのには
いろいろな事に気づかせるためだったんだ!

心磨きの旅も大事な事だけど、もっと大事な意味があったんだ。

義郎は身震いする程なんとも言えない
衝撃が全身を貫いていきました。

何年ぶりに再会して初めて解る、ありがたさや
感謝の感情、当たり前に過ごしていた、大切な人との時間。

自分自身も、子供達も皆んな健康で大きな問題も無く今まで過ごしてきました。

当たり前のように過ごしてきた、自分に反省と後悔する義郎の頭を丸くさすりながら小百合はささやきました。

"義郎さん、私は今日までの人生に一切の
後悔はないわ" 貴方に会えて最高の人生になりました。ありがとう!"

満面の笑顔で少し涙目になった義郎の目頭をか細い中指でぬぐってあげました。

幼子の如くいつのまにか義郎は小百合に抱かれながら眠り込んでしまいました。

それから、義郎が目覚めるとすっかり日は落ちて真っ赤で鮮やかに色づいた夕焼けが一面に広がっていました。
          つづく

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