【現代アート】世界的な注目を浴びるTIDEの価値とは?

現代アートシーンでもとりわけ注目を集めているのがTIDE(タイド)さんです。1984年生まれで、その才能や名声はすでに世界に轟き、有名やアーティストやセレブたちも夢中になっています。「いでたつひろ/IDETATSUHIRO」から改名し、作品もさらに現在進行系で進化しているTIDEさん。その才能、影響について今回は解説していきましょう。


TIDEさんといえばやはり最初に挙がるのが超高額落札事件でしょう。証券会社のSBIが主催するライブ配信型オークションにて、「TWO OF US」が4400万円という驚きの価格で落札され、普段アートシーンに注目していない一般人の間ですら話題に挙がったほどです。

https://www.sbiartauction.co.jp/results/detail/92/40

TIDEさん本人的にはいわゆる「アートバブル」には距離を置きたいようですが、実際作品の価値が際限なく高まっているという現状があります。創作の信念を忘れていない、あくまでも”いち芸術家”であるという部分が強いのもTIDEさんの特徴です。

実態を持ったアートブーム

最近では、アートギャラリーで30〜40代の若手経営者を見かけることが多いといいます。00年代、リーマンショック以前にもアートバブルというブームはありましたが、近年のアートシーンの隆盛はそういった空虚なものではなく、むしろ実態を持ったアートブームが訪れています。若くして成功した資産家が同じく若い才能に注目しているという、健全な構図になっています。

https://twitter.com/nobi/status/1379741667251523590

そういったきっかけのひとつになったのがTIDEさんの海外での評価です。ロンドンのRAMP galleryで開かれたグループショーに参加し、そこでは何と有名アーティスト、ジョージ・コンドと共演。ジョージ・コンドといえば、古典伝統絵画贋作という大胆な作風で知られ、アンディ・ウォーホルやキース・ヘリングといった伝説的人物とも密接な関係がある人です。

TIDEさんは単なる一過性のブームで持ち上げられているものではありません。それはリビングレジェンド(生ける伝説)たちと同じ土俵に立っている時点で明白です。

ミュージシャンとのコラボレーション

もちろんTIDEさん以前もそういったアートバブルの恩恵を受けたアーティストは存在しました。その代表的な存在が村上隆さんです。村上さんは、今でこそ国際的な評価を得ていますが、かつては宮崎駿さんのようなアニメ制作を目指していました。しかし、そこで挫折。新たな方向性を模索せざるを得ない状況で、海外に活路を見出し独自の世界を作り上げました。

グラミー賞を何度も受賞している米ラッパー、カニエ・ウェストなどとコラボレーションし、世界で存在価値を示しています。TIDEさん同様にその作品は高騰し、最高落札価格は16億円に上ります。オークションが行われた2008年当時大きなニュースになりました。

TIDEさんもミュージシャンとのコラボレーションを行っています。シンガーソングライターのカネコアヤノさんのグッズ制作を担当し、可愛らしい「ねこ扇子」や「ねこTシャツ」はファンに人気です。ここからTIDEさんのことを知った人も多く、さらにファンを増やすきっかけになっています。


https://twitter.com/kanekoayanoinfo/status/1155765759391305728

https://twitter.com/kanekoayanoinfo/status/1305000389574455297


今後海外ミュージシャンとコラボすればさらに作品の価値も相対的に上がり、TIDEさんの知名度も高まっていくことでしょう。

「ものを作る人を急かすな」若き才能TIDEの本音

TIDEさんは、最近SNSでも圧倒的な人気を誇り、本人もTwitterアカウントでたびたび発言を行っています。言葉少なではありますが芸術論や雑感をツイートすることが多いようです。

https://twitter.com/idetatsuhiro/status/1204297038038306817

「ものを作る人を急かしてはいけない」

納期を守ってこそプロフェッショナルという考えはもちろん正しいのですが、TIDEさんは真逆ともいえる論理を持っています。芸術家に常に産みの苦しみが付き纏います。しかし、納期に追われて納得のいかないものを世の中に出す…という状態は決していい状態とはいえないでしょう。単なる言い訳ではなく、すべてのクリエイターの気持ちを代弁したツイートともいえます。

作品を司る「寝室」という要素、そして子どもの時代の原風景

「いでたつひろ」名義の時代から、微妙に作品は変化し続けています。その変遷を見ると、落ち着いた雰囲気や優しい印象も受ける不思議な唯一無二の作風へと進化しています。

https://twitter.com/7amaiki/status/1148561852495876096

https://twitter.com/hansodet/status/1147437033394020352

https://twitter.com/npp_osaka/status/1129312939280818177

これらの作品群は『GOODNIGHT』や『DEEPSLEEP』という個展に出展された作品です。誰もが知っているキャラクターをモチーフに描かれたものもあります。人によっては「可愛い」と思う人もいれば、どこか不気味さを感じる人もいるでしょう。色がないことによってキャラクターの表情もより奥深さを感じさせます。

現在の『CAT』シリーズにも繋がる部分も多く共通点もありますが、モノクロにも関わらず地味さをまったく感じません。それどころか色彩豊かな作品よりも想像力を刺激する深みのある作品が多いことに気付かされます。

TIDEさんの作品を見ていると、ある特定のキーワードが浮かんできます。「寝室」、「ベッド」、「Night」、「Sleep」…。これはもちろん単なる偶然ではなく、TIDEさんの幼少期が影響しています。

2020年の個展、『DEBUT』ではChildhood(チャイルドフッド)、子ども時代というものがテーマでした。「子どもの時に川の字で寝ていた原風景」ともインタビューでは語っていますが、そういった思い出が作品の根底にあると意識すると、作品もまた違ったノスタルジーを感じるものに見えて来ます。


TIDEがこだわる大型作品

個展で特に圧巻なのは150号(2273mm×1818mm)の巨大サイズの作品です。鉛筆で描くのは難しく、アクリル絵の具を使用しています。こういった大きなサイズで実際に作品に相対するとまず驚くのが作品の迫力です。猫の存在感と、背景の寝室空間の雰囲気…決してPCのモニター上では表現できない作品で、個展に足を運んでみたくなる大きな動機になっています。

https://twitter.com/uchikoga/status/1314573600695877634

また、作品のモノクロという点も150号サイズの作品で鑑賞すると違って見えます。まるで吸い込まれそうな深い黒と、清廉な白。たとえ有機ELディスプレイでも表現しきれない圧倒的なシンプルさが際立っています。

そもそもTIDEさんがモノクロ作品にこだわり始めたのは2009年頃からです。作家が特定の表現手法に執着することはよくあることですが、10年以上に渡ってモノクロ作品を作り続けて来たTIDEさんはある意味モノクロ表現の究極の表現者ともいえるでしょう。

「TIDE」という名義に変更し個展名を『DEBUT』としたのも、意外といえば意外です。しかし、キャリアには決して胡座をかかず、自分の作品がとてつもない金額で取引されても、それを前面に出すこともなく、ひたすら真摯に表現というものに向かい続けるTIDEさん。これこそ真の表現者、クリエイターといえるのではないでしょうか。

進化する天才TIDEの今後に注目!

新型コロナウイルスの影響で海外に自由に渡航できなくなったこともあり、より国内のアーティストが人気を集めている傾向にあります。その中でもTIDEさんは最も支持されているアーティストと言っても過言ではありません。さらに進化していく天才・TIDEさんの作品に注目していきましょう!

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