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【設計して生きる】アーティストが“偶然”を発動させる

あらゆる可能性を信じていながらアーティストは、システムを信じない。確固たる意思を証明するためには相応しい、創作人生の設計が必要だ。このトピックでは、「夢をスケジュールに変換する方法」を、知ることができる。媚びた人生に頑固な創作を貫きしかし運命任せで先が見えないアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 科学と自然は共存している 』

科学と自然が緊密な関係にあるのは周知の事実、そこに“芸術”が関与することは異例だろうか。

アーティストの多くは、“偶然”という自然を感じている。時には思考することを休止して、発想が下りてくる瞬間を待つこともある。しかしそれは、整頓された綿密な情報と安定した技術を稼働させるための“タイミング”を待つに過ぎない。そもそもに芸術は、自然と科学というシステムを理解しているのだろうか。アーティストは、正しい学びを重ねているだろうか。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:アーティストはどのようにして科学的探求を始め、新しい作品を生み出すのか

アートの世界が国境を越え、文化のあらゆる領域に目を向ける中、さまざまな種類のコラボレーションについて、ノーベル賞を受賞した分子生物学者のデビッド ボルティモアや、科学史家のジェド ブッフバルトといった著名な科学者(いずれもパサディナにあるカリフォルニア工科大学の教員)に相談した。

科学における不平等というテーマをアートで表現することは、Science Gallery Detroitが掲げる使命と一致する。「私たちの仕事は、科学技術や医療格差などの科学分野の問題が、私たちのコミュニティにどのような影響を与えているかを理解し、疑問に答え、生きた経験の中に主体性を持たせるような展示やプログラムを提供することです」代表のスコットが語る。「テクノロジーの領域で普及し、理解されにくくなっているツールの創造についても考えてみてください。科学と芸術を共に探求する機関として、私たちには、少し違った方法で物事を調査する義務があります」と付け加えた。

「私は現代に起きていることを捉えようとしています。」

気候変動、生息地の破壊、生物多様性の喪失などについて、科学者が知っていることと人々が聞いたことと吸収したことの間にもギャップがある。しかし、拡張現実アートはその助けになるという意見もある。

科学と芸術の融合に明快さと調和を感じている。特にワシントンのような文字通り、そして比喩的にも混沌とした場所では役に立つ。科学からの洞察は、芸術がもたらすどんな洞察にも劣らない素晴らしいものだ。ダンテが言ったとされる言葉には、“自然は神の芸術である”とある。

最新の青色顔料が、実験室での偶然の発見からアートの世界にふさわしい色になるまでには、10年以上の歳月が必要だった。化学者のマス スブラマニアンとそのチームは、電子機器に使用する無機材料の開発に取り組んでいて、2,000度以上に熱したオーブンから新しい化合物を取り出してみると、それは強烈なショッキングブルーであった。 - SEPTEMBER 21, 2021 ARTnews -

『 ニュースのよみかた: 』

自然界の現象や危機についても一般認知と“科学者の知識”には差があり、芸術が貢献の一助となる。芸術は既に自然と科学の恩恵を受けているのだから、という記事。

アーティストはともすれば既存の技術に固執して業界もろともにシュリンクし、一方では先端技術に依存してコモディティ化の果てに枯れる。芸術に注目が集まる現代になおアーティストは作品と共に、“消費”されている。

しかしそれ一概に、時代が悪い、企業が悪い、運が悪いとは片付けられない。アーティストは“創作のプロフェッショナル”でありしかし、“システム”に疎い。

アーティストは創作人生を、設計する必要がある。

『 創作人生の設計 』

キャリアには上限がある。実力を問わず、時間とタイミング、業界とマーケットによる制約からおのずと天井が観えるはずだ。

キャリアの上限を捉えた先に、国際的な成功者たちは君臨している。著名な彼らこそが“限界突破”の証人である。冷静に観察するといい、成功者の彼らは一見、業界の頂点にいる。しかし現実には、成功者の彼らを目指して“業界の頂点”が延長されているに過ぎない。そこは本来、業界を突破した“その先”である。成功者の登壇と共に業界は、拡大するのだ。

可能性は、無限であるしかしそれは、現実を踏まえた先にのみ存在する。やるべきことをクリアしていない者が夢を描くことは、SCRIPT(映画脚本)の中でもタブーである。横並びのランナー全員が転倒して自身が優勝する可能性は、無い。例えそんな事態が発生してもレースは、やり直されるのだから。

『 夢をスケジュールにする方法 』

ハイブランドの頂点にしてファッション界の聖地である「VOGUE」というファッション誌がある。“9月号”という勝負を頂点にこの一年を、また近未来を創造し続けている。地球上のファッションに関するブランド、関係者はすべて、“9月号”を生きている。

アーティストの多くは人生の消費がうまく、まるで偉業を成し遂げたかのような達成感を感じながらただ、老いて消える。日々の活動にタスクを刻め、などというのは立派な自己啓発本に任せるとしよう。“紙に書く”ことも“毎日その文字を眺める”ことも、たかがゴッコなのだから。それで夢が叶うなら人類は、網膜にレーザーで文字を刻む。

夢というマイルストーンを、スケジュールに起こすことだ。アーティストが最も苦手なのは“〆切”である。一方で、〆切があるからこそ創作にフルスロットルになれるのであり、〆切が作品の質を上げている。自らの〆切を、他者に預けることだ。それでも“自由こそ可能性”だと公言する人がいる。嘘だ。証明しよう。

〆切と制約のないアーティストの“自主作品”は例外なく、質が低い。

成功者のアーティストは必ず、複数のパートナーたちとともに創造を共有している。アーティストは“締め切り”の管理を放棄すべきである。

『 編集後記:』

香りの価値に疎い。
嗅覚には鈍い方だと想うのだがしかし、いつも香りを求めている自分がいる。けっして高尚な提言をしているのではなくただ、“時間と香り”の関係を護りたいと感じる。

穏やかな食事の席に尖ったパルファムは避けるべきだがコロンであっても、ラストノートになるような“つける時間”の配慮が必要だ。創作の瞬間に調理や生活臭が香るのは断じて許せないが、深夜のロケ現場に配られる“豚汁”の香りは、撮影を一時停止する価値がある。

時間に相応しい香りを感じながら、生きていたい。時間と香りは、同じ単位で測られるべきだ。これを書き上げたらご褒美に1枚、サンタ マリア ノヴェッラのアルメニア ペーパーに火を点そう。

アーティストの覚悟香る人生の断片を2時間に収めるべく、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。

■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記