カナダ西部で鬼ごっこ?〜24-25第9週振り返り&第10週プレビュー
グランドスラムばっかり見て、文章を書くのが遅れ、2つ分を1つにしないと終わらなくなったのは、私です。グランドスラム以外の大会もちゃんと紹介しようと思ったら…鬼ごっこみたいな感じで、先週と今週で“同じ会場・別のチーム”という感じになっていたので、その順番で簡単にご紹介しようと思います。カナダでも大会を運営できるカーリング場は、そこまで多くなくて、同じカーリング場で様々な大会を開くことになるのかもしれませんね。先週のプレビューはこちらからどうぞ。
マーテンズヴィルからウィニペグへ:KiTカーリングクラブ
🇯🇵KiTカーリングクラブは、先週サスカチュワン州マーテンズヴィルで行われた「マーテンズヴィル SaskTour シリーズ」に出場。組み合わせ表を見ると、トリプルノックアウトの変形版のようなトーナメント表で、2敗で敗退しているチームもありましたが、KiTは2連敗から3連勝で予選を通過。準決勝で🇨🇦シュトラ(Schutra) に敗れて、ベスト4でした。優勝は前々回の州王者🇨🇦K.ナップでした。前回優勝の🇨🇦マキューウェンが州選手権出場免除なので、今年は再び男子カナダ選手権(通称ブライヤー)に戻りたいのかと思いますが、Tier 2でAイベントから通過した🇨🇦クライターあたりとの勝負になりそうです。
KiTの試合を何試合か観戦した感想としては、必要以上に強く投げたりせずに、残せる石はちゃんと残す感じの丁寧なカーリングをしようとしている印象でした。ただ、それはおそらく技術的には難易度の高いプレーで、完全に習得してはいないようで、それをカナダ遠征でいろいろなチームに試しているのかなと思いました。完成すれば、かなりレベルの高いチームともいい勝負になる気がするのですが、どこまで自分のものにできるでしょうね。
そんなKiTですが、今週は「MCT Atkins Curling Supplies クラシック」(SFM:推定2.0) というマニトバ州で開催される大会に出場します。グランドスラムのTier 2以上のチームはそちらに行っているので、大会のレベルはそこまで高くないのかもしれませんが、ラウンドロビンで必ず5試合できるので、来週の「Stu Sells トロント」に向けて良い試合・良い練習を積み重ねてほしいです。
バーノンからマーテンズヴィルへ:小穴/青木、松村/谷田
先週、KiTがいたマーテンズヴィルに今週やってくるのは、小穴/青木と松村/谷田です。
先週はブリティッシュ・コロンビア州のバーノンで、MDスーパーシリーズ第2戦を戦い抜いた2組ですが、準々決勝で直接対決となりました。その試合に負けた松村/谷田はベスト8となり、勝った小穴/青木も準決勝で敗れてベスト4でした。準々決勝(6-3)は終盤まで接戦ではありましたが、1点を取り合う展開自体がもうすでに小穴/青木ペースだったのかとも思いました。前回のMD日本選手権の時のようにお互いに10点ずつ取り合うような展開の方が、松村/谷田にとっては勝ちやすい試合展開だったのかなと。ただ、この2組の対戦を数ヶ月ぶりにまた見ることができて、その点はうれしかったですね。
小穴/青木の準決勝 vs🇦🇺ギル/ヒューイット(5-8)は、2点目を狙った第8エンド後攻🇯🇵最後の1投が自分のNo.1を出してしまい、エクストラエンドにも進めなかったため、相手選手も驚くような急転直下の結末でしたが、ペアとしての基本的な戦い方からすれば、“狙って当然”という認識の1投だったのではないでしょうか。難易度も含めて考えると、むしろ決めておきたかったのは第5エンドの先攻ラストロックとか、第3エンドの先攻ラストロックとかの方ではないかと思います。小穴/青木のイメージとして、ああいう速いテイクアウトを試合の前半に決めることで、そこから気分や雰囲気が盛り上がっていく印象があります。その後の展開や最終的な結果も変わっていたのかもしれません。
優勝したのは、今大会🇯🇵小穴/青木に2回勝利した🇦🇺ギル/ヒューイットでした。前回五輪のミックスダブルスに出場したことで、カーリング競技に出場した初めてのオーストラリア選手になりましたが、エストニアなどと同様に、4人制での五輪出場は少しまだ遠そうな状況なので、その国のカーリング界の期待を一手に背負っていると言ってもいいでしょう。前回のMD世界選手権では降格プレーオフでなんとか残留を決めた15位でしたが、五輪出場権争いに最後までくらいついて行きそうです。
