人として育てられたかった
私は人間の姿形をした、飼い犬だと思う。
生まれたときから、操作され飼い主の都合のよい飼い犬に育てられてきた。
勉強はまぁまぁできて、音楽もできて、スポーツもできる。
まわりの人間からみれば、それはすごいことで、こちらからそのような話をすれば、「自慢だ」と尊敬と冷笑を含んで、物珍しそうにこちらに近寄ってくる。
そりゃそうだ。人の姿形をしているのだから、興味で近づいてきてもいいのだろうと思っているのだろう。
別に近づいてきた人間に嫌気はさしていない。しかし、飼い犬として育てられていることを知らずにノウノウと近づいてくる人間には、殺意すら覚える。
人間として、一人前に育てられ、ある程度の自由をもって生まれた人間は大嫌いだ。
それは、羨んでいるからかもしれない。人として私も生きてみたかった。
あと、4か月ほどで私は人としてやっと人生を始められるかもしれない。人生を始めるうえで飼い主を社会的に殺しにかからなければならない。
ここからが逆転劇。
踏ん張り時。
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