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上京物語〜第二話「生活」

三軒茶屋のキャロットタワーにはTSUTAYAがあって、一緒に上京したヴォーカルと、夜にウロチョロしながら都会だな〜なんて言い合ってたように思う。

とはいえ、いつまでも居候するわけにはいかない。自分は札幌でガソリンスタンドを経営している会社に勤めていたし、資格もあったので、すぐさま三宿のモービルにバイトにいくようになった。

東京にきてプラプラしている時間が不安だった。ひとまずバイトを、と上京1週間もしないうちにガソリンスタンドに履歴書を持っていき、そして採用された。三宿はなんともいえない知る人ぞ知る的な雰囲気を醸し出す街だったように思う。ZESTは2013年で閉店したそうだ。行ったことなかったけど。

バンドのメンバーは4人。自分とヴォーカルが先発組で東京に。2人がそれぞれが部屋を借りれば、とりあえず2:2で暮らせるようになって、北海道に残った残りのメンバーを呼べる。しかしココは焦らず、こちらはこちらで東京に慣れてから動こうという共通認識だったように思う。これは全員が札幌に暮らしており、実家がけっこうな田舎(全員同じ街出身・中学までは全員同じ学校)だったので、上京するまでの数ヶ月、札幌の家をひきあげて準備したり旧友にあったり、思い思いに過ごす時間があった。

いまこれを書いているのは2018年だが、今ライターという職業をしているキッカケが、この1999年からミレニアムと騒がれた2000年を迎えた数ヶ月間にあった。

上京の際、持ってきた少ない荷物の中に、愛読している車雑誌が入っていた。何度も何度も繰り返し読み込み、編集後記に「アルバイト募集」の文字に気がついたのは上京してからの話。何もわからず、興味だけで履歴書の入った封筒を送った。

音楽活動? 雑誌をつくる仕事? そんな東京生活が少しずつ動き出した。

つづく

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