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家族の絆を問い掛ける第5話「48時間の青春」 1972.8.18放送 脚本:永原秀一 監督:小澤啓一

4.「太陽は、刑事ドラマよりも、『家族ドラマ』である、その所以」
5-1.「仲間の絆、夫婦の絆、家族の絆」

井上堯之バンドの「追跡のテーマ」
シンコのテーマのように演奏されているところに
注目してください。

こちらは「追跡のテーマM2スローバージョン」

シンコの初主演。
火野正平が48時間以上の逃避行。
少年係時代、彼をよく知るシンコが、
彼に同情しながら、シンコだけに明かした
知られざる彼の逃亡の理由とある想いに手を貸す。
そして勾引され、別の殺人犯人との玩具店に籠城。
それが岩田(武藤章生)。
大都会PART 3で
城西署記者クラブ新聞記者を演じた。
また西部警察全シリーズでは、鑑識課員国立六三
(六さん)を演じた、あの人。

予定された48時間のタイムリミットは
過ぎてしまう。
両者とも未成年者の演技を見てください。

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★この話の注目点

①シンコ自宅で、宗吉と死んだ母が映る写真。
 宗吉の二階。
 家族愛に飢えた少年火野正平が
 内田家で飾ってあるシンコ家族の写真を
 覗くシーン。
 唯一この回のみ、シンコが女子高校生時代の
 赤いネクタイのセーラー服姿と、
 シンコの右手に父の宗吉。同左手に母。

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 太陽でシンコの亡き母が写真で登場するのは
 ここだけです。
 ものの数秒間、一瞬しか確認できません。
 お見逃しなく。

この写真がこのストーリーの
キーポイントである事が、あとになって
わかります。

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②マカロニが軽薄なスタイルでの出署。
 マカロニウエスタン風の淳。
 「軽薄だ」とシンコがそう評した。

マカロニ帽子

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③だんだんと母親に似てきたと
 親父を演じるハナ肇の台詞。
 女の居る店で酔って朝帰りの父を
 シンコは腕組みをしながら朝まで父の帰宅を
 待っていたシンコ。
 「だから中年男は嫌いよ」と詰るも、署では
 マカロニに「もう少しシャキッとしなさい」  
 と言いたげな、当時19歳の女性シンコから
 みた、なよっとした男性像。を評した台詞。

昭和元禄の時代も、平成、令和の現在も、
仕事をしている前向きなシンコのような
女性は強い。
男にとってそんな女はいつも脅威に映ります。
まだ男女機会均等雇用法施行14年前でした。

上記②の補足解説↓
※1960年代前半からイタリアの映画製作者が
 主にスペインの荒野で撮影した西部劇の総称が
 マカロニウェスタン。
 日本でしかこう呼ばない。しかし
 (イギリスやアメリカでは
 スパゲッティ・ウエスタンと呼ぶ)
 岡田プロデューサーや
 東宝の梅浦洋一プロデューサーも
 西部劇は大好きであったらしい。
 ここから、西部劇が好きな岡田は
 マカロニ、ジーパン、テキサスの渾名が
 閃いたと言う。
 マカロニウエスタン風で、ジーパンを履き、
 テキサスのカウボーイのテンガロンハットを
 身につけさせ、自分の企画した番組に
 登場させたい思いと意図があったものと
 推察する。

 大体、番組がこれ程長く続くとは、しかし
 岡田氏も思ってもみなかったのだ。
 なんとか、一年以上は続けたいと思っていた
 のだろう。局には、一年間は続けると岡田氏は
 大見得を切っている。
 「東京バイパス指令」は65話で
 最終を迎えたからだ。この時は脚本が
 続かなかったと言う。

続いて
これ以降の回
第15回 「拳銃とトランペット」で

♪「ひとつとせ、一人で天下の七曲。
背負って立つよないい男」
ボスの歌を作って披露した情報屋中川
(演ずるのは多々良純)。

多々良純

ボスが新入りを紹介して、こいつも
俺たちの仲間だ、と一応マカロニを紹介した。
しかし彼は、ボスだけに「十に一つ」本ネタを
提供すると言う情報屋の老人。
だから始めから馴れ馴れしい下っ端のマカロニは
鼻から信用しない。

多々良純がマカロニを見て
「このスパゲッティ野郎。粋な名前じゃねーか」と
泥酔状態の演技で評している。
「俺はマカロニって言うんだ」と反論する淳。

また、署へのマカロニへの呼び出し
電話にしても、
「もしもし、ヘソ曲署?」と言う。
多分、ボスが最初に言って真似ているのだろう。

④スパニッシュなイタリアン風味の、
 渾名の通り、淳はマカロニウェスタンスタイル
 がよく似合う。この時の映像は、

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 第65話「マカロニを殺したやつ」で
 ゴリの当直明けの明け方の夢に流用され
 再登場する。この事を覚えておいて下さい。
 当時ジュリー沢田研二もそんなスタイルを
 していたんだっけ。

 尚、渾名のマカロニは第一話の初登場編で
 殿下が名付けた。

追記

筆者が好きな80年代に風靡した、
ジンギスカンにも、1979年だが、
マカロニウェスタン風の衣装を着て歌う曲が
ありました。

西部劇風イントロで始まる、
これも彼ららしいディスコ・サウンド。

哀愁のピストレーロ

ジンギスカン / Dschinghis Khan - 哀愁のピストレーロ

48時間の逃避行には、ある思いがあった。
亡き父の命日と、懐かしい母の煮しめをもう一度
食べたい少年のやるせ無い思いであった。
しかし、母は再婚し、前科者の自分には何の興味も示そうとはしない母。
「今更何しに、ここに来たのよ!」
それで少年はシンコに頼らざるを得ない事に薄々気付く。

しんこと藤沢

シンコは少年と同じ時間を過ごし、
少年の思いを手繰ろうと、少年と気儘に残された
あと24時間を自由を興じたいと、付き合っていく。
同じ年齢層で、実の母にも見捨てられた今、
彼を心から救えるのは私しかいないと。

母が死んだ今も失われていない内田家の家族愛と
母に見捨てられ愛を失った少年の元家族との対比。
ストーリーで監督が描きたかった事なんだろう。

署に電話したシンコは、山村に、
「その部屋の人たちは皆んな
 自分流でやっているじゃないですか?
 私も自己流でやります」と

「あれでしっかりしてるぞ」と山村。
しかし、反論したのはマカロニ。
未成年者の前科ある男と一緒なんです!と
「そんなに心配ならお前が行ってやれ」と山村。

一係の仲間が犯人と籠城させられる話は
他にもあります。
しかしこれが、太陽初の籠城劇。

最後は少年は、活字の「愛」をシンコに
プレゼントする。
家族愛を再確認させてくれたシンコヘの
少年からのプレゼントだったろう。

そして
48時間以内に戻れなかった事情を説明し
一係全員の署名を以て、
二ヶ月後には再度自由になれるだろうと。
多分、ボスの発案だろう。
情状酌量の嘆願書を提出しようとなった。

しかし
前夜の23時までに定時連絡をしてこなかったマカロニが、
翌朝昨日の一件を知らずに出勤してくる。

48時間の期限に戻らなかった若者には
一係ボスからの温情をかけ、
23時迄に定時連絡をしない、この時間厳守が
守れないマカロニには四面楚歌の罰が。

今回は殿下が欠場である。


太陽にほえろ!第5話 48時間の青春
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