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マカロニ時代★★★優秀作002🟢第32話 おーい?長髪!髪を切れ「ボスを殺しに来た女」

マカロニ時代★★★優秀作002
🟢第32話「ボスを殺しに来た女」

5-4「ふと出会った見知らぬ者同士の親愛の絆」➡︎我慢していた殺意が爆発する
31.「恋人を殺された恨みへの同情、復讐」


1973.2.23放送
脚本:鎌田敏夫
監督:澤田幸弘


他の番組でもリメイクされた作品。
皆ご存知でしょう?
太陽にほえろ!ファンであれば。
同じ日本テレビ系列「刑事貴族」で。

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その回エンディングで、
太陽にほえろ!「ボスを殺しに来た女」参照と
出ました。
郷ひろみ主役編〜郷がマカロニ役。

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ストーリー概略

七曲署一係の元捜査一係長殺害を狙って
一係に拳銃を持った女が訪れた。
係長が藤堂に代わった事を知らなかったのだ。
以前の係長は石田。今は本庁勤務のエリート警部。

※出世主義一辺倒の石田警部。
出世は望まない鬼藤堂との対比が描かれている。
家族の様に大切で、可愛い部下達と
離れたくないから。
これは、以降の太陽!でその理由が 
徐々に語られていく。


女はボスを撃とうとしたが、弾は不発。

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仰天して、七曲署三階の階段無しの非常口ドア
から華々しく飛び降りた。

◆二階から飛び降りたという、
他の人のブログもあるが、
七曲署一係は二階にあり、そこから
階段を駆け上がっているから、
飛び降りたのは廊下の端の非常口締切のドアだった。
即ち三階から。経理係や署長室も三階にある。
二階は間違いですね。

✅七曲署庶務も 非常口に 何故鍵を掛けていなかったのか?
この事故は 七曲署の管理責任を問われる。
言わば署長の 管理監督不行き届き、ミスか?

鬼は面会の直前に何者かが弾を抜いたと推測。
事故、いや事件を聞いて、
本庁から石田警部(佐藤慶)が

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「警察への粗暴は些細な事でも、
必ず本庁へ報告せよ、言ってあるだろう!」と、
一係室に乗り込んでくる。
本庁への連絡不履行をボスに対して怒りまくる。

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マカロニを見た石田は、

「おい?長髪!」
「お前か?七曲署に変な刑事がいると聞いたが?」

「藤堂、こいつの髪を切らせろ!いいか?分かったな」と
藤堂に高圧的に命ずる。


そのあと女の安否を尋ねる電話が。
鬼の返答に切れてしまう。
鑑識課員高田助手(北川陽一郎)によれば、

北川洋一郎

女が使った拳銃は東南アジアの密造拳銃であり、
同型のものが青竜会の手入れで摘発されていた。

✅鑑識課高田助手(北川陽一郎)は準レギュラー。
ジーパン時代でも初動捜査、現場検証シーンには
ほぼ登場してきますので、お見知りおきを。

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✅またまた登場の青竜会。
※前回の手入れでは殿下が腹に銃弾を受けた。
※その回は第11話「愛すればこそ」
あの名曲「冬の黄昏」の初演奏の回です。

↓写真の眼鏡もみあげの男は、この蘊蓄話で紹介済みです。皆様分かりますか? 「危険な約束」で登場しました。

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山村とゴリは、レストランで食事していた青竜会幹部からの聞き込みで、
女はクラブ「不夜城」のホステスであったことを掴んでくる。
女の自宅を捜索。そこで「明夫のもとに行く」という遺書が発見される。

一係室にまた女の安否を尋ねる例の電話が入る。
何故か電話の男は明夫のことを知っていた。

マカロニが病院を訪れたところ、石田が女を
無理に尋問しようとした為、
医師と看護婦らと対立していた。

その頃、殿下の調査で、坂口明夫という男が
浮かび、その彼女が事件を起こした女だと。

1年前(1972年頃)に城東銀行の強盗に入り、
逃走中に電車に撥ねられ死亡していた男が、
その坂口。

当時ボス赴任前の、事件の捜査主任は、
なんと捜査一係長であった石田であった。

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✅場面は病院の病室。
現在では考えられない病人がいる病室で
タバコを吸う石田。

◆あかんやろ!おっさん?(筆者)

煙を逃がそうと窓を開けたマカロニは、
向かいのビルから
此方を伺うライフルのスコープを確認!
間一髪で中の女と石田達を庇い、生命を救う淳。

マカロニは向かいのビルにダッシュで飛びだす。
しかし、犯人を捕らえられなかった。

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資材置き場まで駆けつけた石田は
マカロニを叱咤した。
「貴様それでも刑事かっ!」
「俺が一係長なら即お前を
 この場で坊主にしてやる!」

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調査の結果、
ライフルは帝都銃砲店から盗まれたもので、
指紋検出も不可能。

◆京都市内千本通にも銃砲店がある。通称「鉄砲屋」。

しかし、
ライフルの的は女ではない可能性が。
まさか、石田だったのではないか?

