「新卒採用の実務」#my bookshelf

「新卒採用の実務」著者:岡崎仁美 日本経済新聞出版社(2014年11月)

chapter1.新卒採用マーケットを理解する より

企業は学生の「1.働く意欲」「2.学力」「3.自己分析」は評価しており、「4.業界研究」「5.仕事・職種研究」「6.将来ビジョンの明確さ」に不満を感じている(2014年調査)。

1.67%が「十分+どちらかというと十分」と回答

2.50.8%

3.39.8%

4.29.6%が「不十分+どちらかというと不十分」

5.25.5%

6.22%

(考察メモ)不十分という回答のいずれも20%台という結果だが、「十分+どちらかというと十分」の比率が低く、「どちらともいえない」の割合が高いものと見ることができる。これはつまり、企業側も判断ができない、もしくは断定するに十分な採用基準の明確化が出来ていない、もしくは採用基準は明確化できているものの重要項目と置いていない(≒調査のアンケート項目が実態に即していない)と見ることができる。

日本の大学の4学期制の導入や仕組み化が進化していけば、企業側は新卒者の夏入社・秋入社にも対応する必要が出てくる。また、グローバル化が著しい学部では「秋卒業・秋入社」が増える可能性がでてくる。⇒「4月一括採用・入社」ではなくなる。

(考察メモ)2014年時点ではこのような表現であるが、2021年現在ではまさに同様のことが起きている。ましてや、新卒3年未満の社会人経験者を新卒同様の扱いとして翌年度4月入社をさせる動きも出てきていることから、今後若年層の再就活(大学入試における仮面浪人的な)、流動性は十分に高まる。

Chapter2.採用活動① 事前準備 より

求める人材要件・人材像を設定する

wantは置いておいてmustを決める・・・(メモ)要件定義をしていくとあれもこれもになりやすい。学生に対しては、「学生である現時点でも備えておいてほしい」ポイントと「自社で育てられる」ポイントを分け、前者を採用要件として定義すべきということ。この考え方は今後も変わらないだろう。

しかし「育った」すぐ後に転職をされては会社として損失。「自社で育てられる」ポイントは、どの会社でも通用する汎用的普遍性をもった専門スキルになることが考えられるが、同様に会社へのロイヤリティを高める施策と、社員が自発的にロイヤリティを持つ環境整備が必要になる。自発的なロイヤリティ向上:職場環境、セルフラーニング・インプルーブメント、「この人がいるから、この人と働きたい」というようなマネジメント層の存在、報酬(報酬を因子にするとどこの会社でも同様のことが起こり、報酬ありきの転職を繰り返してしまう可能性がある。また、一従業員の報酬を吊り上げるなどということは難しく制度面からも現実的ではない。報酬面の向上はロイヤリティ向上施策の中では最後の策としたい)。

要件定義の一例:基礎力(コンピテンシー部分)

・対人能力:親和力・協働力・統率力

・対自己能力:感情制御力・自身創出力・行動持続力

・対課題能力:課題発見力・計画立案力・実践力

「就職活動中の学生が知りたいと思っていた情報」

1.具体的な仕事内容

2.企業が求めている具体的な能力・人物像

3.採用選考の基準

この3点が圧倒的上位のようだが、これはあくまでも「就職活動“中”」の話であって、複数内定獲得した際には、上記3点が就職先決定因子になることはまずない。2.3.に関しては、内定を取るまでの情報であって目線が短期的過ぎる。この3点を意識した選考フロー設計をするとともに、内定承諾率を高める動きは別軸で考える必要がある。

「自社のブランディングー強み・魅力を打ち出す」

社会心理学において、ヒトがヒトの共同体に参画する誘因は4つに大別。

「目標への共感」「活動内容の魅力」「構成員の魅力」「特権の魅力(つまりは職場環境・立地・待遇・福利厚生・制度等)」

これら4つのうち、企業側で変動要素としてコントロール可能なものは「構成員の魅力」。残り3つは会社の事業方針(Mission/Vision/Value)、中長期経営計画、人事制度等に紐づくためコントロール難。人事、採用活動における広報の位置づけとして、人事自らの能力を高めるとともに、現場社員の協力が必須。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?