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2020年のデータで見る2021年のツエーゲン金沢が昇格する条件

競り合いに勝つ。それのみ。

ツエーゲン金沢 2020シーズン 

42試合 12勝13分け17敗 勝ち点49 22チーム中18位
得点57 失点67
勝率 0.285
引き分け率 0.309
負け率 0.405

ちなみに19位の町田とは同じ勝ち点49で得失点差はわずかに1しか変わらない。あと2点失点していたら2021シーズンだったら降格という事になる(2021シーズンは4チーム降格)。ただ、ここでは降格しない事を考えるつもりは無い。昇格が至上命題のクラブでさえ、歯車が狂ってしまえば下のカテゴリーに落ちる。ならば目標は高く持ったほうがいい。では昇格を目指す為の指標を示したい。以下は2020シーズン1位の徳島の成績。

42試合 25勝9分け8敗 勝ち点84
得点67 失点33
勝率 0.595
引き分け率 0.214
負け率0.190

1位と18位を比較するので仕方ないのだが、まず感じるのは圧倒的な勝率と負け率の違い。これは単に得点や失点の違いだけで片付けられるものでは無い。徳島は25勝のうち約半数の12勝が1点差の試合である。金沢が1点差で勝ったのは徳島の半分の6勝。あと金沢が6つ1点差の試合をひっくり返していたら勝ち点が18点上乗せされるわけで、そうすると2020シーズンをベースに考えた場合、4位に位置する事が出来る。4位相当の位置にいれば昇格も十分に狙える。

さらなる得点力の向上という事を考えるよりも、競り合いに勝つ粘り強さを身に付けた方が得策だろう。実際2019シーズンの金沢の総得点は58点で11位。2020シーズンのほうが1点得点が少ない(57得点)だけで、順位はぐんと落ちてしまった。ちなみに2019シーズンは一点差の試合は9勝している。

ちなみに2019年と2020年との一点差の試合の差を勝ち点に直すとちょうど11位になる。(2019の一点差勝ち試合9 - 2020の一点差勝ち試合6 =3試合=勝ち点9  2020シーズンの勝ち点49+9=58  9位水戸と10位栃木の勝ち点と同じになるが、得失点差を単純に比べると11位になる)

では、どうすればいいのか。

無理がありすぎた2020シーズン。依存からの脱却。

この「無理がありすぎた」というタイトルは決して大袈裟に言っているのではない。18位という結果を危機感を持って捉えて頂きたい為である。しかし、2021シーズンに向けては状況はポジティブに動いていると思う。

石尾・下川・藤村・窪田・本塚・大石1 廣井2 チット・山根3 杉浦8 島津9 ルカオ10 加藤陸13

藤村1 清原2 山本義3 廣井・山根4 小松・金子5 杉浦・大石6 クルーニー・加藤大7 垣田8

上が2020年、下が2019年の得点者とその得点数。

2020年はルカオ・陸次樹の2人に得点を依存していた感があった。ルカオさんが負傷欠場する前で6得点、復帰してからは4得点獲ったが復帰後のルカオさんは本調子とは言えず、前半戦のモンスターぶりは鳴りを潜めた。(故に山雅と対戦してルカオさんが出たとしても、必要以上に怖がる事も無いように思う)

その穴を埋め、エースとして活躍したのが陸次樹くん。ルカオさんがいなくなってからもゴールを量産。しかし前半戦21試合では9得点記録したが後半戦21試合では4得点。ルーキーイヤーで13得点は立派な成績だが、後半戦では物足りない印象も。

もちろんエースストライカーは必要。ただ、エースが調子が悪くても他で点が獲れれば勝てるようなチームが、上にあがれるチーム。2019年のように3~7点獲れる選手が複数人いる事。要はどこからでも点が獲れる事が一番重要。それぞれあと2~3得点くらい多く獲ってくれれば言う事なしだ。島津・杉浦恭が昨年くらいの活躍をして、新戦力の沼瀬・丹羽・嶋田・大谷らに加え大石・窪田・本塚にも得点を増やしてもらえば出来ない事ではない。

