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ヒューリックと野村不動産の比較


<はじめに>

 日経新聞を読むだけで詳細な分析やアウトプットが全くできていなかったので、より会計力を鍛えるためにと企業分析の記事を書き始めることにしました!第1弾は「ヒューリック」と「野村不動産」の比較をクイズ形式でしていきたいと思います。両社とも不動産会社ですが、どのような違いがあるのか分析していきます!

 最後まで読んでくれると嬉しいです^^

<ヒューリック>

 「あ!またヒューリック。」の広告は駅などにちょくちょくあるので見たことがある人も多いかと思います。そんなヒューリックがどのような事業をしているか、どこが収益を上げているのかを説明していきます。

 事業としては主に①不動産事業 ②保険事業 ③ホテル・旅館事業の3つがあります。下の図がわかりやすいです。

(出典:有価証券報告書)

 下のグラフはセグメント別営業収益の内訳を示したものです。収益は主に不動産事業が獲得していることがわかります。不動産事業は、賃貸事業・不動産売上の二つに分かれています。賃貸事業は、企業にオフィスを貸し出すことで収益を上げています。不動産売上は、さらに不動産開発・建替業務、アセットマネジメント業務に主に分かれています。アセットマネジメント業務はJ-REIT事業などが収益を獲得しています。
 ヒューリックは、23区内の駅近を中心に多くの不動産を持っており、現在開発している建物も例外ではありません。その優位性で、オフィス賃貸に関してはマーケットよりも低い空室率を保ち、安定した収益確保につながっています。

 J-REITに関する詳細はまたの機会に書きます。

(出典:有価証券報告書を元に作成)

<市場平均空室率>

(出典:三鬼商事オフィスマーケットデータ 2022年2月3日アクセス  https://www.e-miki.com/market/tokyo/index.html)
(出典:決算説明資料)

 一方で、コロナ禍ということで、ホテル・旅館事業はかなり停滞してしまいました。ブランドとしては「ビューホテル」などを持っています。今後も収益が回復する見込みは立っていません。

 以上ヒューリックの説明でした。

<野村不動産>

 次に野村不動産です。高級分譲住宅「PROUD」などを展開している不動産会社です。10号館の隣の隣にもあります。明治大学の施設メンテナンスなんかも野村不動産の関連会社がやっていますね。実は縁があった野村不動産の事業内容について見ていきます。

 主に、①住宅部門 ②都市開発部門 ③サービスマネジメント分野(資産運用部門、仲介・CRE部門、運営管理部門)があります。

 下の図がわかりやすいです。

(出典:有価証券報告書)

 この中でメインの収益を獲得しているのが住宅部門、そしてその中でも住宅分譲であることがわかります。

(出典:有価証券報告書をもとに作成)

 住宅部門は高級分譲住宅である「PLOUD」シリーズであったり、シニア向け住宅である「OUKAS」の販売だったりを含んでいます。ちなみに収益不動産とは不動産投資市場向けに開発・販売する賃貸住宅のことを言います。都市開発部門は、賃貸事業、ホテル事業、フィットネス事業に分けられています。住宅部門の賃貸事業との違いとしては、こちらはオフィスビル・商業施設・物流施設の賃貸がメインになっているところです。


<クイズ1>

 さて、長々と両社の事業内容を収益面から解説をしてきましたが、それではここでクイズです!損益計算書が二つありますが、どちらがヒューリックのものでしょうか?今まで説明してきた収益構造をヒントに推測して見てください!


正解は〜〜〜




①です!


<解説>

 本題に入る前に普段見るP/Lと少し違和感を抱きませんか…? 売上高・売上原価ではなく営業収益、営業原価になっているんです。本業が何かによって、営業収益や売上高に分けられます。

 それでは実際に両社の違いを分析していきます。販管費の割合がかなり違っていることに気が付きましたか?野村不動産の販管費が高くなっているのが分かりますね。その原因はなんなのか。実際にこの内訳を見てみましょう!

(出典:有価証券報告書)

 続いて、野村不動産の販管費です。

(出典:有価証券報告書)

 野村不動産は広告宣伝費15,460百万円かかっています。ヒューリックでは販管費の中に含められていません。ここから野村不動産が住宅部門で収益を上げているため、広告宣伝費に力を入れていると読み取ることができます。

 一方で、ヒューリックはオフィス等の不動産賃貸収入がメインであるため広告宣伝費にお金を割く必要がありません。


<クイズ2>

 それでは第2問です。貸借対照表が二つありますが、どちらがヒューリックのものでしょうか?今までの情報から推察して見てください!

正解は〜〜〜〜





②です!

<解説>

 圧倒的に両社で異なっているのは流動資産と固定資産の割合でしょう。①(野村不動産)の方は、比率がほぼ1対1になっているのに対して、②(ヒューリック)の方は、圧倒的に固定資産が多くなっています。ここから両社のビジネスモデルの違いが見えてきます!

 それぞれの流動資産、固定資産の内訳をみていきましょう。

 クイズ①でも触れましたが、野村不動産は住宅分譲をメイン収入にしているため、販売用不動産、および仕掛販売用不動産を多く所有しています。そのため、流動資産の割合が多くなっています。

(出典:有価証券報告書)

 一方、ヒューリックは販売用不動産の額が少ないことがわかります。

(出典:有価証券報告書)

 こちらはヒューリックの固定資産の部です。建物及び構築物、土地の額がかなり高いことがわかります。これはヒューリックが資産を所有して、それをもとに賃貸収入などで収益を上げているビジネスモデルためです。

(出典:有価証券報告書)

 さらに、両者ともに固定負債が多くなっています。

野村不動産はこちら↓

(出典:有価証券報告書)

ヒューリックはこちら↓

(出典:有価証券報告書)

 ここから両社ともに多額の不動産を買い入れるための資金調達を、社債・長期借入金で行っていることが読み取れます。この固定負債を返済し切ることができるような計画が作成されているのか、次回書くことがあれば考察していきたいです。


<今後の課題>

 今回はB/SとP/Lから読み取れる情報から分析を行いました。それによりヒューリック、野村不動産のビジネスモデルの特徴は理解することができたかと思います。

 ただ、不動産関連SPCへの出資、およびREITに関する部分の財務諸表からの分析が(実力的に)できなかったのが悔しいです。どの数字を拾って、どの数字を比較すればいいのかといった箇所をいろんな人の分析記事を読みながらもっと勉強していきたいです!

 次回はヒューリックに絞って詳細なのを書きたいです!他にもみんな的に見てみたいものがあればそれもやっていきたいです!これからどんどん勉強したいので、何卒よろしくお願いします…!

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