ランニング思考

 何冊書いても、本を書くのはしんどいことだ。しかも今は起業している立場なので、こんなことをしていていいのかと自問自答することも増えた。株主や従業員のことを考えると、僕の時間は仕事に全て費やすべきではないかと。

 それでも本を書き続けるのには理由がある。本を書くということは、何度も何度も文章を推敲することを通じて、自分の考えをまとめる行為だ。一本の木を彫って彫刻作品を作るのに似ていて、漠然とした想念に言葉の力で輪郭や表情を与え、作品に仕上げていく。

 労力を捧げてアイデアを言葉にしていくことを通じて、その考えは記憶にしっかりと根を張り、その人の思想にも影響を与えていく。真面目に取り組んだ人は自分の卒論をちゃんと覚えていて、それはその人のその後にも影響を与えているが、それに似ている。だから、僕はこれまでも、これからも、自分がこれと思った分野については本を書き続けるのだと思う。

 今回の本では、なんで僕が200km以上のウルトラマラソンを走るようになったのか、なぜ今も走り続けるのか、そこから何を学んだのかについて書いてある。僕は走ることを通じて、自意識から抜け出すこと、心を整えること、弛まずテキパキと物事を進めること、運命のイタズラに文句を言わず感謝すること、など、僕の人生をかなり変える学びを得た。

 自分で書いた本を読んで泣いたことは今まで全く無かったんだけど、この本は書いていた自分が泣いた。それくらい、今の僕にとってこの本は本当に必要なものだったのだと思う。この時期に書けてよかった。

 買ってくれる方は、是非今のうちにAmazonで予約頂けたら助かります。そうすると、Amazonに在庫が入りやすくなるので。

ランニング思考 ― 本州縦断マラソン1648kmを走って学んだこと


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?