殿下とマカロニはキャバレー不夜城を調査。
一方で藤堂は喫茶店で石田警部と話をした。

石田警部は2回坂口を取り調べたことがあったと。
坂口は2年前(1971年頃)に
別の強盗事件の有力な容疑者であったが、
証拠が無く釈放されていた。
藤堂は、
この女、慶子が殺害したい真の標的は、
「僕が来る以前の係長、つまり貴方では?」

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元捜査一係長であった、石田警部ではないかと
はっきり進言した。

場面は変わり、殿下はホステスに、慶子に付きまとう男性のことを尋ねた。

またまた、殿下はホステスに、
「あーん」して貰って食事をする。
◆これが殿下がホステスを落とす捜査方法。


ホステスの話からは、
「慶子はおとなしいので人気があった」
「呼び込みの寺本(井上博一)という男が
慶子に片思いしていたこと」を思い出してくれ、
捜査線上に、新たに影の男として浮かんで来た。

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寺本は以前、雨の中で慶子のハイヒールの踵を
優しく直したことがあったらしい。

さらに、病院での慶子の自白。

七曲署の捜査第一係長を狙ったこと、
坂口が何もしていないのに逮捕させられて
付きまとわれたことで職場を辞めさせられ、
とうとう坂口は、銀行強盗をしてしまった。

また、
坂口が、取調べ中に
石田警部に酷いことを言われて
顔に唾をつけたところ、
「お前みたいな奴は
 立ち直れないようにしてやる」と
殴られていたとも。

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石田はそんな慶子を罵倒した。
「馬鹿な女だ。お前が殺そうとしたのは、
この俺なんだよ!分かったか?」

病院の宿直室にて、三度目。
例の男から慶子の容態を尋ねる電話が入った。

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寺本が公衆電話で1時22分に電話し、
1分後に電話を切ったことが判明。
ゴリと殿下は尾行開始。

やはり慶子の安否を尋ねた電話は、
寺本だと断定された。
石田は同行の刑事佐野と藤堂に、
「会いに来て」と慶子の声の編集をして
寺本を出向かせることを提案した。

山村の調査で、寺本の正体が判明。
本名は貝塚まさしといい、島根県出身。
元ライフルの選手だと言う。
寺本が慶子に片思いをしていたこと、
寺本と坂口には関係が無いことが判明。

しかし病院では看護婦から、慶子がリンゲルを外して
自殺したという通告が入る。

藤堂と石田たちは貝塚を電話で呼び出し、
「会いに来て」の声を伝えた。

マカロニは、
「そんな卑怯な事はすんなよ!
 女はもう死んでんじゃねーかよ。」

貝塚は腕にナイフを巻き、隠して職場を出た。
ゴリと殿下は貝塚を尾行していた。

マカロニは石田に対し、
「せめて貝塚に、
慶子の顔を見せてやってくれ」と。

貝塚が病室を訪ねたが、
慶子の遺体を確認した直後、
ドアを開けて現れたボスたちに逮捕された。

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貝塚は慶子に復讐を止めるよう説得したが、
忘れられなかった慶子が
拳銃を入手したのをを知ったが、
もう好きになれ、と隠していた。
しかし、
貝塚は慶子に拳銃を発見され、

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弾を抜くことで
彼女を殺人者にさせたくなかった。
◆気の弱い男が好きな女を守るためには
この方法を選択するしか無かったのだ。

貝塚は一係長が代わっていたことを
知っていたが、慶子には教えず、
慶子を逮捕させて、
慶子にもっと幸せな人生を
送ることを願っていた。

◆見ず知らずの男性からの片想いが、
恋し、一途に愛した女性の、
他の男への敵討ちを只管に擁護する男。

◆その擁護が突如として、石田への殺意に
置き換わる。彼女の敵討ちを代行しようとする。

◆彼女と彼女が愛した男との愛に
ヒビを作った事。その愛をストップさせてしまった事。
二人の男女の人生を永久に止めてしまった事。
その根幹が石田だと根に持つ貝塚。

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◆そこに絡まざるを得なかったマカロニの苦悩の発砲。
◆発砲は結果的に石田の生命を救った。

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貝塚は階段を降りる途中、護送中にナイフを出して
石田を刺そうとしたが、それに気付いたマカロニが発砲し
射殺してしまったのである。

