コント「夜更かし」

吉田の家に小池が泊まりに来て、ゲームをしている

(テレビゲームのリモコンを持っている仕草)
小「う、う、やばい、うわ、あーーー。終わり?」
吉「うん」
小「あーー。むずいわー。やっぱお前強いなあ」
吉「まあ普段からやっているからね。キリいいし、終わりにする?」
小「そうね。ありがとう。また来た時やらしてよ」
吉「いいよいいよ」

(リモコンを渡す仕草、吉はゲームを片付ける)

小「あー、ねむねむ。何時になった?」
(スマホを見て)
小「え、え、4時30分?4時半?」

(小池部屋を歩き回る)

吉「いきなりどうしたの?」
小「あの、こんな時間に起きていたことないよ」
吉「え?一回も起きてたことないの?」
小「そうだよ」
吉「まじで言っている?修学旅行とかでも?」
小「うん」
吉「え、最後の夜とかみんなで夜更かしするもんじゃなかったの?」
小「いや、遅くても1時位には寝てたよ」
吉「変わってんなあ、そんな奴いるんか」
小「変わってはないでしょ」
吉「いやいや、修学旅行に限らず誰でも何回か、いや何度も徹夜はしたことあるもんでしょ、こんだけ生きてれば」

小「そんなことないよ。だってさ、人間には元来、朝太陽の光を浴びたら起きて、夜暗くなったら寝ると言う体内時計が備わっていて、この時計によって体内の生体リズムが生み出されてるんだよ」
吉「なんか、変なスイッチ押しちゃったか?」
小「その中で、深夜4時まで起きているという行為は、体内時計をぶち壊し、リズムを乱し、健康にも悪影響、一度乱れたリズムを元に戻すには相当なエネルギーが必要なんだよ」
吉「ごめんごめんこんな時間まで起こしちゃって、じゃあ、寝よ!寝よう!早く寝た方がいいわ」
小「嫌だ!(大声で)」
吉「何でだよ!びっくりした」
小「僕は今日で二十歳143日。20掛け365プラス143、通過した2月29日4回、僕は記憶にあるかぎり1度も起きていたことがない。」
吉「はい?」
小「毎日1回、4時30分という時間は確かに流れているにもかかわらず、まるで存在しないようなものとして生きてきたんだ」
吉「また違う次元で頭おかしくなってんな」
小「もちろん、この時間をないものとしてきたのは、人間の生活リズムを考えれば正しくて、その存在を認識してしまったのは、罪深い出来事ではあるよ。」
吉「もう何言ってるかわかんないよ」
小「でもね、今日は、せっかく起きてしまったんだ!未だ人生で感じたことのないこの4時半の世界を、五感全体で感じさせてくれよ!」
吉「はい?俺に許可を求めてるの?何をするの?」
小「シーーー!スズムシの鳴き声感じる?秋の訪れを感じさせるよねー」
吉「別に12時とかでも聞こえるけどな」
(窓を開ける仕草)
小「4時30分の空気、あーおいしい」
吉「そうか?」
小「星空も綺麗だなー」
吉「そんなわけないだろ」
小「(大声で)4時30分の吉田家は異世界に身を委ねられる禁断の空間でした」
吉「おいおいおいおい、(窓閉めてから)大声出すな大声出すな。石原さとみの東京メトロCMみたいに」
(座って、手を大きく伸ばして)
小「満足だ」
吉「良かったな。隣人に怒られなきゃいいけど」

小「えっ、今新聞配達された音?」
吉「そうかも」
(再び起き上がって窓を開けて)
小「いつも、ありがとうございます!」
吉「(窓閉めて)やめろやめろ!近所の人起きるって」

小「ごめんね。でも新聞配達の人に感謝伝えられて良かったよ。朝起きれば当たり前のように届いているけど、配達してくれる人が毎日いるんだよね。」
吉「まあ、そうだねー」
小「ネットですぐにニュースが読める時代だけど、1軒1軒配達することを使命としてね、」


吉「え、どうした?寝た?寝たー急に!」
(布団かける)
吉「それにしても、深夜こんなテンションになる奴もいるんだなー。俺も寝る準備しよ」

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