放送室で給食食べたいから放送委員になってた



あれはいつだっただろうか



たしか私が中学生のころ


占いができる(割と当たると評判の人)という大人に無料で手相を見てもらえる機会があった。





まず姉が手相を見てもらったのだが


「絵を描くのが得意ですね〜。美術系が向いてる。」


みたいなことを言われていた。(と思う)



姉は絵が上手いので、
納得の鑑定に私と母はうんうんと頷いた。


この人本物だ、とさえ思った。






そしてドキドキの私の番だ。





手をじっと見て言った





「ゆっくり風呂に浸かると良い。あと携帯に彼氏がいる。」








ちょっとまて








"ゆっくり風呂に浸かるといい"というのはすべての人間に言える。ってかお風呂好きだからゆっくり浸かってるよ。




というかそんなことよりも

2つ目に言ったの、…なんだ?







"携帯に彼氏がいる"?………



母の前でなにを言い出すんだ。やめてくれ。そもそも彼氏はいないし携帯に彼氏もいない。虚偽の結果にただただ気まずい。

っていうか"携帯に彼氏がいる"ってどういうこと?
"携帯の彼氏"ってなんだよ、理解不能だよ。

ってか占いの力で携帯覗き見すな






といった経験から、わたしは占い的なものを信じられない。(信じていないというか信じられない)







さて、


日本のとある場所に前世を鑑定してくれる"前世喫茶"というものがあるのをご存知だろうか。






"前世"



私の興味をそそられた。



やはり占いとか前世とかいうものは、なんだかんだ言って気になってしまう。(人間は懲りない生き物だ。)






1年前くらいにそこへ行った時の話をしよう。

(行ったんかい)






いわゆる喫茶店なので、私は400円のアイスティーを注文した。



名刺をいただいたのだが、そこに簡単なプロフィールが書いてあった。"ある日突然前世が見えるようになった。"とのこと。



前世鑑定の料金は1つの前世につき1000円

3つの前世を知ると、自分の特性がよくわかるとのことだったので、3つの前世を鑑定してもらうことにした。





「お願いします」とドキドキしていると

上品で優しい雰囲気のマダム(前世鑑定人)が、にっこりと私の前に3枚の紙を並べた。





「83年前のアメリカの孤児院の先生(女)」


「158年前のスイスの酪農家の奥さん」


「263年前の日本の植木職人(男)」




これが私の前世らしい。





正直、全部ピンとこない。

ピンとこなすぎて感想がなにも思いつかない。3000円支払ってふ〜んとしか言えない。



そう思いながらマダムの顔を見ると、にっこりと微笑んでいる。





これはあれだ。

"もう言うことありません顔"だ。




キャッチボールでいうと完全に私がボールを持っている状態。こっちが投げなければ会話は終了する。





わたしはてっきり、細木数子さん的な感じでズバズバ言ってくれたり、なにか助言をくれるのを勝手に想像していたのだが、

この方は、"最上級に感じのよい上品な聞き上手なマダム"だ。



聞いて欲しいことがある場合はよいが、私はあいにく悩みがない。聞いて欲しいことがない。




今、わたしもマダムも待っている状況だ。


なんとも気まずい。






私は脳をフル回転させた。

なにか聞きたいことを探すんだ。考えろ

3000円も払ったんだから、正直なにか為になる言葉を言ってもらいたい!













よくかんがえると


83年前とか158年前とか、数字がやけに細かい。どうやって分かるんだろうか?

テロップ的な感じで頭にポンっと数字が出ているのか?…




それに…スイスとかアメリカとか、どうやって分かるんだ?映像で頭に浮かんだとしても158年前となると今と昔じゃ風景も違うし、なにを見てスイスと確信したんだ??国旗でも映ったのか?…


ってかアメリカって相当広いぞ、アメリカっていうのはざっくりすぎる。アメリカのどこなんだ?





というように


いくら考えても性格の悪い疑問しか浮かんでこなかったので、わたしはこの疑問をぐっと飲み込み


「ありがとうございました!」

とさわやかに店を後にした。





時計を見ると、10分も経過していなかった。







やはりわたしには占いの類は向いていない。





他人に期待せず自らを信じ、力強く生きていこうと心に決めた。


3400円を支払い、学習したのだった。

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