青野太一

書きたい。読みたい。読んでほしい。 盛岡市在住。22歳。

青野太一

書きたい。読みたい。読んでほしい。 盛岡市在住。22歳。

マガジン

  • 小論のようなもの。

    こんなこと考えたんだけど、どう思う?

  • 日記のようなもの。

    みじかくて、かんたんな、ちいさな言葉。

  • 評論のようなもの。

    観てきたものや聞いたこと。今まで覚えたぜんぶ。

  • 小説のようなもの。

    ふぃくしょんをくりえいしょん。

最近の記事

  • 固定された記事

社会の嘘つき。【エッセイ】

 中学3年生のとき、僕は社会と約束した。大人になったら僕は働く。その代わりに、社会は僕に自由をくれると。  社会は僕を裏切ったんだ。自由なんてものは偽物だし、大人たちは楽しそうに見えて、本当は欲しくもない商品を買って見栄を張っているだけじゃないか。僕は知らなかった。こんなにも働くことが辛いなんて。  大体おかしいじゃないか。1日8時間も働かなきゃいけないなんて。フリーターになればいいじゃないかって? そんなことは僕も考えたさ。でも、同じだけ稼ごうと思ったら正社員よりも労働

    • 最近の若者が”弱い”のはなぜか。

      「最近の若い奴らは、どうしてこんなにも子供っぽいんだろうね」  隣のテーブルから、老人の嘆きが聞こえてきた。若い奴ら。僕のことだろうか。確かに自分の未熟さは毎日のように実感している。でも、それは今も昔も変わらないんじゃないか。そんなことを考えていると、老人は続けた。 「俺なんてね、16の時には稼ぎに出てたんだよ。それに、20過ぎた頃には結婚もしてた」  昔の若者は、今よりはるかに社会性を持っている。僕の考えは間違いだった。 「最近の70代ってほんとに元気だよねー」  反対側

      • 売れてる本がつまらないのはなぜか。

         最近、売れている小説を中心に読むようにしている。僕は昔から、多くの人が褒めているものに対して距離をとってきた。しかし、実際のところどうなのかは確かめないと分からない。そんなわけで、ベストセラーを調べて読んでいるのだ。  結果はどうだったか。面白くないものばかりだった。なんで売れているのか全く理解できない小説があった一方で、人気の理由が予想できるものも存在した。それを踏まえた上で、どうしてつまらない本なのに売れるのかを考えたいと思う。  ベストセラーになるのには、二つの要

        • テレビは隠すし、ネットは嘘つく。

           なんだか、ここ数日でテレビとネットの二項対立をよく見かける。テレビは国民を騙そうとしている、とか。ネットにこそ真実があるんだ、とか。  どうやらネットを支持するのは若い人に多くて、年齢層が高くなるにつれてテレビを支持しているようだ。このままいけば、僕らの大半がネットを情報源として生活していくことになるのだろう。  僕の周りではネットに囲まれて生活する人がほとんどなので、なんとなくネットの方が正しいように思ってしまう。しかし、果たしてそうだろうか。  テレビが正しいと言

        • 固定された記事

        社会の嘘つき。【エッセイ】

        マガジン

        • 小論のようなもの。
          13本
        • 日記のようなもの。
          25本
        • 評論のようなもの。
          11本
        • 小説のようなもの。
          10本

        記事

          じゃんけんと潜在意識。 【エッセイ】

           じゃんけんは、公平に物事を決めるときに用いられる。グー、チョキ、パー。この単純なルールからも分かる通り、勝つ確率は誰しもが平等である。  しかし、たまにとてつもなくじゃんけんが弱い人が現れる。  たとえば、僕だ。  じゃんけんが弱いと自覚したのは中学生のとき。所属していたソフトテニス部で練習をする前に、前衛と後衛でそれぞれじゃんけんをする。勝った人から1番、2番。同じ番号でペアを組むのだ。僕は毎回、5番だった。もちろん5人中。通算成績は15勝37敗。  こんなに負ける

          じゃんけんと潜在意識。 【エッセイ】

          「おめでとう」は悪魔の言葉。 【エッセイ】

          「入学おめでとう」 「就職おめでとう」 「結婚おめでとう」  僕らの日常には、おめでとうが溢れている。 「内定おめでとう」  行きつけの美容院で、帰り際に言われた。僕は得意のつくり笑顔を披露して、「ありがとうございます」とお礼を言った。  帰り道、頭の中で「おめでとう」が繰り返されるたびに、僕はストレスを感じていた。 「おめでとう」と言うとき、僕らは相手が喜ぶだろうと信じて疑わない。本当にそうだろうか。  もちろん、祝福の気持ちを伝えるときはあるだろう。しかし、入学とか

          「おめでとう」は悪魔の言葉。 【エッセイ】

          野球解説という仕事。 【エッセイ】

           野球中継には、解説が欠かせない。……らしい。実況するアナウンサーと解説する元プロ野球選手。どちらかだけでは成立しない、支え合いの仕事だ。  3回表。0-0で迎えた1アウト満塁のチャンス。実況にも力がこもる。 「チャンスの場面ですが、どういう攻撃をしていくのがいいでしょう」 「そうですね。ここはまず1点が欲しいところです」  当たり前だ。野球をやっていて1点が欲しくない瞬間などないだろう。  7回裏。2-2の同点で打席には4番バッター。初球を見逃したあと、2球目のカーブ

          野球解説という仕事。 【エッセイ】

          今週読んだ6冊をランキングにしたんだよね。【11/11-11/17】

          ちょっとした振り返り。映画を観るようになった。  最近本ばかりで、なかなか映画を観ることができていなかった。でも、今週から再び映画を観るように。きっかけはなんだろう。おそらくYouTubeなんかで観た映画評論だと思う。コンテンツを受け取るだけではなく、こちら側で解釈する。それこそが本当の価値なのだろうと考えている。 作品から商品へ。  小説や映画に触れていると、気が滅入るようなものに出会うことがある。それは世間的には評価をされていて売上も高いのだが、僕の心を蝕んでゆく。

