I know where you are coming from

この NewsPicksパブリッシングがどのような本を作るのか気になっていたのだけど、きちんとした本だったのでとても楽しく読んだ。

理屈で解ける問題(technical challenge)は比較的容易に解決できる場合が多い。関係者が一定の訓練を積んでいれば結論は同じところに落ち込むし、解決策を実行するにつれて新しい情報が得られたあとにまた同じように理屈で結論がやってくる。

もっと難しいのは、そもそもの価値観のズレなどが原因で課題が解決されないケース。適応課題(adaptive challenge)とよばれるらしい。そこでは参加者の価値観とか「常識」が違っていることが理由で、物事が前に進まないので、そこをそもそも揃える必要が出てくる。

 

そういえば、日本で議論していてもほとんどの人が"I know where you're coming from"という内容のことを言わないなと、本書を読みながら感じた。英語で議論していて揉めるとよく出てくるフレーズで、「あなたがどういう立場にあるからそのようなことを言っているか分かっているよ」という言葉。様々なバックグラウンドの人が議論するときには、基本的な価値観レベルでズレが生じていることを僕とかは経験的に痛感している。

本書ではこの違いを突破するための対話を提唱しているのだけど、個人的に一番オススメしたいことは、自分がマイノリティにならざるを得ない場所で過ごす経験をすることだと思う。そうすると、嫌というほどに個々人の価値観が全然違っていることを目の当たりにする。それを乗り越えていくことは、必然的にその価値観の違いの相互認識を伴う。

全然バックグラウンドが違う人たち(人種、宗教、経済状況などなど)と働く人にはいい本かな。


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