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🔴いつも大安吉日14 〜つながるいのち〜

【つながるいのち】

月が満ち満ちたおとといは朝から雨だった

一日短くなった伐採仕事の最終日のはずだったけど雨で延期になった

チェンソーをブンブンいて作業しなくてよかった

雨でしずかでよかったかな

晴れたきのうの朝に親方の奥さんからうれしい話しを聞いたときそんなことを思った

「仔馬がうまれたよ」

親方は仲間でつくった馬の会のメンバーで、馬小屋は親方の家の西側にある

そして伐採現場は親方の家の南側

いい雨が降ってくれた

さっそく馬小屋に行ってみると母馬の横に前の日に産まれた仔馬がいる

たまにグラっとして転んだりしながらたけどすでに歩いてる

十二、三年前に馬の会がはじまったときに親方や仲間と北海道まで道産子をゆずってもらいにいった

そのながれでぼくもそのころ馬にふれることがあったけど生まれた直後の仔馬は見たことがなかった

ただ小さいだけでもう馬だった

少しはなれたところから「ブイーンブイーン」と木を伐る音がする

ケヤキにえのき、カシに枯れた杉

その木の下にはつぼみが開きはじめた蕗のとうがいっぱいだ


その木を伐ってひと休み


馬小屋が見える現場には黄色いカゴがまた「わ」になってた

「お昼ごはんも用意するからよっておくれ」

「とにかくよっておくれ」

おばあちゃんはみんなでわいわいするときがたのしいみたいで、昼ごはんには近所のおじさんも呼んでた


蕗味噌やえごま味噌、たくあんにおひたし
十時のお茶の時間にもじゃがいもの煮物を食いすぎたぼくらに、おばあちゃんはさらに「たべなたべな」とすすめてくれる

田舎のばあちゃんの得意技


これ以上は腹が苦しい

生まれたばかりの仔馬をダシにつかってその「わ」をぬけた

お昼だったから朝みてから数時間が経ってた

少しばかりヨロッとはしていたけど仔馬は小走りをしてた

母馬のまわりをおっぱいを飲みながらまわってた


うまれて二日目で走りはじめてる

自然のなかならいつまでも寝転んではいられない
走れるようにならないと
逃げ切れるようにならないと

馬の会で管理してるけど、生きていくことは体がおぼえてる

自分の足でしっかり立って生きないと

母親だって命がけで生んだばかり

生んだばかりの体はすぐに整うのかな

平均的な寿命でいったら人間よりも馬のほうが全然短い

だからそんなにゆっくり生きてられないのか

人間は長い人でも生きる時間は百年くらいなもんだ
年を重ねるごとに役割がかわってくることも知ってる

いつか死ぬこともみんな知ってる

馬や動物は未来のことを気にしたり心配したりはしないだろな

あかるい未来や不安な未来
どうなるかなんてまったくわからない未来につかう時間はないんだろ

今を生きてるんだろな

いとなみ

人も馬もだれかに教えてもらうわけでもなく乳を飲む

冬眠する動物たちは生きるために長い眠りにつく

春になってあったかくなって咲く花も

頭で考えてやってるわけじゃない
長い長い営みのなかでふかく体に染み込んだ本能なのか

科学が進歩してたくさんのことが数字や目でみてわかるようになった

でもそれってほんと最近のはなし

生物の誕生約四十億年前から今の瞬間までを一日したら、科学のある時代なんて三秒くらいなもんだろ

読み書きが出来て記録が残せたのだってそんなにとおい話しじゃない

だけど種はずっとつながれてきた

口で伝えて大事にしてきたもの
しわクチャな手や顔が伝えるもの
おやじの背中が語ること

長すぎる時間がつないできたもの

そしていまもそのつづき

いま犬の散歩中の仲間とすれちがった

「また仔馬がうまれたよ」


妊娠していたもう一頭の馬も昨夜から今朝にかけて仔馬を産んだらしい

山から朝日があがった

あたらしいいのち
あたらしいいまのはじまり

今日もいい日になりそうだ


五穀豊穣 
子孫繁栄 
大安吉日や さかいひろし

#大安吉日や
#佐久穂町大日向
#もちつき #出張もちつき
#ぽん菓子 #出張ぽん菓子
#つながるいのち

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