          今週読んだ6冊をランキングにしたんだよね。【11/11-11/17】

          特別なひと。 【エッセイ】

           誕生日というものは実にくだらない、と僕は思う。自分が生まれた日にちなんてどうでもいいし、今年の自分の誕生日も当日になって気がついたくらいだ。  恋というのは偉大である。好きな人の誕生日というだけで、一週間以上前からそわそわして落ち着かない自分がいた。会えるわけでもないのに、メッセージを送ることだけを楽しみにしている。  誕生日そのものに胸を躍らせているとは考えにくい。そうなるとおそらく、お祝いメッセージをきっかけに会話が続くことを期待しているのだろう。 「おめでとう」

          特別なひと。 【エッセイ】

          映画『スピード』に見る、資本主義の終焉と加速主義。 【映画評論】

          (※以下ネタバレになります。これから観る予定の人はご注意を) 走り始めたら止まれない。  題名にもなっているように、この映画のテーマが「スピード」であることは間違いない。その設定とは、バスの走行速度が50マイルを超えると起爆装置が作動し、それから50マイル以下に落ちると爆破されるというものだ。  これは、資本主義そのものだ。一度スタートを切ってしまったが最後、止まることは許されない。成長し続けろ、稼ぎ続けろ。人や環境に被害があろうと関係ない。目的地なんてありゃしない。走

          映画『スピード』に見る、資本主義の終焉と加速主義。 【映画評論】

          『すべてがFになる』の、すべてが”嫌”になる。

           最近、人気のある有名な小説を意識的に読んでいる。もともと僕は売れている本にあまり興味はなく、むしろ避けているとも言えるのだが、読んでみないことには優劣がつけられない。そんなわけで、森博嗣『すべてがFになる』を手に取ったのだ。  これは小説の紹介ではなく感想であるため、必然的にネタバレは避けられない。そもそも感想を読もうとするのは既に読んだ人であるのだから気にすることもないかと思ったが、念のため注意しておく。  面白くない小説にも、良いところはある。この小説について言うな

          『すべてがFになる』の、すべてが”嫌”になる。

          『点検係』【ショートショート】

           夜の工場は不気味だった。なにもかもが無機質で、真夏だというのに冷たい空気が漂っている。絶対に動かないという安心感の一方で、今にも動き出しそうな恐怖が渦巻いていた。  点検のバイトは初めてだったが、マニュアルが配られたため簡単だった。工場の入り口近くの機械を点検して、チェック欄に印をつける。  俺が応募した求人サイトには、同じ点検のバイトが他にもいくつも存在していたが、時給はどれも違っていた。点検係①はその中で最も時給が高く、数字が大きくなるにつれて安くなっているようだった

          『点検係』【ショートショート】

          売れる小説と書きたい小説。 【エッセイ】

           小説が好きだ。でも、小説が嫌いだ。  小説を書きたい。でも、小説を書きたくない。  ベストセラー小説を何冊か読んでみた。何十万部突破とか、何とか賞受賞とか、売り上げランキング第一位とか。そんなやつ。一度くらい勉強のつもりで読んでみようと思ったんだ。  つまらない。嫌い。気に食わない。そんな本ばかりだった。僕の感想は変なのだろうか。ネットで調べてみる。どこをみても大絶賛の嵐。さらに嫌になる。そうか、こういう小説が"良い"小説なのか。  読む分にはまだ許せる。自分が好きな

          売れる小説と書きたい小説。 【エッセイ】

          快楽の先に、幸福はない。

           テレビを消した。  30分くらい経って、電源を入れる。人生は思い通りにはいかない。6対0。相変わらずの点差だった。もう二度と見ないと誓い、リモコンを押す。部屋は再び、静寂に包まれた。  応援している野球チームの試合が、テレビで中継されていた。プロ野球のテレビ中継は、今の時代なかなか無い。  勝つこともあれば、負けることもある。当たり前のことだ。負けている試合を見続けるのは、かなり辛い。そんな苦痛に直面したとき、僕は見るのをやめる。  最近の若者は、極端に苦痛を避ける傾向

          快楽の先に、幸福はない。

          今週読んだ本をランキングで。 【11/04-11/10】

          ちょっとしたまえがき。今週はつかれてた。  最近は寒くなって、今まで以上に朝が辛くなってきた。それなのに、「やりたいこと」と「やらなきゃいけないこと」は増える一方。当然、時間はなくなってくる。水曜日には、GitとかGitHubとかをいじってて気がつくと日が暮れていた。  もしかしたら余裕なんてものはやってこないかもしれないし、実は求めていないのかもしれない。時間が空いたらYouTubeで動画を探しているのだから。でも、楽しければそれでいい。案外なんとかなるものだ。 読書は

          今週読んだ本をランキングで。 【11/04-11/10】

          休むことが許されない休日。 【エッセイ】

           ベッドで寝そべる自分の顔に窓から西日が差し込んだ時、平日の憂鬱さを思い出す。ああ、また休日を無駄にしてしまった。  僕らは休日のために平日を過ごしている、と思っている。土曜日は早起きしてウォーキングに行こう。その後は読みたかった本を読む。映画を観るのもいいかもしれない。  土曜日。スマホの黒い画面に映った無気力な自分の顔を見つめる。こんなはずじゃなかったのに。もっと効率的に動きたかったのに。  充実した休日が存在するとして、それはどんなものなのだろう。やりたいことを効

          休むことが許されない休日。 【エッセイ】