依存からの脱却を図る為にルカオ・陸次樹を手放したと言っていい。もちろん、彼らにもクラブにもメリットがあるから移籍したのでしょうが。過密日程の2020シーズンで彼らに依存する事がいかに無謀だったか。そこに気がついて舵を2021シーズンに切ったのは明らかだった(だからと言って勝つ事を追求しないのは違う)。

依存からの脱却。その注目すべき点は、ルカオさんが最後に出場した34節大宮戦以降の得点者。

本塚・陸次樹・チット・藤村・杉浦恭・石尾・山根・大石1 島津3

陸次樹くんの1得点というのは計算外としても、2021年を見据えたシフトチェンジと言っても良かったのではないだろうか。全員攻撃のヤナ将のチームがシーズン終盤にようやく形になってきた(下川くんも36節の山形戦が最後の出場→ここにも2021シーズンへのシフトチェンジが)。

苦しい時のセットプレー頼み

2019年は山本義・廣井で7得点、2020年は石尾・廣井で3得点だった。この4点の差は大きい。前述したとおり、どこからでも点が獲れる事は大切だがそれでも苦しい時がある。そんな時に重要な得点源となるのが長身のセンターバックが武器となるシーン、コーナーキックやフリーキックのセットプレーだ。

2020年はセットプレーの練習にあまり時間を割けなかったと見え、簡単にボールを放り込んで失いチャンスを逃しているシーンが散見された。個人的に作ちゃんのヘディングゴールが見られなかったのが残念だったが、義道くんが抜けて、サイズ感で相手に圧力をかけられなかった事も大きいだろう。その点、庄司くんは義道くんより2㎝高い。2021年はセットプレーも期待して良さそうだ。

明らかな原因、そして一番の不安。それはマネジメント

ここで2020シーズンの顕著な傾向が出ているデータをお見せしたい。たぶん何処にも載っていない、私自身がカウントしたデータ。下記は2020年全42試合の得失点を試合時間を15分ごとに区切ったものだ。

0分-15分 7得点 7失点

15分ー30分 7得点 7失点

30分ー45分 14得点 15失点

45分ー60分 15得点 10失点

60分-75分 13得点 11失点

75分ー90分(アディショナルタイム含む)4得点 16失点

試合の終盤で失点されていた事が多かった気はしていたが、ここまでとは思っていなかった。ハッキリとしたスタミナ切れ。もちろん過密日程と言われればそれまでだが、プロのクラブは解析ソフトを使用しているから、このくらいのデータはすぐにわかる。

シーズン中に、金沢は後半にスタミナ切れを起こすから逆転出来ると思われていたのだ。

もう一度言葉を替えて言う。

シーズン中に、金沢は後半にスタミナ切れを起こし逆転される可能性が高い事をわかっていてやり方を変えようとしなかったのだ。

ここの捉え方が重要で

①分かっているにも関わらず(わかっていない?)やり方を変えられない

もしくは

②2021年に向けてどこよりも走って相手を上回る為の経験を積んだ

と、二通りの考え方が出来る。ただ、一度シーズンオフに入りもう一度身体を作る事を考えれば②である事の可能性は低い。選手も替わる。経験値は無くならないが、連携面や身体は作り直す必要がある。

さらには得点も出来ない、失点も多い75分ー90分を見ると選手交代が功を奏しているとは決して思えない。交代した選手が元気でも他の選手がガス欠では勝てない。今年こそ監督・コーチングスタッフのマネジメント能力が問われる。

まとめ

さて今回のまとめとして

ツエーゲン金沢の昇格する条件は・・・競り勝つのみ

そして競り勝つ為には

どこからでも点が獲れる事
セットプレーの得点を増やす事
効果的な選手交代、ガス欠を起こさないマネジメント力

という事がデータを分析して導き出した答え。ただ、データで全てがわかれば苦労しないのがサッカー。もうすぐ新しいシーズンの始まり。また新しいデータとにらめっこしながら考えを巡らす日々が始まる。

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