見出し画像

72-73マカロニ青春偶像五編(4/5) 「第36話 危険な約束」⦿蘊蓄の肝A⦿  人間誰もが面従腹背の機微がある。我利我欲を浮き彫らせた登場人物たち。 最後に「あんな女は忘れちまいなよ」と淳。 太陽!マカロニ時代の秀作四遍の中に入れてよい。

1973.3.23放送
脚本:市川森一、山田正弘
監督:山本迪夫


🟣36話の蘊蓄の肝 A🟣

故小林恭治次回予告NAから、

「野獣化したピストル強盗に刑事が手錠で
繋がれ、拳銃まで奪われてしまった。
その上、スナックの客を
人質として監禁する犯人。
緊張とサスペンスが連続する中で、
人間の私利私欲が剥き出しにされていく。
そんな時人質の一人であるマカロニを
ヤクザ者と思い込み
9人の命と引き替えに交わした約束とは何か?」

若き【人間早見淳】の最後に漏らした本音。
この台詞に
「淳の人間らしさ、若者らしさ」を描いた、
言わば秀作であります。

次回予告にあるように、
人間は全員が身勝手。その人間たちの我利我欲を
浮き彫らせた登場人物たち。
マカロニには彼等は誰一人として一切協力しようとしない。
しかし淳だけは、男と男の約束を最後まで守り徹す、
ボスへの連絡を遮ってまで。

「マカロニ青春偶像」と題しましたが、
太陽!では現代社会に生きる虚像を浮き彫りにし、
この作品のみならず、

人間は誰でも持ち合わせている
人間同士の面従腹背。
「他人に対しての見えざる心の中の虚構」
「他人を知らず知らずの内に、自ずから
 拒否してしまっている見えない壁」を、
これは、身体で、また心で拒否している。壁だ。


太陽にほえろ!では、その人間の心の虚壁を
我々視聴者一人ひとりに改めて問い直す作品が多いのです。
その太陽!作品群の中でも、この36話は、
それを表現した、他の作品には
ない、
マカロニ時代では群を抜いた、秀でた一作です。


これも50年前の作品ですが、令和時代で生きる
皆様にも覚えがあるだろう、と思います。
これも現代の二十代は、この秀作をご存知じゃないでしょう。
太陽!のみならず、他の番組へもオマージュされたこの回。


物語最後に現場に飛び込んできた
山村、ゴリ、藤堂。
ゴリより上手いボスの一発が、マカロニの生命を救った。
また犯人の生命をも救った。
殺してしまっては、この事件を起こした原因が
迷宮入りになる。

コマーシャル除いた正味46分の放送時間では
かなり物足りない作品。
名作に近い秀作でありましょう。


最後に店の中にはマカロニと藤堂。
「どうした?マカロニ」
犯人に撃ち果たされ全弾が無くなったマカロニの
拳銃を拾って渡す藤堂。
「ボス、俺、、怖かったんです」
「怖かったんです」
ボコボコのマカロニが、心の中の泣きを
ボスだけに見せる。

それが、当たり前の人間としての感想だよ。
よく耐えたよな、マカロニ。
(筆者の50年後の感想)


これまで怖いもの知らずの淳が体験した、
目の前の恐怖感。他の市民を守るべき警官として
の使命を帯びたマカロニが、
その市民は誰も協力してくれない、
この何時間もの恐怖を実体験する早見淳。

一人外に出たときに、
連絡を取ろうとすれば出来るのに、
一係の皆にも連絡する事を躊躇うシーンに、

【人間早見淳】の成長を見て取れる。

あの男との約束は裏切れない。
男と男との約束は守りたい淳。

そしてこの女のためにやった犯罪は、女が冷たく裏切る。

単なる薄っぺらい不倫の結末。
この時代73年に《不倫》と言う言葉はない。
【あんな女は忘れちまいなよ】と淳は言う。
しかも若者同士の友情を込めて、犯人に。


これが前半部のコメント

■ここから前半部のストーリーダイジェスト
最初のコマーシャルまで。

犯人と男同士の約束をして、店をマカロニが出るまでが、
前半部とします。

今回は 蘊蓄の肝をA

次回はストーリー前半部をB
また、ストーリー後半部をCとし、

最終36話の太陽!関連作をDと纏め
皆様にお伝えします。

かなりの文面です。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?