優しくなりたい 10日目

10日目になりました。
いまだに答えが出ない、
複雑な気持ちになる話。
父が昔経営していた会社の社員さんが、
癌で亡くなってしまった時の話。

○優しいお兄さんと癌

私が学生の頃、父は祖父が創立した会社を
経営しており、その中に若いお兄さんがいた。

若いと言っても当時10歳くらいだった私に対して、
30代ではあったと思うので、
相当歳は離れていた。

お兄さんと会う機会はなかなかなかったけれど、
たまに会うととても柔らかい笑顔で
微笑みかけてくれていたことをよく覚えている。

しかし、そんな優しいお兄さんが
癌になった。
よく病状を知らなかったけれど
たしか口腔癌(口の中にできる癌)だったと聞いた。
癌が見つかったときには、治療は難しく
手術で顔が半分なくなるか、死ぬか、
そんな選択の中にいたと父が言っていた。

そしてお兄さんは亡くなった。
あの優しいお兄さんが…。
結婚もされていた。
奥様もそんなに早く夫を失うとは
思っていなかっただろうな…。

悲しみの中、お兄さんの葬儀が行われ、
父は社長として式に参列した。

父がそこで見たのは、
奥様のお父さんが激昂している姿だったという。

だから、がんの家系に娘を嫁がせたくなかったんだ!

夫の死に耐えきれず泣いている娘を見て、
あまりの苦しさから出た言葉なのだと思う。
でも、奥様もその言葉でまた傷ついてしまった。
死後の世界があるかは知らないが、
お兄さんもきっとその様を見ていたら、
とても悲しんだと思う。

苦渋の選択の末に病魔と戦い亡くなった
お兄さんに対して、
せめて弔いの言葉をかけてほしかったと思う。
せめて、よく戦ったと言ってほしかった。

生きていれば必ず、
誰かの死を経験する事になる。
近い関係の人ほど、その時いろんな感情を
揺さぶられることになる。

きっと想像できないほど辛い。
でもその時の感情で放った言葉が、
誰かに一生引きずらなければいけないような、
傷を与えてしまうことだけは
しないように生きていきたいと、そうおもった。

○大切にしたいこと

◎ 若くとも癌の発見が遅れたり、
 がんの位置によっては手遅れになりかねない。
 →誰もがまさか…の出来事だった。
  明日は我が身かもしれないということ。

◎お父さんは娘の姿を見て、
 心に生まれた感情を吐露したのだと思う。
 → お父様にはお父様の歴史があり、
 その中のいろいろな思いがその言葉を発させた。

◎自分は今の段階でなんと声をかけるのが
 正解なのかわからない。
 →その時感情をコントロールできると
  思えない。

◉がんは早急発見が鍵で、
 年齢的には油断できる歳ではない。

◉どんなに言ってはいけないと分かっていても、
 つい発してしまう言葉は存在する。

◉どんなに備えようとしても、
 襲ってくる感情の大きさが想像できないと
 行動を制御する自信は持てない。
 

*健康第一で。
 検診などもきちんと受けていこう。
 そして、知り合いに定期検診を促そう。

☆感情に負けて、言ってしまった言葉たちを
 きちんと集めて内省する。
 →何が嫌だったのか、
  なぜ抑えきれなかったのかを
  きちんと整理して自分を知る。
 
*苦しくとも、今までの親族や知り合いが
 亡くなってしまった時のことをきちんと
 振り返り、もっと近しい人だったとしたら?
 という問いを自分なりに考えていこう。

やっぱり何をどうすればいいのか、
いまだによくわかっていないということがわかった。

少しずつでいいから、向き合っていこう。
いつか自分も必ずこのような場面に出会うはず。
その時悲しさに負けて、
誰かを傷つけたりしないように。

お兄さん、いつも優しい笑顔で見守ってくれて
ありがとうございます。

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