はじめての人工知能

はじめての人工知能 Excelで体験しながら学ぶAI 

今年19冊目。

Deep Mind社のAlpha Goの衝撃が大きかったこと、また仕事と関連してAIをきちんと勉強する必要があったので、まずは他の本を手にとってみたものの、それらについても専門用語のほとんどが意味不明だったので、まず手にとった本書。

高専の学生向けの授業が元になっており、Excelで動くプログラムつきで何をしているのかを教えてくれる。ニューラルネットワーク、ファジイ、遺伝的アルゴリズム、探索法、ゲーム戦略、機械学習、エキスパートシステムなどについての基本的なコンセプトをざっと俯瞰するには向いている。最初は精読していたが、後半は後に述べる理由によってさっさと読み終えた。

AIといっても、かなり機械的に決まった作業をこなすものと、深層学習のように若干人間の手から離れたものまで幅広いのだな、というのが本書を読んでの感想。前者については、AIという言葉から僕たちが想像するものではなく、四則演算を電卓にやらせることを更に高度化させたにすぎない。後者の深層学習(本書ではほぼ取り上げられていない)などについては、人間の認知力をコンピューターがある意味で上回ったり補完したりする側面があり、これこそ僕たちが最近AIという言葉を耳にしたときに想像するものなのだと思う。


本書の欠点は、説明が下手なことと、図表が異常に見にくいことの2つ。

その分野について知っている人に説明をするのは基本的に無意味なことなので、説明とはその分野について明るくない人に対して行うものだ。その場合には、その分野について明るくない人が有するであろう疑問を想定しておいて、それに先回りするように文章を書いていくべきだ。本書ではそれが出来ていないように思う。逆にいうと、「なるほどそうだったのか」と思わせる記述が少ないというべきか。

また、図表も非常に見難く、図を見ても何を言いたいのか直感的に分からない。きちんとしたデザイナーがつかなかったのか。

とはいえ、一般にAIと言った際にどのようなものがあるのかを理解するには本書は向いており、まず手に取る一冊としてはこれで良いのかもしれない。ただ、この一冊で全体を軽くでも理解できるということはなさそうだ。


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