無限の夏休み

  入道雲が僕の家の真上に立ち込める。庭の池には鯉が泳いでいて、もう何年も見ているはずなのにその姿にじっと見入る。夏の光は濃い。木立の影はくっきりと地面を切り取る。

 晩春に飛び立った鳩たちのシルエットも遥か遠景に退いた盛夏の真昼に、僕は君の夢を見る。汗だくで走り抜けた畦への憧憬を、どうか嘲笑ってくれはしないか?

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