SFショート 快適安眠枕

いきなりミニスカートの美女がスポーツカーで現れた!!

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ある日、おれはN町に品揃えの良い寝具店があると聞き行ってみた。

寝具店の主人に「不眠症でなかなか寝付けません、寝てもすぐ目が覚めるし、朝起きた時はすごく疲れていて仕事に行く気にもなれず、困っています」  と打ち明けた。 

主人はにっこり笑うと「あなたにピッタリの快適安眠枕がありますよ」   と答えた。

主人は自慢げに枕の説明を始めた。
「この枕です、頭を支えるのに程よい硬さと反発力、頭をやさしく包みます」

「このスイッチでぐっすりモード、お昼寝モードを切り替えます」

「ぐっすりモードの時は、このボタンを押して好きな数字に合わせれば   その時間だけ途中で起きることなく、ぐっすり眠ることができます」

「この夢スイッチは、適度に夢を見たければオン、見たくないときは    オフにして下さい」

「いかがですか、この枕 これであなたは、今日から快適安眠で目覚める  ことができますよ」

おれはすっかりこの枕が気に入ってしまった。             「買いますよ、これで楽になれるなら」

「あっ それから別売りになりますがこのカードです。          このカードを枕のここに入れ、プログラムから項目を選べば好きな     夢を自由に見ることができます」

「仕事、遊び、冒険、スポーツ、グルメ、デート、好きな項目を選び、   好きな夢を見てくださいね」

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おれはその枕とカードを買い、急いで家に帰り、ぐっすりモード8時間、  夢スイッチオン、カードを入れ、デートに設定して眠りについた。

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いきなりミニスカートの美女がスポーツカーで現れた!!         夢の中でニンマリしている自分がいた。

おれは彼女のとなりに乗り込んだ。

「出発よ」と彼女が言うと海が見える町までぶっ飛ばした。
運転が荒い、スピード出し過ぎ、何度も怖い思いをした。

海に着くと、泳ごうと言われて泳いだ。
高級レストランでお酒を飲みながら食事。
食事のあとは、朝までディスコで踊りまくり。

8時間彼女に引っ張り回され目が覚めた。                

おれは汗びっしょりでくたくたに疲れていた。