「おーい、長髪!」

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「やはりお前はデカだ。
 生命を助けて貰った事だし、今度ばかりは
 お前の反抗的態度には目を瞑ろう」

その時、マカロニのどうしようもない怒りが
その手が拳になり爆発してしまう。

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「奴にやらせてやりたかったよ。
 もし俺が刑事じゃなかったらなあ!っ」

◆権力と世の中の管理者に向けて
咆哮した弱い現代若者の代表者マカロニは、
射殺したこの彼貝塚を含め、
過去の容疑者三人を死まで追いやって
しまった事に、仕事の遣瀬無さと合わせて
人間早見淳自身に向けてやっと
これからの「生きる意味と価値」を見つけ
淳自身で噛み締めたのかも知れない。

これが筆者が選んだ優秀作の所以です。

もう一度、瀬戸内寂聴の言葉を↓に

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病院の玄関に本庁から、
迎えのセドリックが到着していた。

その前に
マカロニは鬼に
「ボス俺。奴に(石田を)殺させてやりたかった」と。

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更に後ろから石田の叫び声がする。

本庁の管理者は再度、
「おいっ長髪!」

そしてボスに
「髪を切らせろと言った筈だ」
「髪を切らせるんだ!藤堂」


「石田さん。それは捜査とは関係ありません。
お帰り下さい。終わったんだ。何もかもね。」


石田を乗せてセドリックが走り去る後ろを追って、
最後に
鬼に向かってマカロニが。
「ボスも出世出来そうにありませんね」

苦笑した鬼も、
「お前みたいな部下がいる以上はな」

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鬼が差し出したタバコを吸う淳。
二人して煙が顔を歪ませるラスト。


野崎は欠場。

シンコは序盤のみ、私忙しいからと言って
マカロニのトランプ インチキマジックの後からは
登場してこない。

鎌田敏夫初の「太陽!」執筆作品。
※彼の簡単な脚本履歴は下記を。

マカロニの滑舌が悪すぎで、聞き取れない。
今に始まったことじゃないが。
ロッキーよりも台詞が聞き取れない。

井上博一は、太陽の準レギュラーゲスト。
テキサス時代の「孤独のゲーム」では
専用ルガーで、ボスが射殺。
この時のロケーション場所は、
第27話「殺し屋の詩」と同じくラシントンパレスの展望台。

◆また、死刑囚だった井上博一を、ボスが
入念な再調査で、死刑という確定された司法結果を
覆す回 第355話「ボス」がある。

※通常では、裁判のやり直しは、かなり難しい。

他署の事件で、やってもいない殺人を、
濡れ衣を着せられ刑に大人しく服している男。
ボスの先輩が、先輩後輩の意地で強引に結審に
追い込ませた事件を、
ある死刑囚の告白が基で、
藤堂以下七曲署一係のチームワークで
真実を炙り出し、
結果として自分の先輩の
そんな捜査結果に持ち込んだプライドを傷つけてしまう。
七曲藤堂一家の78年の活躍。
かなり、これは見応えある作品。
ボン、ロッキー時代の名作選の1話です。

CAST

石田正信:佐藤慶
慶子:小林夕岐子
貝塚まさし(寺本):井上博一
中央病院医師:今井和雄
佐野刑事:柿木恵至
鑑識課員高田:北川陽一郎


脚本:鎌田敏夫の作品

『戦国自衛隊』(1979年)

1983年『金曜日の妻たちへ』

1986年『男女7人夏物語』
続編『男女7人秋物語』は、36.8パーセントの最高視聴率を記録した。

太陽にほえろ! (1973年・1978年、NTV)
第32話「ボスを殺しに来た女」(1973年) -石田
警部
第297話「ゴリ、爆走!」(1978年) -服部警部

でっかい青春(1967 - 1968年、日本テレビ)-井手俊郎と共同執筆

進め!青春(1968年、日本テレビ)
サインはV(1969年、TBS)
さぼてんとマシュマロ(1971年、日本テレビ)
小さな恋のものがたり(1972年、日本テレビ)
おれは男だ!(1971 - 1972年、日本テレビ)
飛び出せ!青春(1972 - 1973年、日本テレビ)- メインライター


名優略歴

佐藤 慶(さとう けい、
1928年12月21日 - 2010年5月2日)は、
日本の俳優、ナレーター。
福島県会津若松市生まれ。
本名は佐藤 慶之助(さとう けいのすけ)。

2010年5月2日午後4時19分、
肺炎のため都内の病院で死去。81歳没。

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佐藤慶81死去



次回は

マカロニ時代★★★優秀作003
第35話「愛するものの叫び」

4915字






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