かくかくしかじか

かくかくしかじか(全五巻)、東村アキコ

31冊目書評(マンガだけど)。

薦められて一気に読破。著者の自叙伝的なマンガ。自信過剰だった著者が地元の絵の先生に出会いスパルタ指導を受け美大に入り、紆余曲折を経て漫画家になるまでのお話。作家だけでなく、プロフェッショナルファームで働く人や起業する人も多分いろいろと身につまされることが多いような作品だった。

主人公は絵の先生にひたすら絵を描くことを強いられる。同じものを何度も何度も、一日に何時間も。そしてダメなところがひたすらにケナされながら矯正され続ける。この先生にとっては作品を作ることが人生における全てで、それ以外のものにほとんど興味を示さず、ずっとひたむきにその仕事をやり続ける。最後の最後まで。

僕にも鬼軍曹みたいな上司がいて、その人の指導を受けて午前2時ぐらいにオフィスで途方に暮れるみたいなことがよくあったけど、その人のお陰で本当に自分の仕事は上達したし、そこで鍛え上げられたスキルはその後の職業人人生を歩くための財産になった。その上司も仕事を愛していた。だからこそあれだけの技量とエネルギーを持っていたのだと思う。いい仕事をするには、そういう内発的な動機がどうしても必要なように思う。

何歳になっても変わらない、仕事に対する純粋な思い。自分がそれを持ち続けているか、妥協していないか、深く考えさせられた。

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