週末レビュー(2021年5月9日)

週の出来事と雑感

祝日の間は極力仕事をしないようにしていたので、一部の海外とのミーティングを除き読書と考え事をして過ごす。

木曜日からまた海外。インドのビザはゲットしたものの、行くのは3ヶ月くらい後になりそう。全く感染抑制の見込みがつかない。その前に行く国について、ビザ取得手続きやら何やら。あとは明後日のPCR検査なのだけれども、東京もかなり拡大している方なので陰性であることを願っている。

柔術は、次から次へと違う場所が痛くなるのだけれども、どうやらみんなそういうものらしい。キックボクシングと違って、顔に目に見える外傷ができるわけではないので仕事に支障はないのだけれども、今は胸と背中と足首と指が痛い。とはいえ、来週から海外なので、その間に治るだろう。海外に行っているうちに、学んだことを忘れていた、なんてことにならないことを願っている。

今の状況は、五常みたいな組織には結構きつい時期。役員がユーラシア大陸に分散しているうえに、Covidのせいで未だに全員が一箇所に集まりきれていない。せめて半年に一度、全員が一箇所に集まれていたらもっと楽だったのだけれども。しかも、役員の半分はこの12ヶ月のうちに入ったので、未だに直接会ったことがないメンバーがいるのは厳しい。

ほとんどのことがリモートで済むようになったのはよいことだけれども、さすがにそれにも限界がある。早くワクチン接種が進み、国境を開けていってほしい。


読んだ本・観たもの

ポーラ美術館、''藤田嗣治展''
この時代の作家は、全員が戦争の影響から逃れることができない。芸術でさえも、政治とは無縁でいられない。どう見てもフジタはノンポリだったはずなのだけれども、そんな彼ですら従軍画家になったことで戦犯になりそうだった。

色んな絵があったけれども、一番かわいかったのは彼が描き続けた子どもたちの絵。彼の家のタイルに描かれた子どもたちの絵はかわいかった。

彫刻の森美術館、''常設展''
前に来たのは5年以上前だった気がする。ピカソ館は、昔のほうが展示作品の数が多かった気がする。今のピカソ館は、説明が多い代わりに、展示が少なかった。ピカソの闘牛の絵を見たかったのに(とても気に入っているシリーズ)、見られなくて残念。

昔は彫刻はちょっとよくわからなかったのだけれども、数を見るうちに少しずつ自分の好みとかが分かってきた。

Erin Meyer、''The Culture Map''
仕事上で問題になりがちな文化的な差異は、次のような要因で決まっていると著者は主張する:
・普段から話される言葉にどの程度含みがあるか
・ネガティブなフィードバックを直截的にするかどうか
・説得する時に、実際に出来るかどうかを考えるか、原理原則を考えるか
・組織構造がヒエラルキー的かフラットか
・意思決定はトップダウンか、合意形成型か
・信頼関係は一緒に仕事をすることでつくるか、飲み会などでつくるか
・相手に同意しないとき、対立を厭わないか否か
・「遅れる」の定義は1分か、5分か、10分か、30分か

前から読む予定でだいぶ遅れてしまったけれども、とてもいい本だった。まさに五常のように複数の文化圏にいる人が一緒に働いている場合、この本で書かれているようなすれ違いが大きな問題になっている気がする。例えばこういうことが書かれている。

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本書でも書かれているように、一般的な国民性と個々人は違うので、メンバーらに自己診断をして、会社としてどこを基準にするかを考えたらよい気がする。

Cathy O'Neil、''Weapons of Math Destruction''
大量破壊兵器とひっかけている。馬鹿なアルゴリズムがいかに多くの人に害を与えているのかを指摘している本。実際に、こういう馬鹿なアルゴリズムは多い。著者が主張する、数学大量破壊兵器は、次のようなもの:
・大規模で用いられている
・モデルの中身がきちんと説明されない(もしくは本人たちもできない)
・モデルの誤りを修正するフィードバックループが存在しない
・人に害を与える(解雇したり、犯罪者予備軍に入れられたり、金融排除されたり)
・データに含まれているバイアスに無関心

深層学習の困ったところは、データのバイアスをある程度排除しおおせたとしても、モデルの中身の説明が極めて難しいことだ。このあたりは、実際にいくつかの流行りのニューラルネットワークを試しに作ってみるとよくわかる。画像解析などでも、なんでそうなっているのかを説明出来る人はほとんどいない。「だって、精度が高いからいいじゃん」となる。確かに画像解析なら正解率が高いか低いかで修正フィードバックがかかるのだけれども、これが犯罪者予備軍の検知とかだと、疑いが犯罪者を作り出す、という側面もあり、結果としてモデルが改善されにくい。

そもそも、こういう数理モデルを作る人たちは統計学の勉強をちゃんとしてきたはずなのだけれども、統計学の基本をなぜかすっぽかしている。例えば、データを統計的に処理する場合には、データそのものをキレイにすること、データがどのような分布をしているのかを仮定することなどがかなり重要になる。本書で紹介されている色んな事例を見る限り、それをきちんとしている感じがない。それが知性の欠如によるものなのか、悪意があってのことなのか。たぶん後者の場合が多く、だからこそ罪は重い。

原理原則に基づく雑感

改めて最近は組織文化のことを考えるのだけれども、これは採用する人たちの性格や気質および、会社がどの程度会社の価値観を叩き込むかによって出来上がっていく。前者は自分なりに相当気をつけてやってきたのだけれども、それだけだとただの動物園が出来上がってしまうので、会社として何があるべき姿なのかをきちんと定義するのはとても大切な気がしている。

Culture Bookを書くのがいいのだろうな。Netflixみたいに。


目標進捗状況

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