今週両ペアが出場する大会は、「アリー・ジェンキンス MDメモリアル」です。アリー・ジェンキンス (Aly Jenkins)さんは、2019年に3人目のお子さんを出産する際に合併症(羊水塞栓症)を引き起こし、30歳で亡くなったサスカチュワン州の女性カーラーで、その後、彼女の名前を冠した大会が開かれるようになりました。今年の大会にも出場するN.マーティン選手は、亡くなった時のチームメイトの1人でした。
参加ペア数のせいなのか、大会の形式は変則的で、松村/谷田のいるB組と隣のC組は5ペアずつの総当たりで4試合ずつ行いますが、小穴/青木のいるA組とD組は4ペアずつで、A組のペアvsD組のペアで4試合を行います。
先週のベスト8で残っているのは、日本の2ペアと🇩🇪アッベス/ハーシュの3組だけですが、前述の🇨🇦マーティン/レイコックや🇨🇦ウィーグル/エッピングなどカナダの有力ペアに加えて、2023年の世界MDで松村/谷田と準決勝を戦った🇳🇴ルンニン/ブレンドゥンが出場します。先週の大会で準優勝だった🇳🇴スカスリエン/ネドレゴッテンとMD代表争いを繰り広げており、ノルウェー協会の規定では、今季のMD世界選手権に出場することが五輪出場の可能性を残す唯一の方法です。M.ルンニン選手は4人制のチームから最近離脱したようで、しばらくはMD専門で活動するようです(世界ミックス選手権にも出場するようです)。🇪🇪タリンでの大会では予選敗退となりましたが、好成績を取り続ける競争相手にくらいつくためにも、この大会では優勝争いに加わるでしょう。
日本の2つのペアのポイント争いでは、小穴/青木はこの大会を最後に一度帰国する模様ですが、松村/谷田はカナダ遠征を継続し、小穴/青木が2度目の遠征を行うまでカナダに残ります。現状では小穴/青木の方が今季の獲得ポイントは大きいですが、そこまで大きな差はついていません。この大会でその差が広がるか、狭まるか、逆転するか、どうなるでしょう。
各地からバーノンへ:コンサドーレ、ロコ・ステラ、フィロシーク青森
遠征中の大会のない週だったコンサドーレやロコ・ステラ、そして、今週から遠征を始めるフィロシーク青森は、先週、小穴/青木や松村/谷田が大会を行っていたバーノンで「Prestige Hotel&Resort カーリング・クラシック」(SFM:女子3.0、男子2.5)に出場します。現地入りが早かったフィロシークの選手は、MDの選手にも会ったかもしれないですね。
女子は地元ブリティッシュ・コロンビア州のチームに加えて、アジアのチームが多い12チームの大会です。昨年のSFMが4.0だったため、計算上は2.0になるはずのSFMが3.0(昨年のSFMからの下落幅は1.0まで)となるはずです。つまり、大会のレベル以上のポイントがもらえるという意味では、少し“おいしい”大会とも言えます。ただし、日中韓の若手チームが多いため、SFM計算の根拠となる世界ランキング以上に最近力を伸ばしている場合には、SFMの数値以上に厳しい相手がそろっている可能性もあり、あなどれない大会だと思います。🇯🇵ロコ・ステラの組には、中国代表と目される🇨🇳ワン・ルイや軽井沢国際に出場する🇰🇷パク・ユビン(ソウル市役所)、さらに先月のU25 NextGenを優勝した🇨🇦リース=ハンセンがいます。また、🇯🇵フィロシークの組には、🇰🇷カン・ボベ(チョンブク道庁)や🇨🇳チャン・ユジエがいます。
男子の部には🇯🇵コンサドーレが出場します。チーム数も倍の24チームで、トリプルノックアウト方式です。世界ランキング上では🇯🇵コンサドーレが一番上ですが、州の男子チームが多く参加していますし、PCCCで対戦する中国代表の🇨🇳シュウ・シャオミンやニュージーランド代表の🇳🇿フッドも出場しています。今季の次の目標はPCCCかと思うので、そこに向けた良い準備になることを祈っています。
グランドスラム第2戦・第3戦の出場権争い
グランドスラム第1戦の途中ではありますが、グランドスラム第2戦の出場チームは今週の大会後に決まりますし、第3戦の出場チームが決まるのもわずか3週間後です。
女子は、🇯🇵北海道銀行、🇯🇵中部電力、🇯🇵フォルティウスという日本の3チームが関わっているので気になるところですが、今週の「ツアー・チャレンジTier2」、そして、来週の「オータム・ゴールド」や「Stu Sells トロント」といったポイントの大きな大会の結果次第となりそうです。
男子も日本の2チームが関わっています。男子も来週以降「Stu Sells トロント」や「Henderson Metal フォール クラシック」など、獲得ポイントの大きな大会が残っているので、場合によっては大逆転も起こりうる状況です。
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