会社を立て直す仕事

会社を立て直す仕事、小森哲郎

今年21冊目。

小森さんは僕の経営の師匠だ。そして、本書は僕が何度も何度も小森さんに教えてもらったことをそのまま本にしたものだ(事情は巻末に少し書いてある)。ご本人の希望で一切編集者による校正がされていないらしく、それゆえに若干読みにくい箇所もあるかもしれないが、僕にはとてもしっくりくる。本書の内容をそのまま英語に翻訳して、それを五常の子会社経営における基本方針にしようと思っている(文化的な違いがある分については若干補足するけど)。

よい組織とは、課題解決を早くし続ける組織ということに尽きる。そして、それが自律的に回る組織を作るのがターンアラウンドマネジャーの仕事だ。ターンアラウンドマネジャーというより、経営者の仕事と言っても良いのかもしれない。課題を課題として認識する風土(風通しが良くないと、一般社員は会社の悪口を飲み会でしか言わない)、課題を分析し対策を考える能力(残念ながら途上国ではこれが結構弱いので課題解決と人材育成が重要になる)、対策を最後までやり抜く仕組み(会議は課題解決のモニターのためにある側面が大きい)を作り上げていくこと。同時に、それを遂行することのできる人材を育てること。

それを実際に作り上げるための方法論について、本書ほど明確に書いている本は存在しない。大抵の本は事例ベースでものを語っているので、どこまでが個別解でどこまでが一般解であるのかが分からなかったりする。例えば、良くも悪くも三枝匡さんの本は物語ベースなので、それを読んだとしても今自分が直面している企業の経営改革プランを作ることはできない。不振企業の経営者になりたい人は、まずは本書を熟読して、経営改善のフレームワークを頭に入れたうえで、各種の本を読んでいき事例理解を積み重ねるというのが最高の方法なのではないかと思う。


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