永遠の一コマ

暖かい迷彩の空を見つめながら
にぎやかな音楽を聴き続ける
色のついた風を見たころに
聴き続けていた永遠の音楽を

海の向こうから照らされる雲に
神様が隠れているような気がした
みんながシャッター切っていた
僕はうつくしさについて考えていた

ピントの合わなくなったカメラを
首から下げて砂浜を歩いていく
波音が聞こえなくなるくらい
胸の奥の音楽が僕の背中を押す

ダウンジャケットに染みだした汗
駅前のカフェで改札を眺める
それぞれの熱をまといながら
それぞれの行き先を目指す人たち

すっかり日が暮れたあとで思い出すのは
ぼんやりとした昼間の残像
静かだったはずの部屋
確かにあったはずの光

僕はなぜか
街をゆく人たちの目に怯えながら歩き続ける彼
のことを思いだす
一度きりの炎を燃え上がらせて
燃え殻の中で生きる彼を

世界中の誰もの身に覚えがあることでも
君にとって切実ならば
その愛すべき平凡な痛みを教えてほしい
クリーム色の空が生まれくるまで話をしよう

気まぐれな黄金が街から街へ飛び回り
新しい歌に変わるなら
意味ありげな言葉たちを手放して
素直なよろこびを祝えるのかも

それぞれの部屋に迷い込んだ光たちを
お気に入りのグラスに注いで
窓の外へ逃してあげよう
たまに飲み干したっていい

海の向こうから照らされる雲に
神様が隠れているような気がした
みんながシャッター切っている
うつくしさについて考えている

世界中の誰もの身に覚えがあることでも
君にとって切実ならば
その愛すべき平凡な痛みを教えてほしい
僕はそのうつくしさについて考えている

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