ルポ 児童相談所: 一時保護所から考える子ども支援
起業でそれどころではないので、もう当分本は書きません。児童相談所と一時保護所について書いた本を出版しました。会社創業前から準備を始め、時間をかけて取材し丁寧に検証してつくった本です。
親の虐待、貧困、疾患や子ども自身の非行などが理由で、一時的に保護をする必要があるとみなされて児童相談所に引き取られた子どもたちは、児童相談所に併設されている「一時保護所」で生活することを皆さんご存知でしょうか。
「こういう話は、興味ないよ」と思われる方がたくさんいるかと思うのですが、ドキュメンタリーとして今実際に日本で起こっている事実を見るという視点で読んでもらえれば、かなり読み応えがある内容になっていると思います。
一時保護所の経験者、職員、その他関係者らは、草稿を読んで「よく書いてくれた」と言ってくれました。とくに一時保護所経験者が嫌がる内容になるのであれば廃刊にしたほうがマシと思っていたので、本当にホッとしました。
2014年において、日本で一時保護された子どもの数は延べ2万2千人います。現状において一時保護のプロセスはほとんど行政による「神隠し」状態です。多くの子どもたちは、友人や先生とお別れをすることも出来ないまま元の生活から引き離され、一時保護所で生活をすることになります。
そして、多くの場所では外出は許されず、学校にも通えないまま毎日同じ日課をこなし、場合によっては非常に厳しい規律の中監獄のような生活をしています。子供達は何も悪いことをしていないのに、です。
また、良い一時保護所とそうでない一時保護所の格差は激しく、ひどい一時保護所にいた子どもたちにとっては、そこでの経験がトラウマになっています。平均滞在期間は1ヶ月ですが、1年以上ここにいることになる子どもも少なくありません。
例えばあるひどい一時保護所において、20年前にいた子どもはムチで叩かれていました。今は暴力は減ったものの、体育館を何十周も走らされ、言うことを聞かないと狭い個室に隔離されています。
ただ、単なる「被害者の経験談」として一方的に話をまとめたくなかったので、なるべく公平な視点を持つために、たくさんの場所に足を運びました。同様のテーマの本はいくつかありますが、約10カ所の児童相談所を訪問し、全国で100人以上の関係者インタビューを実施し、2つの一時保護所に住込みをした後に書かれた本は本書のみだと思います。
本書を書くにあたって気をつけたことは、主観を可能な限り排することと、そして問題解決の方法も述べることです。
子どもの悲しいニュースを見て心を痛めてくださる人が、それを変えるために少しだけでもアクションをとってくだされば、世の中は必ず良い方向に変化していくと思います。
たくさんの人に読んでもらえたら、そして拡散してもらえたらと思います。そうしたら、2017年にこの問題が解決へ向かう大きなうねりがつくれると思っています。
どうか拡散して下さい。よろしくお願いします。
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