ジカウイルスの新たな影響:小頭症新生児の3分の1に目の異常

ジカウイルスの新たな影響:小頭症新生児の3分の1に目の異常

ジカウイルスに関する新しい研究結果に関する記事です。
https://newspicks.com/news/1396303/body/?ref=user_383518

以下、記事の要約と、ジカウイルスや小頭症に関する簡単なまとめと記事に対するコメントです。
もし、気になる点があればコメントしてくだされば追記していきたいと思います。

「ざっくり要約」
ブラジルの研究者たちは、ジカウイルスに感染することによって発症した「小頭症」と呼ばれる先天性異常を持った新生児について研究を行った結果、小頭症となった新生児の3分の1が、失明の恐れがある目の異常も観察された事を報告しました。一般的に、遺伝病として知られている小頭症の新生児は、異常に小さい脳が他の合併症につながることもあり、小頭症に伴う視力障害もめずらしいことではないそうです。観察された29人の小頭症新生児のうち、10人の片目また両目に異常が認められ、更にその母親の約80%には妊娠期間中にジカ熱に似た症状があったことからこの「ジカウイルス」と「新生児の目の異常」に関連があると結論づけました。現在、このジカ熱を防ぐには蚊に刺されないようにする事が一番だそうです。

「コメント」
小頭症はもともと脳神経の発達以上によって、耳や目に異常が出るということが知られておりました。小頭症という病気自体は非常にまれな遺伝病でした。
しかし、このジカウイルスに感染した妊婦さんのお腹の中の子供は高確率で小頭症になる事が判明し、ジカ熱が一気に問題視されるようになりました。
ジカウイルスは蚊を媒介にして感染します。
ジカ熱自体は感染しても全く症状が出ない人も多く、また症状も軽い発熱や筋肉の痛みだけです。なので、気づかぬうちに感染しているケースが多く、あっという間に広がってしまいます。エボラ出血熱などは人間が感染するとほぼ即死するのであまり広がりませんでした。しかし、ジカ熱の場合は症状が軽いので感染の広がりが速いです。
また、問題点としては他にも現在有効なワクチンなどが存在しないという事があります。しかし、今はワクチンよりは蚊の対策の方が大事です。
何故ならばこのウイルスを運ぶベクターとなる蚊は他のウイルスも同様に持ってきてしまうことが挙げられるからです。例えば感染源の蚊はデング熱のウイルスも運んでしまう事から、蚊を潰さない限りは感染症が広がってしまいます。
ブラジルなどではリオ五輪に向けて蚊の撲滅を徹底しているはずです。
このジカ熱に関してはアメリカや日本、ヨーロッパがやるべき事はただ1つです。それは、正しい知識を思ってパニックにならない事です。

最後に、この研究成果の元の論文を読んでみました。最後のディスカッションの部分について幾つかポイントをまとめておきます。
・ジカウイルスによる小頭症を発症した幼児のうち10/29(34.5%)において目の異常が起きている。
・非常に高い傾向があることと、これまで知られている他の感染症と比べても目の異常は症状として異なることから、ジカウイルスの感染と目の異常は何かしらの因果関係があるのではないか
・しかしながら、この研究ではサンプル数が少ない(1つの病院でしか行われていない)ことから、統計学的には疑問が残る点も多い
【参考文献】
http://archopht.jamanetwork.com/mobile/article.aspx?articleid=2491896

このディスカッションにも、まだまだ統計学的に怪しい点もあるのでこれからじっくり研究していく必要がある、と書かれてありました。
このような事って案外日本語の記事には書かれず、不安を煽るような言葉が並びがちです。
皆んなで正しい情報をシェアして、正しい知識を身につけましょう。

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