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【人道支援チャド】僕は 1ミリも動揺しない

みなさんこんにちは
人道支援家のTaichiroSatoです

普段、生活していると思い通りにならないこと、全く予期していなかったこと、たくさん起こりますよね。
そんな時、自分はどう動くか。
事象に対する受け止め方とそれへのアクションで人生の進め方が変わってくるんじゃないか、そんな気がしています。

僕自身海外で活動しているうえで、思い通りにならなかったり、予想もしていなかった出来事が起こり、どうしたもんかなぁーと頭を回転させて打開策を考えるなんてことを習慣的にしているわけですが、最近の思考展開としては、
・非常事態が僕の通常運転になってきている
・何事にも(いい意味で)期待していない
・物事は3回くらい目からようやく回り始める
・(めんどくさい事は)結局最後は自分がやることになる(と思っている)
・予定やルールはあくまで理想なので常に後ろに十分な余白を作っておく
なんてことを念頭に進めているような気がします。

上に挙げた点が頭にあるので、生活や仕事の中で予想外だ!とあたふたすることはないし、うまくいかなくても何回か修正した後に少しずつうまくいくようになればいい、そんな感覚で生きています。

そんな思考が習慣化してきた僕ですが、自分自身の成長を感じれるような、そして「僕は動揺しない」を象徴するような、出来事がチャドで起こったのです。

1ミリも動じない
チャドの中でも2番目といわれる大きな街モンドゥ。
チャド南西に位置し、陸路でチャドを横断する場合は多くの人がこの街を通過するらしい。

レストランも多く、アルコールも飲める。
夜遅くまで音楽が流れるとても賑やかな街である。

僕らがモンドゥに来たのは、ここから東へ数百キロ進んだところにある地域の妊産婦や赤ちゃんたちの医療アクセスを視察する為だった。
陸路では2日かかるため、今日は繁華街モンドゥのホテルで1泊、というわけである。

モンドゥのホテルに到着。
その名もグランドホテル。
豪音が鳴り続けるONとOFFしかないエアコンが部屋についている。
部屋は寒いが暑いよりいい。
シーツはきれいに敷かれ、テレビをつけると緑色の画像だか、チャンネルがいくつかある。
驚くことに日本のアニメが流れていて、サブタイトル(字幕)にアラビア語がついている。

おおーなんとゴージャスな!
テンション上がりまくりな我らのチーム。

早速シャワーヘッドのついた水道でシャワーを浴び、今日一日の長旅をリフレッシュ。
少し動きの悪いシャワー室のドアノブを軽快にカチャカチャッと回し、皆と待ち合わせしたロビーへ行き、晩御飯をレストランで食べる。
ここのレストランで食べる焼き魚と野菜の盛り合わせが最高にうまい。
お腹も満たされたところでパリッときれいに整えられたベッドにもぐりこみ、ちょっと肌寒く、ゴウゴウ、とうなり続けるエアコンを無視して眠りにつくのだった。

次の日朝6時。
僕らのチームの出発は6時45分。
時間まではあと45分ある。
まずは、コーヒーを取りに行き ホッと朝の一杯を楽しむ。
それから支度を整え、まだあと20分あるので贅沢に朝シャワーを。

相変わらずシャワーは水だが、手桶で自分でバシャバシャかけなくていいシャワーという存在が嬉しい。
これから先しばらくはこんなにいい環境で生活できないのがわかっている僕は、思う存分シャワーを堪能したい、そんなところだった。

身体を一通りタオルで拭いて、さて出発だ。
前向きな気持ちでシャワー室のドアノブをひねる。

ゴチャッ、カクン、、、。

僕より先にドアノブが逝った。

あっ、、

右利きの僕の手の中に、レバー式の金属のドアノブが寂しいかな、残る。。
元々ドアの向こう側にあるもう一つのドアノブと繋がっていたであろう長い金属製のものが見える。

そっと、ドアを見てみるとがっつりとロックされた状態でドアの穴からドアノブの反対側の構造の部分がやけに立体的に露出し、僕はドアノブの裸を見ているような気持になりちょっと恥ずかしくもあった。

腕時計に目をやる。
僕らの出発まであと10分ある。

まずは、もう一度シャワー室のドアノブが入るか試してみるが、どの角度でも無理。
押してみて、ひいてみて、駄目だ。
ふと辺りを見渡すと、人一人通れそうな小窓が上の方についているのがわかり、そこへジャンプして飛び乗ればそこから出れるな、というイメージをつくる。

僕の頭では一人会議が始まる。
・時間になれば、チームメンバーの誰かが迎えにくるから外からあけてもらえばいい
・どうしてもだめなら窓から出ればいい
・モップをドアノブのところに突っ込んで外側のドアノブを押し出したらきっと向こう側のドアノブも落ちる。でもこれはちょっと乱暴なのでスマートじゃないな。
いろんなオプションを思案する。

僕は一ミリも動揺しない
たとえドアノブがとれて、閉じ込められても。

自分を客観的に、成長したなぁ、としみじみ。
自分へ拍手を心の中で送りつつ、
とりあえず歯でも磨くかと歯磨きを開始し、誰かがくるのを待つことにした。

外で仲間たちが歩いてるのが聞こえ、僕は歯磨きしながら叫んでみる。
「えくすくぜもわー。 えすく ぷべぶ めで しぃるぶぷれ」
(ごめん聞こえるー?たすけてくんね?)

そう言ってあと仲間が僕を救出してくれたのだった。


こりゃネタになるなー、と携帯のMEMOに残した自分の言葉を見返す。
こんな言葉が残っていた。

自分の生きる力が上がったと感じた瞬間。
バスルームのドアノブが内側からとれて閉じ込められた時。
閉じ込められた?
そんなの僕にとっては何のエマージェンシーでもない。

だそうだ。
自分で書いた言葉たちだが、なんと頼もしい事か。

次はどんなことが僕を待っているのか、
今から楽しみだ。


※投稿内容は全て個人の見解です。
最後まで記事を読んでいただきありがとうございます!
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また次回お会いしましょう。
Best,
Tai

✎2024年より✎
2024年1月1日 能登半島地震で被災された皆様、1日も早い安心安全な日常への復旧を願うとともに災害に関わる医療者として自分に出来る形でのサポートを模索していこうと思います。
亡くなられた方々へのご冥福をお祈り申し上げます。
被災地への僕なりの形として、国内外の災害に精通する医療者として、日本の民間企業の災害支援事業をアドバイザーとしてサポートすることになりました。一般社団法人Nurse-Men のメンバーを中心といた民間の災害対策本部を設置し、中長期的な被災地支援を実施していきます。
ご支援いただけますと幸いです。

尚、ぼくの投稿は全文公開にしていますが、有料記事設定しています。
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よろしくお願いします☺

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