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【モノノケの皆さん、さようなら。モノノケの皆さん、こんにちは。】

「この山道さっきも通った気がする、おんなじ道をぐるぐる回ってるよ‼︎」

「きっと狐に化かされているんだー」

狐・河童・天狗などなど、古来より日本の自然の中には様々なモノノケと呼ばれる

妖怪・魑魅魍魎(ちみもうりょう)の伝説がありますね。

皆さんも昔話なんかで1つや2つ聞いたことがある話もあるのではないでしょうか?

また、もしかしたら実際に体験したことがある人もいるかも?

ちなみに私は体験したことがありません・・・ざんねん。

というかここ近年でそんな妖怪変化伝説みたいな話の新説みたいな話あるのでしょうか?

色々疑問に思ったので調べてみるとこういった狐に化かされたり、

河童に河に引きずり込まれたり、妖怪に騙された、天狗に誘拐されたという話は

1960年以降になくなってきているというデータがあります‼︎

60年代に妖怪サミットみたいなのがあって、人間を怖がらせるのはやめとこうや‼︎

的な会議でもあったのでしょうか?

はたまたトイレに行けなくなる子供達に気でも使ってくれているんでしょうか?

実は妖怪サイドが気を使ってくれているのではなく、

60年代の高度経済成長期の人間の生活様式に変化が訪れた事が原因のようなのです・・・

そもそも日本人は古来より海・山・河などの自然を神として崇める信仰があり、

生まれれば海の幸、山の幸、田んぼのお米を食べ、川の水で喉の渇きを潤し、

自然の中で自然と共に成長していきました。

自然は自分の一部であり、自然の中に自分があり、自分の中に自然があるという

運命共同体の精神を持っていたのです。

しかし、そんな中でいつからか人間は神と崇めた自然を売り物、「お金」としてみるようになるのです。

それが顕著に現れるのが高度経済成長期の60年代のようで、

消費・消費の時代に突入して海をゴミで埋め立て土地を作り、

山の木を切ってお金に変え、川の水を平気で汚す、

今まで自然と共に歩んできた人間はいつしか自然から出て都合の良いように

利用するそんなしょうもない生き物になっていったようです。

話を戻すと古来の日本人は自然と共に生きていた為、

色んな生き物に触れる事が多かったのです。

その中で科学が発達していない時代に自然の中で自分の生活で合点が合わない事が

起きると妖怪変化、化け狐、河童、天狗に騙されたと言ったのが伝説の起源とも

考えられております。

高度経済成長期の60年代、科学技術の成長と共に自然から遠ざかり、

良くも悪くもかしこくなった人間はモノノケの類を見なくなるのです・・・

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・「自然」って実は仏教から来た言葉‼︎

お坊さんらしい事を言うと(ようやくお仕事です‼︎)

「自然」って仏教から来た言葉なんですよ。

本来の読み方は自然(ジネン)と読みます。

もっと噛み砕くと「おのずからしかるべきなり」と訳せますね。

つまり自然とは「自分のあるべき姿」と言う意味なのです。

(諸説あり)

よく「自然体で」という言葉を使いますよね。

ありのままの自分でいることや変にかしこまったり、

おどけたりしない姿、飾らない自分が自然体です。

そして人間はそんな肩の張る面倒な姿ではなく、

誰もがありのままの自分でいられる自然体でありたいと願うのです。

自然が「自分のあるべき姿」であるならば、何が「あるべき姿」なのでしょうか?

海を埋め立てて、土地が増えたイェーイ‼︎の姿でしょうか?

山の木を自分達の都合で切り倒して、お金儲けをしている姿でしょうか?

河の水に生活用水が流れ込み汚染して、魚が死んでいるのを見る姿でしょうか?

渋谷のスクランブル交差点でハロウィンの格好をして訳も分からず騒いでいる姿でしょうか?

今、本来あるべき自分達の姿・自然体を見つめ直す時代がきているかもしれませんね・・・

答えは出なくとも日々、自分のあるべき姿を考えることの出来る人間でありたいですね。

自然にとって1番のモノノケは人間かもしれませんね・・・

モノノケの皆様、こんにちは。

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【自己紹介】

大師堂様20190727_0114

野村泰弘 (のむら たいこう)

1991/10/28生まれ 福井県福井市出身 日蓮宗僧侶

福井市の中心に位置する足羽山内のお寺「弘法院大師堂」執事長を務める。

難解で近寄り難いイメージの強いお経を今の人にも分かりやすく伝える事を信念にお坊さんをしています・・・

お経の中身って意外と面白いんですよ。

お寺・お経・仏様・お坊さん、なんだか堅いモノに感じますよね。

意外とそんなに敷居の高いものではありませんよ・・・


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