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【便利な人】“利用される”という価値を生きるアーティストたち

巨匠と著名が、高評価のアーティストだとは限らない。業界を問わず常に新たなステージで活躍できるアーティストには明確な、理由がある。このトピックでは、「“困らない創作活動”の基本」を、知ることができる。技術に自信があり明確な目標も掲げながら一向に“生きるための生活仕事”から脱することのできないアーティストの、ために書く。

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アーティスト情報局:太一監督
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日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、
監督がスタジオから発する生存の記
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『 上質な作品を生む、という行為を知っているか 』

他人からの評価がすべてでは無いしかし、評価があればこそのショートカットも事実であり。ただし、アーティストの活動を“作品制作”だと想っている者に、高評価は集まらない。

巨匠や著名でありながら評価や人望のあるアーティストは常に、「他者への貢献」を考えている。比喩では無く時には、自身の創作活動を停止してでも、アーティストの手伝いに尽力する。

彼らの意識は明解で、「優秀なアーティストが困っていれば、助けるのが当然。」というものだ。彼らの目的は“上質な作品を生むこと”でありともすれば、それが自身の作品であろうとライバルの作品であろうと、区別が無い。

重要なのは、「優秀なアーティストかどうかの見極め」である。

そこで、日本に入っていないニュースをお知らせしておこう。

■ 最新国際ニュース:写真家でアーティストのロバート ロンゴ、最新作の原動力となった "道徳的衝動 "を語る

アーティストとして知られるロバート ロンゴはここ数年、世界的な今日の最も差し迫った問題を反映し、政治的見解を反映した作品を制作し始めている。

ARTnews:政治的なアートを作ることに興味を持ったきっかけは何でしたか?
「最初から私の作品は政治的なエッジを持っていました。今までと大きく違うのは、怒りの感情がかなり高まっていることです」

ソーシャルメディアは、あなたの仕事のやり方に影響を与えていますか?「私の初期のキャリアでは、目にしたイメージに反応していました」

どういうことですか?
「自分のイメージの意図から外れないようにするためです。私がやっていることのひとつに、明らかに政治的な内容の作品を販売するたびに、利益の10~20%を寄付する団体を特定するというものがあります。氷山の絵を描いたら、グリーンピースに寄付します。」

「第二次世界大戦後のことです。文化はヨーロッパにあり、私たちには独自のものが必要でした。抽象表現主義は、アメリカの古典的な芸術でした。ポロック、クラズナー、デ クーニング。ポロック、クラスナー、デ クーニングなど、抽象表現主義はアメリカの古典芸術です。私はいつも彼らのことを考えています」

もう少し説明してもらえますか?
「プロセスです。彼らはとても自由に見えます。スタジオに入って、自分の魂を爆発させるようなイメージです。私は自分の仕事が大好きです。」 - SEPTEMBER 02, 2021 ARTnews -

『 ニュースのよみかた: 』

映画メディア最大手VARIETY傘下、ニューヨークの芸術誌によるインタビューで著名なアーティストが浅い返答を繰り返した、という記事。

実に残念ながら彼は、“著名だから”といって誰もが評価の高いアーティストではないということを証明している。

たとえば、彼の肩書きは「アーティスト/映画製作者/写真家/ミュージシャン」と焦点に弱く、複数の批評家によって「ロンゴは80年代半ばまでに、視覚芸術家としての道を失った。」と宣言されている。

それでも彼は“ボッテガ ヴェネタ”のグラフィックでも有名な写真家であり、過去に、1995年の映画「JM」(出演:キアヌ リーブス / 北野 武)を監督している。辛口批評メディアの“ロッテントマト”による空前の酷評にもめげず国際配給の黒字化で悪評はないが、懲りたようではある。正解だ。

『 利用される、という価値 』

理解されない話を持ち出すために例えとして、「三人の受刑者」の話をしたい。壁を越えて“全員が脱出する方法”は、身体能力者が最後まで残り、二人を先に押し上げてから、自身を引き上げてもらえば善いわけだ。

しかし多くのアーティストは先に押し上げた二人に置き去りにされる場合を案じて、自分だけでのし上がるのが“業界”の仕組み。協力者のいない能力者ばかりになり、輝きを失った業界は疲弊していく。

信じて先に二人を押し上げるのが「成功者のアーティスト術」だ。

成功者たちは、“上質な作品”のために他のアーティストに「利用される」ことを選ぶ。無意識であり時には意図的に、“利用しやすい自身”を生きている。

そこまで読んでも、「利用されるのは損だ。」と感じるならその人は、“意図的に利用される”という経験が無い。

『 無敵の実行力 』

自在に企画を遂行する人々がいる。その人物の周りには多くの“協力者”が溢れておりきっと、ハイエンドな技術にも国際レベルの著名な人材にも必須以上のお金にも困っていない。興味深いのは「無敵の実行力」をもつ彼らの多くは自覚すらなく、“他者の企画”と“他者ブランディング”を優先している。

想像してみれば一目瞭然、そんな人物のオリジナル企画は当然“高位のステージ”にあり、許されるなら参加したい。たとえ目先の得がなくともその貢献から得られるシナジーにはもはや、「利」しかない。

「利用されるアーティスト」には、強大な力が集結する。

『 “便利”は必須 』

欲しくなる物の実態は、高価であったり希少であったり好みであったり。だから常に“捨てられる瀬戸際”にあるだが一方で、「便利」は捨てられない。

巨匠や著名なアーティストの中で更に“高評価”を得ている人格者の多くが、他者から重用されることに喜びを感じている。偽善でも自己犠牲でもなく純粋に、「ありがとうございます!」の笑顔を欲している。

成功者は「便利な自身」を誇り今日も、望み通りの活動を謳歌している。

『 編集後記:』

著名なアニメーターの個展を決めた。
国際認知を念頭に、「GINZAの好立地ギャラリー」「ハイブリッド開催」「最先端技術」「国際チーム」という無茶を掲げてみたのだが、2カ所とのZOOM会議、一度の会場下見を終えて仮眠していたらすべてが揃っていた。

わたしの尽力すべき作業は早くもなくなってしまった、では当日を楽しみに、来場著名人たちの撮影でも担当させてもらおう。会期は、10月15日から10月31日までとした。

個展の最終日「10月31日」にピンとくるあなたはさすが、デファクトスタンダードを生きる現代の精鋭である。

そう、
“サトシ ナカモト”による“ビットコイン”論文「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」が発表された日だ。

あなたはこの秋、その意図を知ることとなる。

非中央集権型のユニットを目して、映画製作の現場へ帰るとしよう。では、また明日。




■ 太一(映画家):アーティスト業界情報局 × 日本未発表の国際映画業界情報 あるいは、 監督がスタジオから発する生存の記