【コラム#2】世界の水不足解決を目指すウォーターテックとは何か
今後の石油よりも貴重な天然資源になると言われている「水」について、現在の課題とそれらを解決するウォーターテクノロジーについて調べてみました。
■世界の水不足問題について
皆さんは水不足は現在深刻な社会問題として注目されていることをご存知だろうか。日本にいると水不足になることなんて想像できないと思いますが、実際地球には生活に利用できる水(淡水)はわずか0.8%しかなく、残りは海水や南極などの氷なのです。
また、国土交通省が出しているレポート「水資源問題の原因」によると、世界の人口増加と異常気象によって生活水の使用量は大幅に増えており、このままだと2050年には世界人口の約40%(39億人)もの人々が深刻な水不足になる可能性があると言われています。
さらには、現在でも以下のように世界中で様々な水紛争が起きているとも述べらています。
水資源:水資源問題の原因 - 国土交通省国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。www.mlit.go.jp
■ウォーターテックついて
ウォーターテックとはウォーター(Water)とテクノロジー(Technology)を組み合わせた造語で、水関連ビジネスで利用されるテクノロジーをウォーターテックと呼びます。
日本ではそれほどウォーターテックはメジャーな言葉ではありませんが、アメリカやイギリス、ドイツなどの欧米諸国を中心に水不足の解決を担う技術「ウォーターテクノロジー」に注目が集まっております。
特に国土の約60%を超える部分が荒野であるイスラエルでは2000年以前から水不足に悩んでいたため国レベルでこの社会問題の解決に注力し、この水不足の問題を解決したと言われている。
どのようにこの水不足を解決したかというと、海水から淡水を作り出す「淡水化技術」と下水のリサイクルを行う「水再生技術」です。
イスラエルではこの技術開発に力を入れ、既に60%以上の飲料水が海水から作られており、85%のも生活排水が農業用水に再利用されています。日本では海水淡水化技術は世界的に見て進んでいるが下水処理水の再利用量は約1.4%程度であり、かなり低い水準と言えます。
つまり、ウォーターテック企業とはこの「海水の淡水化」と「生活排水の再生」など「水」に関する製品やサービスを最新のテクノロジーを駆使して、より高品質で効率的に低コストで行えるようにするための研究や開発をしている企業を指します。
■海水淡水化技術とは
海水淡水化技術とは簡単に分類すると以下のようになります。
<蒸発法>
海水を加熱して、発生した蒸気を冷却して水を得る方法である。莫大な加熱エネルギーが必要なため造水コストは高くなる。
<膜法>
海水をフィルターで濾過(ろか)し、塩分を含まない真水を作り出す手法。比較的低コストで造水できることから近年ではこの膜法が主流となってきている。ただし、蒸発法に比べて利用する水は汚染の少ない水を利用する必要があり、抽出した淡水の塩分濃度も蒸発法に比べて高くなる。
■水再生技術とは
水再生技術は数多く存在し、それらを組み合わせて行うことで水を再利用可能な状態に再生させている。これらの技術は大きくは微生物を利用して水を再生させる「生物処理技術」と濾過や化学反応など生物以外のものを利用する「物理的処理技術」に分かれます。
その中でも代表的なものは以下になります。
詳細は国立環境研究所の以下の環境技術解説ページにて解説されてますので、気になる方はご覧ください。
■今後を担うウォーターテック企業
ウォーターテック企業と言ってもなかなか企業名が出てこないと思いますが、100年以上続くアメリカを代表する企業「Evoqua Water Technologies」やイスラエルで50年以上水関連サービスを提供している「IDE Technologies」などの大企業を中心に逆浸透法に特化した「NanoH2O」、生物濾過技術に特化した「Marrone Bio Innovations」などの中小規模のベンチャーウォーターテック企業も出てきています。
上記で取り上げたEvoqua Water Technologiesが協賛しているGlobal Water Awardsという賞で毎年優れたウォーターテック企業を表彰していますので、水ビジネスのトレンドを知りたい方は是非ご確認ください。
別途この中から1社取り上げてベンチャー企業研究もしたいと思います。
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